ミケのクリスマス(仮)

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完結
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168人形屋
 俺の名前は啓介、渡辺啓介、なんのとりえもないフリーター、仕事は人材派遣の
仕事を生業にしてる、着ぐるみにはまあちょっと興味はあるかなみたいな。
 そんな俺のとある着ぐるみの仕事、これはもう毎年の恒例のイベントとして数年前
からやっている。
 とあるクリスマスコンサート、そこのマスコット操演で召集をうけた、いつも一緒
に仕事をする仲間、アキ、ルミと仕事場にむかった。
 pm:12:00
アキ「おはようございます」
ルミ「あーアキ、おはよー」
ルミは同期だが俺やアキより年上なので俺らのなかではリーダーだった
ルミ「おーケイスケもおはよー」
ケイスケ「あっはい、おはようございます」
ルミ「二人とも今日はがんばろうね」
アキ「あーもう電車のらないと間に合わないよ」
ケイスケ「あ、そうだね」
俺はぶっちゃけアキに惚れていた、いつも明るく元気なアキに・・
プルルル 電車の発着をつげるベルが鳴く
ケイスケ「さ、急ごう」
アキ「うん」
169人形屋
pm:13:30
目的の会場までは電車を乗り継いでいく、俺のなかではいろいろな思いが交錯して
いた、仕事としては初めての着ぐるみの仕事、多少なれど興奮して脈拍もあがって
いた。
 あとは、アキとのこと、しばらく会話もかわさず、ながれゆく景色を眺めていたが
彼女のほうをみる、アキとルミが楽しそうにはなしている。
 俺とアキはタメだ、知り合ったのはこの仕事だった、面接のときに同じ日だった
彼女はもともと舞台関係の仕事もしていたらしい、バレーやジャズダンスもうまく
そんなアキがなぜ人材派遣の仕事についたのかは謎のままだった。
 しばらくアキたちのほうを眺めていたらアキが俺の視線にきずき声をかけた
アキ「なに?どうしたの?」
ケイスケ「え、あ、なっなんでもないよ」
アキ「そう、今日はがんばろうね」
ケイスケ「あ、そうだなー」
ルミは必死にメールをうっている
ケイスケ「アキちゃんは着ぐるみとかやったことあるの?」
アキ「うーん、前に1回だけね、そんときのことまだ覚えてる」
ケイスケ「ふーん、やったことあるんだ」
アキ「うん、すごく暑くて重かった、汗もはんぱじゃなかったし」
ケイスケ「そうなんだ、噂にはきいてたけどね、俺は初めてなんだ」
アキ「そうなんだー、大変だよー」
ドアの電光掲示板に目的地の到着をつげる文字が掲示されどうじにアナウンスが
駅の接近をつげる
170人形屋
pm:17:00
コンサート会場につく、開場は18時30分からだったので、それまでは待機となって
いた、途中のコンビニで水をかう。
 控え室
アキ「あーついたねー」
ルミ「どんなのやるんだろー」
ケイスケ「さあ?」
アキ「とりあえずさ、Tシャツとスパッツになるから、ケイスケチョットはずして」
ケイスケ「あ、ああ、そうだね、俺はトイレで着替えるよ」
アキ「ごめんね」
ルミ「いつまでそこにつったてるの、それとも私たちの裸に興味あるの」
ケイスケ「え、いや、そんなことは、失礼しました」
アキははずかしそうにしている、みてのとうりこのなかでは女の勢力が強い、が
まあそんあことはどうでもいいことだ。
俺は荷物をまとめてトイレにむかった、初めてやる着ぐるみとアキの着ぐるみ姿
をおもいうかべると、思わずせがれが暴走しはじめる。
無事、3人とも着替えをおえて、控え室で待機していた、ドアをノックする音
コンコン、3人がドアに視線をむける
ルミ「はい」
はいってきたのは、主催する団体の関係者だった
172人形屋
pm:18:00
関係者「本日はよろしくお願いします」
アキ「よろしくおねがいします」
ルミ「よろしくおねがいします」
ケイスケ「よろしくおねがいします」
関係者「私、今回、イベント企画担当の斉藤といいます、で、今回みなさんに
やってもらうキャラクターなんですが」
するとドアがあき搬送されてきたのは大きな袋が2つだった
斉藤「今回のは犬のシャトーと猫のミケです、コンサートは19時からです、それまで
に着替えをすませて18時15分前にはホールにでていただきます、今回、3人を
召集したのは、介添えと交代のためです。着ぐるみに入る人はあなたがたで順番を
きめていただいて結構です。インターバルをはさんでも2時間以上の長丁場になる
可能性があります、無理はしないでください、ではがんばってください」
 といいのこして部屋をでる、顔をみあわせる3人
ルミ「で、どうしようか?」
ケイスケ「僕はいつでもいいっすよ」
ルミ「じゃあ、私たちが先にはいるね、アキ、いいでしょ?」
ボーっとしていたのか、あわててこたえるアキ
アキ「え、あ、うん、最初だったら体力もあるしいけるよ」
ケイスケ「そう、だったら、僕は介添えだね、時間ないしはやいとこ着替えよう」
ルミ「そうね、ケイスケてつだって」
髪をお団子状にしてタオルをまく、アンコをつめる首までの着ぐるみを着こむふたり
犬のシャトーはタキシードをきたキャラクターだ、シャトーにはルミが入ることに
なり猫のミケは頭にかわいいリボンと、かわいい赤いスカートをはいた、メスネコ
のキャラクターだ、ミケにはアキがはいることになった。
ルミ「ケイスケー、チャックあげてよー」
アキ「あー終わったわ、私のもたのむね」
ケイスケ「はいはい」
ルミ「はいは一回でいい」
ケイスケ「はい」
ルミ「はい よろしい」
アキ「ふふ」
アキのファスナーをあげる、少しセクシーなうなじにみとれていた
アキ「なにしてんの?、はやくしてよ」
ケイスケ「ご、ごめん」
ふたりとも、頭をかぶると、それらしいポーズをきめる、でも俺の目はアキに注がれていた
173人形屋
pm:18:15分
コンコン 再びドアをノックする音、ルミもアキも喋れないので俺が答える
ケイスケ「はい」
入ってきたのは担当者の斉藤さんだった
斉藤「もうすぐ時間です、そろそろお願いします」
ケイスケ「はい、着替えはおわったんですが、なんしても自分たちはじめてのキャラ
クターなんで、まちがってるとこないですか?」
斉藤さんは中指でめがねのずれをなおして、こっちにくる
斉藤「うーん、まあ、こんなもんでしょ、あ、ミケのスカートが」
と手なおしする、男の俺からみればすぐわかるなんかいやらいし手つきだ
ケイスケ心の声「て、てめー、きやすくアキにふれんじゃねーよ」
しかし、肝心のアキはアンコが厚いためきずかないルミは姿見をみてこちらの動き
にきずくようすもない。
ケイスケ「さっ斉藤さん、もう手なおしはいいのでは、時間もないことですし」
スカートの裾をなおしていた斉藤は俺のほうをみあげる、また眼鏡のズレをなおし
俺のほうをみて一瞬、ほくそえむ。
斉藤「ふ、じゃあ、いきましょうか」
アキもルミもいくぞーってゆうポーズをとる
斉藤は俺とのすれ違いざまに俺の肩をポンとたたく
斉藤「さ、しっかりサポートしてくださいよ、渡辺啓介くん」
斉藤「段差あるからねー、手つなごう、ゆっくりとねー」
ルミとアキの手を握って、段差をこえてドアをあけ、エスコートする
二人をドアからだしてまだ部屋のなかにいる俺にふてきな笑みをうかべる
まるで、俺とアキの仲を悟ったような感じで、しかしその仲を引き裂くように
鉄のドアがしまる。
174人形屋
pm:18:30
開場されると同時に多数の親子づれや団体客がはいってきた、フロントで受付をすました
客がこちらになだれこんでくる。
 握手としたがる子供や興味でちかよってくる中年のおばさんたち、二人とも客にもみ
くちゃにされていた、頭とかをたたいてくる子供をなんとか押しのける、ルミの
シャトーが密かに俺に合図を送る、このコをどけろ、俺にはそうよみとれた。
 開場内は冬のため暖房がガンガンきいていた、ある意味夏よりやりにくいのでは
と思う。
 二人ともたったりすわったり、中腰になったり、姿勢をかえていたが、30分を
経過したあたりで着ぐるみの重さも手伝ってか二匹にあきらかな疲労色がみえはじめる
あきらかに動きが鈍い、いったん客が引いた隙をみはからって二人に小声で話しかける
ケイスケ「大丈夫?あともう少しなんだけど、休む?」
すると二人ともまだいけるとゆう仕草をとる、しかし、強がってもやはり女の子だ
空元気であることはみてあきらかだった。
 とくにアキは華奢で芯が細いので体力面でのことが心配だ、45分が終了し控え室
にもどり、着ぐるみの頭をはずす、頭にまいていたタオルが汗で湿っている、結った
髪をほどく、ルミとアキの身体からは汗が蒸発しているのか湯気がでていた
192人形屋
pm:19:15
 俺の手にはアキがついさっきまで被っていたミケのマスクがある、おおきさも
たいしたものだ、首をいれる開口部にはアキの汗がまだかわかずに残っていた。
ルミ「ちょっと、ケイスケ、さっきからににボケっとつったてるの、チャックおろ
すの手伝って」
ケイスケ「あ、ああー、はいはい、今すぐやります」
ルミ「ケイスケ、私が最初にいったこともうわすれたの?はいは・・」
ケイスケ「はいは一回でいい、ですよね」
ルミ「そ、じゃあわたしのからおねがい、そのつぎアキのもね」
ケイスケ「へいへい」
ジー チャックをおろす、ルミもTシャツがすけるほど汗をかいていた
ケイスケ「じゃあ、次、アキだな、おろすよ」
アキ「うん、おねがい」
ルミ「じゃあ、わるいんだけど、ケイスケいったんはずして、着替えるから」
ケイスケ「ああ、はい、じゃあ、なんか飲み物かってくるよ、なにがいい?」
ルミ「そうねー、気のきたものってところかしら」
アキ「私はー、うーんとね、ケイスケとおなじのでいいよ」
ケイスケ「了解!」
そして俺は部屋をでた、自販機まではそれほどとうくないが会場の地下にあるため
かいだんをつかう、喫煙所のまえに自販機がある、なんとそこにはあの斉藤がいた
198人形屋
pm:19:25
少し張り詰めた空気がながれる、人は俺と斉藤しかいない、俺はズボンから財布を
だして小銭を確認する。
斉藤「おやおや、なんの挨拶もなしですか?」
俺は一瞬、彼のほうをみる
ケイスケ「あ、ども」とかるく会釈する
俺はそのまま自販機に小銭を投入する
ケイスケ「気のきたものだったよな、やっぱこうゆうときはスポーツドリンクだよな」
ペットボトルのスポーツドリンクをかう
斉藤「それは彼女たちに差し入れですか?」
ケイスケ「ええ、そんなこと聞いてどうするんです?」
斉藤「いや、別に・・それより、彼女たち、後半かなり疲れているようでしたが」
ケイスケ「そうですね、だいぶ疲れてましたね」
斉藤「そうですか、今日は2ステありますし、体力配分考えないと」
199人形屋
pm;19:30
俺は少し考え込む、それをみて斉藤が言葉をかける
斉藤「だいたい40分後にインターバルがあります、15分間ですがそこでも
でていただきますが」
ケイスケ「ええ、いまのうちに体力を回復してからです」
斉藤「あなたぶっちゃけ、どっちをねらってるんです?」
ケイスケ「え、な、なんのことっすか?」
斉藤は中指で眼鏡のズレをなおし、ふてきにわらう
斉藤「ふ、なにしらじらしいこといってるんです、アキさんですか?ルミさんですか?」
ケイスケ「だから、なんなんすか、わけわかんないんすけど」
斉藤「はー、あなたも、もううすうすは気がついているんじゃないですか、彼女たちだって
女ですよ、現実考えて、これからの長丁場はもたない、そうじゃないですか?」
ケイスケ「う、まあ、そうでしょうね」
斉藤「どうです?次のインターバルで交代するとゆうのは」
ケイスケ「それはまだわかんないです、彼女たちの体力しだいだし、でも交代はありえる
でしょうね、ってゆーか、自分は介添え兼交代要員ですし、斉藤さん最初にそういって
たじゃないですか」
斉藤「ええ、そのためにアナタの事務所に今回の仕事を依頼したんです、最初は女性
をオールオーダーしたんですが、あいにく人がたりなくて男が一人くることになった
のは計算外でしたが」
ケイスケ「ってことは自分は招かれざる客ってことっすか?」
斉藤「ひらたくいえばそうゆうことですね」
ケイスケ「・・・」
斉藤「ものは相談ですがあなたどっちに入りたいです?」
ケイスケ「え?」
斉藤「いえ、あなたはもうきまっている、ミケでしょ?」
図星をつかれ、すこし戸惑う
200人形屋
pm:20:00
斉藤「どうです?あたってるでしょ?最初のあなたの態度をみればわかりますよ」
なにもいいかえせない俺をしりめに斉藤の発言は続く
斉藤「ぶっちゃけあなたミケ役のこにほれてるでしょ?」
ケイスケ「え?うーってゆーかなんでそんなこと聞くんです?」
斉藤「まあ、あなたが彼女に惚れるのはかってですがね、第一私には妻も子供もいますし」
ケイスケ「じゃあ、なんで?」
斉藤「私は着ぐるみがすきなんですよ、まああとはご想像におまかせしますが」
俺もなんとなく彼の思考がよめてきた
斉藤「で、今度の交代であなたはどっちがいいです?って聞くまでもありませんか」
俺としては、心の隅でくぶっていたアキへの思いと交錯してアキの脱ぎたての着ぐるみを
自分が着るとゆう思いがふくらんでくる。
斉藤はそんな俺の心に楔を打ち込んできた
斉藤「あなたの気持ちと彼女への思いはくみましょう、私は着ぐるみできればそれで
いいですから、ま、わけはほかにもありますが、ここは手をくみませんか?」
201人形屋
pm:19:17(控え室)
バタン ケイスケがでていく
汗のしみた、Tシャツを大魔神脱ぎをするアキ
ルミ「あー、アキってスタイルいいねー、さすがもとダンサーってとこね」
照れるアキ、そなえつけのシャワールームでTシャツを絞る
ルミ「おなかもいい感じにくびれてるし、私なんて余分なお肉がー」
腹部のたるみを指でつまむルミ
ルミ「それに、女としてでるとこでてるし」
アキの背後からブラのうえから両手で胸をわしづかみにする
アキ「きゃあ、なにすんのよ」
少しふざけるルミにおこるアキ
ルミ「はは、冗談冗談、でさ、アキ、ケイスケのこと好きなんでしょ?」
図星と意表をつかれあわてるアキ
アキ「な、なにいってんの、そんなわけ、そんなわけない・・じゃない・」
ルミ「なーにいってんの、隠さなくたってそんなの最初からわかってたわよ」
アキは顔をあからめてまたTシャツを絞る
ルミ「告白しちゃいなよ、そのほうがあきらめがつくかもね」
アキ「あきらめって、そんなんじゃないよ、ケイスケは仲間だし、友達だけど」
ルミ「だけど・・・?」
アキ「そんなこと言わせないでよ・・って、遅いなケイスケ」
ルミ「ほら、気になってるじゃない・・ふっかわいい」
202人形屋
pm:19:45
アキ「それにしてもケイスケなにやってんのかしら、ジュース買いに行くだけなのに」
Tシャツをものほしにほす
ルミ「それはそうと、どうそっちは?」
アキ「え?なにが」
ルミ「着ぐるみのこと、ホールって暖房きてるし、空気もあたたかいし、へたすると
夏場よりやりにくいわ。」
アキ「いえてるー、この着ぐるみ頭がおおきし、熱がマスク全体をあたためてるん
だよね、サウナみたい」
いまは着ぐるみのファスナーを全開にして、扇風機で風をあてる、消臭スプレーを
ふきかけているがすこし臭う室内、しかもここは地下にあり窓もなく、十分な換気が
確保されていない
アキ「なんか、やっぱこころなしか臭うね」
ルミ「そうね、でもしかたないよ、着ぐるみやってたらこうゆう状況はよくあることよ」
アキ「どうしよう、ケイスケがかえってきたら、汗におっちゃう」
ルミ「私はまだいけるけどアキ大丈夫なの?交代してもらえば。」
アキ「ううん、まだいけるよ。」
203名無しさん@着ぐるみすと
>気のきたもの
>着ぐるみ頭がおおきし
  ↓
気のきいたもの
着ぐるみ頭がおおきいし
204人形屋
ご丁寧に訂正ありがとうございます、なんにしろタイプが不慣れなもので、誤字脱字
が個々にみうけられますが、以後努力し改善していきます。
205人形屋
pm:20:05(喫煙室)
ケイスケ「手を組む?」
斉藤は内ポケットからたばこをだし口にくわえて、右のポケットからライターを
とりだして火をつける
斉藤「ふー、そうです、今回このイベントの責任者は私です、あなたがたは雇われ
の身にすぎない、今回のイベントのスポンサーでもありクライアントでもあるわけだ
ここで私の意見をはじくと来年以降あなたがたの事務所とは取引しません。」
ケイスケ「う、そんな、職権乱用だ。」
斉藤「あなたごときいちアルバイトがほえたところで私は痛くも痒くもありません」
煙草の灰を灰皿におとす
斉藤「ですが、この条件をのんでいただけたのなら、来年以降も同じ仕事を依頼させて
いただきますよ、どうです?あなたがたにとっても悪い条件ではないと思いますが」
ケイスケ「くっ、わ、わかったよ、で、どうすんだよ」
斉藤「あー、あと口のききかたに注意してください、私とあなたでは立場が違う」
ケイスケ「わかりました」
斉藤「お、くずぐずしていられませんね、もうこんな時間だ、次のインターバルは
まだ彼女たちに任せてみてみましょう」
喫煙室をでようとしたときなにかがとんできた、とっさにうけとめる、それはスタッフ
用のインカムだった
ケイスケ「こ、これは・・・」
斉藤「もっていきなさい、それがあると便利でしょ、お互いにね」
そして俺はなにもいわずアキとルミが待つ控え室にかえった
206人形屋
pm:20:10(控え室)
バタン ドアがあきケイスケがかけこんでくるも二人は、着ぐるみの胴体まで着ていた
ルミ「もー、まったく、なにしてたの?もう時間ないよ」
アキ「どこまで買いにいってたの?」
ケイスケ「はあはあ、ご、ごめん、あっちで、さ・・・じゃなくて小銭きらせたこと
どわすれしてて、くずしてから買ってきたんだけど、・・はあ・・時間かかちゃって
ごほっ・・これ、買ってきた」
ルミ「もう遅いよ、あとで飲むからそこの冷蔵庫にいれといて」
ケイスケ「でさ、二人ともまだいけるの?」
さりげなく、聞いてみる
ルミ「あんたわたしを誰だとおもってるの?」
ケイスケ「え?ルミさんじゃないんですか?」
ルミ「あんた、バカー、うちの事務所のマスコットも私がやってんの知らないの?
まったく、私は着ぐるみウーマン、着ぐルミこよ」
室内が凍りつく
アキ「そうだったんですかー、私しらなかったースゴーイ、さっすがお局さま」
ルミ「アキ、お局様は余計よ、わかった?だから多少のことじゃくたばらないってこと」
ケイスケ「そ、そうなんですか、じゃあいいですね、で、アキはどう?」
アキ「ん?あ、ああ、私もなんとなく平気かな・・ちょっとお腹すいたけど」
ケイスケ「だったら、俺、パンもってるから、食べろよ、食べねえとリキ入んねぞ」
ルミ「アキ、いまは我慢しな!時間ないよ、ケイスケ、面被るから手伝って」
ケイスケ「わりい、アキ、あとでな・・・はーい、いまやります」
207人形屋
「だったら、俺、パンもってるから、食べろよ、食べねえとリキ入んねぞ」
訂正
「だったら、俺、パンもってるから、食べろよ、食べねえとリキ入んねえぞ」
たびたびのミスタイプ申し訳ありません
208人形屋
pm:20:15(控え室)
ルミとアキにマスクを被せる、そのとき斉藤からかりたインカムの着信ランプが点滅
する、受信ボタンをおして応答する
ケイスケ「は、はい、こちら葛飾区・・じゃなくて、着ぐるみ控え室です」
斉藤「なにをしているのですか、もうじき客がホールにえてきますよ、着ぐるみは
はやく出動してください」
ケイスケ「す、すみません、いまいきます・・小声(ちぇ、なんだよ、あんなに話なが
くしといてよくゆうぜ)」
斉藤「なんですか?」
ケイスケ「い、いえ、なんでもありません、すぐむかいます」
斉藤「急いでくださいね」
ランプがきえる、俺はインカムを頭につけて
ケイスケ「ルミさんアキいきますよ」
するとそのときアキのはいったキャラクターがバランスをくずしたのか転倒する
ケイスケ「おい、大丈夫か?たてるか?」
アキは着ぐるみごしにうなずく、そしてなにごともなかったかのように、自分でたちあがる
ケイスケ「マジで大丈夫か?かわってもいいんだぞ」
ミケは頭を横にふる、まだ大丈夫、みたいなしぐさをとる
アキ心の声「いまはダメ、私の汗で臭うし、そんなことになったら、ケイスケに
嫌われちゃうじゃない、だから、いっそ、最後まで、私がやる」
するとケイスケがミケの両手をにぎる、アキの心拍数があがり鼓動がきこえる
アキ心の声「え?なに、なんなの?どうして手にぎってるの」
マスクののぞき穴からケイスケの顔がみえるケイスケがミケのでかい顔に額をあてる
ケイスケ「そっか、強いんだな、でも、むりはすんな」
と小声でしゃべりかけた
アキ心の声「えー、優しいんだケイスケ・・・」
ミケもかるくうなずく
213人形屋
pm:20:20(ホール)
ケイスケ「さ、短いけど気抜かないでいこう」
シャトーとミケを所定の位置につく
劇場のドアの観音開きの扉が開くと客がでてくる、子供がシャトーとミケに群がる
さすがにルミは慣れているのでみごとにキャラクターになりきっている
ミケもそれなりにやってるがどことなく動きにきれがない
俺もなんとなくミケの動向が気になる
すかさずインカムの着信ランプが光る
斉藤「ケイスケくん、なにやらミケの様子がおかしいようですが、大丈夫ですか」
ケイスケ「え、ええ、俺も気になってるんですが」
次の瞬間、ミケがまえだおれに倒れこむ
ミケの背後にまわりこんだ子供がふざけておしたようだ
最悪なできごとは続くものだ、倒れた瞬間マスクと顎を固定したストッパーがはずれた
ミケの首が胴体から切り離された、まわりの空気がはりつめる
ミケのマスクが転がって俺の足にあたった、時がとまったような静けさを子供の泣き声
が引き裂く
214人形屋
pm:20:30
俺も一瞬なにがおこったのかわからなかった
斉藤「なにをしているんです、はやく子供をどかしなさい」
そのとき、捨てる神あらば拾う神あり、2ステ開始のベルが鳴る
親が子供の手をひきこっちによってくる
母親「すみませんでした、わたしがちょっと目をはなした隙にどこかへいってしまったんで
す、ほら、あやまりな」
しかし、子供はなきやまない、他の家族はもう劇場にはいってしまった
ケイスケ「いいですよ、子供のやったことですし」
母親「ほんとうにすみません、さ、帰るよ」
ケイスケ「まあまあ、おかあさん、まだ2ステがありますし、このままかえるのも
なにじゃないですか、最後までみてかってくださいよ、こっちは大丈夫ですから」
母親「そうですか、うちのこがこんなことをしてしまったのに、すみません」
ケイスケ「子供さんだって悪気があったわけじゃないですし、な、もうふざけちゃ
だめだぞ」
と子供の頭をなでる、子供はなきながら、何回もうなずく
ケイスケ「さ、もうコンサートがはじまりますよ」
母親は何回もこちらに礼をして劇場にはいってゆく、そして残ったのはマスクがとれて
アキと俺、シャトーだった
215人形屋
pm:20:35
斉藤がかけよってきた、俺の足元に転がっているミケのマスクを拾い上げる
斉藤「ふー、まったく、大変なことになってしまいましたね」
アキははんべそをかいている、ショックとはずかしかったのかもうどうしていいのか
わからなかったのであろう
俺はアキにちかよる
ケイスケ「さ、とりあえず、控え室にかえるよ、立てるか?」
アキはペタンと女の子すわりをして、手で顔を隠している
ケイスケ「さっつかまれよ」
手をさしだしてみる、するとアキはおそるおそる俺の手を握りゆっくりとたちあがる
こときはベテランのルミもただみていることしかできなかった
ケイスケ「斉藤さん、ミケのマスク頼みます、シャトーはすみませんが一人でかえれますか?」
うなずくシャトー
斉藤「ふ、ずいぶん大人になりましたね、ま、私がつれてきますよ」
ケイスケ「じゃあ、おねがいします」
216人形屋
pm:20:40
斉藤「さ、シャトーいきましょうか」
斉藤はシャトーの片手をにぎり控え室にかえる
(控え室)
ケイスケ「さ、ファスナーおろすよ、後ろむいて」
アキはゆっくり俺に背をむける
ジー 俺はゆっくりファスナーをおろす、着ぐるみの胴体からアキの身体がでてくる
アキ「すみませんでした、突然のことだったし私どうしていいやらわかんなくて」
斉藤「キミがあやまることないよ、子供がすることなんて予想できなかったし」
しばらくしずまった、その緊張を引き裂くようにお腹のなる音がきこえる
グー 音源はアキだった
アキ「きゃ!なにこんなときに、もーはずかしー」
それはそうだ、ただでさえ空気が重いのにくわえて思いをよせているケイスケがいるのだから
アキ心の声「ちょー恥ずかしい、ケイスケにお腹の音きかれちゃった」
するとアキの目の前にジュースとパンがさしだされた
アキ「え?これって」
ケイスケ「食べろよ、腹へってんだろ」
いっきに張り詰めていた緊張がとける
ルミ「もーアキったら、もう終わったことだし、いまさらいくら悔やんでもしかた
ないよ、次おなじことにならないようにすればいいじゃない」
斉藤「すみません、こっちも面のメンテナンスが不十分だったのが原因ですし」
ケイスケ「いや、俺がもっと気を配っていれば・・」
ルミ「はいはい、傷をなめあってもしかたないじゃない、大切なのはこれからよ」
斉藤「そうですね、あんなことがあったばかりですし、アキさんもでにくいでしょう」
ルミ「でも、子供たちのほうもメンタル的に多少なれどショックがあったに違いないわ」
斉藤「そうですね、夢を壊してしまったわけですからね」
217人形屋
pm:20:50
俺はアキのほうをみる、二人の話をきいていたのか、アキは食べるのをやめてシュンとうつむく
ケイスケ「二人ともアキがへこんでます」
斉藤「す、すみません、けしてそんなつもりでは」
俺ももうわけわからなくなってきた
ケイスケ「あーもう、わけわかんないっすよ、俺も腹へったから飯にしよう」
ルミ「わたしもー」
斉藤「そうですね、今日はクリスマスイブですし、スタッフの弁当はこっちで用意させて
いただきました。」
ケイスケ「マジっすか?」
部屋に弁当が搬入された、クリスマス使用で中にはフライドチキンもはいっていた
ケイスケ「スゲー豪華じゃないっすか・・あ、アキ、あうまない、俺のパンで」
アキ「ううん、いいの私これで、せっかくケイスケが私のためにくれたんだもん」
俺はアキのほうを少しながめて、いっきに口にいれる、さすがに無理したのであろう気管支に
つまる、ゴホゴホ
アキ「もーなにやってるの、これ飲みな」
アキは自分のジュースをケイスケに飲ませた
218人形屋
お詫びと訂正
ケイスケ「スゲー豪華じゃないっすか・・あ、アキあうまない、俺のパンで」
訂正
ケイスケ「スゲー豪華じゃないですか・・あ、アキすまない、俺のパンで」
すみません
223人形屋
pm:21:00(控え室)
ケイスケにジュースをわたす、そのままいっきにジュースを飲みほす
ケイスケ「ゴホッ・・ありがとアキ、生き返った」
アキ心の声「きゃ、どうしよーケイスケほんとにのんじゃった、どさくさにまぎれて
私のジュースあげちゃった、これって間接キスよね」
いまさらながら、アキは自分の行為によっていた
斉藤「そんなことより、どうするんです、まだ出番はあるんですよ」
ルミ「そうね、グズグズしてらんないのよね」
斉藤「面はこちらで直しておきました」
ルミ「はや!」
斉藤「さっきのできごともありますし、アキさんは顔がわれてますし、でるのは無理
でしょう、代役をたてましょう」
ルミ「そうね、そのほうがいいわ」
斉藤「ここはやはり、ケイスケくんがミケででればいいのでは」
アキ「え?」
ルミ「そうね、ケイスケみたかんじ小柄だしたっぱだってアキとかわんないし」
斉藤「まあもともと彼は介添えと交代のためにいるんですからね、彼にやってもらいましょう」
ルミ「そうね、じゃ、ケイスケ、頼むわね、アキ、いいでしょ?」
アキ「え?・・・う・うん」
斉藤「ケイスケくんもいいですね?」
ケイスケ「あ・・はい」
224人形屋
pm:21:10
斉藤「もう時間がありませんよ、二人ともはやく着替えてください」
こうなることは予想はついていたにもかかわらず俺の鼓動はたかなっていた、おなじく
アキも違う意味での興奮をかんじていた
アキ心の声「どーしよー、ケイスケが私の着ていた着ぐるみをきることになっちゃた
恥ずかしい、汗とか臭うだろうなー」
女の子とゆうのは、自分の汗などを他人に感じられたり臭われたりすることを激しく
きらうようだ、しかも、その相手が自分の意中の相手だったら・・
ケイスケ心の声「なんか複雑だな、こんなことになるなんて」
湧き上がる興奮が自分の下部につたわる
俺はいそいで、Tシャツとスパッツに着替え、いよいよ着ぐるみに足を通す、そして順に
左足をいれる、着ぐるみはいわゆるふかもこ系だ、手、足、胴体がすべてくっついている
足をとおすと中はまだほんのり熱が残っていた、まだアキの体温を残していた
両足をいれ腰もではきこみ、いっきに胴体と両手をさしこむ、手袋は肘まである
最初にうでまくりをして手袋をはめる、猫なので指は三つでちゃんと肉球もある
手袋にもアキの汗は浸透していてとうすと皮膚にふれたとき湿っていた、内臓のあんこも
しめっているようだ、新品のTシャツがいっきにアキの汗をしみこんで重くなった
内面をかぶる、これは俺の自前だ
225人形屋
pm:21:15
ケイスケ「おーい、だれか、ファスナー、あげてくれない?」
なんと以外にもアキがやってくれた
アキ「どう?ケイスケ、着ごこちは?ごめんね、私の汗しみちゃって臭くなってる
でしょ」
ケイスケ「え?ああ、けっこう重いな、アキこんなのいままで着てたのか、臭い?」
右手を鼻にあててかいでみる
アキ「もうやめてよーただでさえ恥ずかしいのに、女の子に恥かかせないでよー」
ケイスケ「ああ、こんくらいしょうがないよ、人間だれだって汗ぐらいかくし」
アキ「そうゆう、単純なもんじゃないの、ケイスケのバカ、もう知らない」
アキはおこってそっぽをむいてしまう
斉藤「さ、急いでください、面を被せますよ」
いよいよ面をかぶる、心なしか、この瞬間が一番緊張するのは俺だけだろうか
ウレタンを切り崩した面、首をはめると頭にあたる部分にヘルメットのようなものが
ありそこに頭頂部をすえる、視線はちょうどミケの口にあたる場所だった、口には
中がみえないようメッシュのようなものがはりつけてあった、今は自分の手が猫手
になっているので、斉藤にとめ具を固定してもらう
226人形屋
pm:21:20
カチッ さきほどのことがあってか、とめ具はがっちりくいこんでいる
これをさっきまでアキが被っていたものだと実感できそうな形跡はない、消臭スプレー
かなにかのにおいが空洞の面の中に充満している
ケイスケ「にしても、視界、狭!」
自分の声も空洞の反響効果でこもってきこえる
斉藤「ケイスケくん、外にでたらしゃべってはいけませんよ」
俺はOKポーズをとる
斉藤「それから、あなたはいまミケなんですからね、女の子キャラなんですから
そんながさつな、男むきだしのしぐさはやめてください」
ケイスケ心の声「そうか、俺はいまミケなんだ、それらしくしないと」
鏡にむかってみる、しばらく考えこんだあげく、すこし身体をしならせてみる
次にフワフワのスカートをなびかせるように回転してみる、そのいままでにない
感覚に目覚めそうになった、自分が動けば鏡にうつったミケが動く、動物だが
なんともかわいい容姿、フリルでヒラヒラの赤いスカートがなびく様にみとれて
しまった、鼓動がはやくなる、ドクン、ドクン
ケイスケ「なんだこの感覚、いままで感じたことない新しい感覚!」
そんな俺の行動をみていた斉藤がふてきにわらう
斉藤心の声「ふん、どうやら、彼の中にも種がねずいていたようですね、これは
おもしろくなってきました」
227人形屋
pm:21:25
さっきまでそっぽをむいていたアキが俺のほうをむく、俺もアキの視線を感じて、アキ
のほうをむく、両者互いにみつめあう
アキ心の声「きゃ、なに、これがケイスケなの、なんか不思議、いままで私があの
中にいたののに、なんだか自分で自分をみてるかんじ」
ケイスケ心の声「メッシュが邪魔でよくみえねえけど、アキも俺のほうをみてるみたいだ
よし、手をふってみよう」
ミケが急に自分にむかってかわいく手をふる
アキ心の声「なに?なんなの?かわいい、なんかケイスケじゃないみたい」
アキは照れかくしに手で顔を覆い、もじもじする
ケイスケ心の声「なんだ?なんかウケがわるいな、よーしこうなったら」
俺は思い切ってアキにハグしてみた
アキも突然のハグに動揺したが、着ぐるみごしにケイスケに抱かれたのがうれしかった
のか、たいした抵抗もせず、ミケの胸に顔をうずめた、その以外なこう動に動揺した
のは、俺のほうだった、裏をかいたつもりがまさかこんなことになるとは
アキ「ケイスケの胸きもちいいねー、あったかーい」
俺はもうそれどころではなかった、片思いだったアキの以外な行動、全身の血が逆流して
いるかのようだ、しかも、いままでアキ本人が着ていた着ぐるみにつつまれた中で
俺の下腹部の仲間も暴走していた
228人形屋
pm:21:30
斉藤「ゴホン、おとりこみ中すみませんが、もう時間ですから」
アキも俺もハッとしはなれお互い背をむける
アキ心の声「きゃ、私ったらなにおのろけてたのかしら」
ケイスケ「ぐ、どうしたんだ俺、なにやってんだ」
斉藤「アキさんは、こんどはこの衣装を着てでていただきます」
アキ「あ、はい、衣装って?」
斉藤「今日はイブですからね、サンタの衣装です」
と斉藤はアキに衣装をわたす、女の子用の白いワンピースの衣装に白いタイツに
白いエナメルのロングブーツに帽子をわたす
アキ「これ着てでんですか?」
斉藤「ええ、今日、これを着るはずのコが急にだめになったんで、あなたにやってもらいます」
アキ「あーでもかわいくないですかー、私、こうゆうの前から一度着てみたかったんですよー
あ、でも、私、さっきので顔われちゃてるんですけど」
斉藤「そうですね、じゃあ、このカツラをつけてメイクしましょう、それで大きく
印象がかわるものですよ」
229人形屋
訂正
アキ「これ着てでんですか?」

アキ「これ着てでるんですか?」
230人形屋
pm:21:35
そういって、斉藤は金髪のカツラをアキにてわたす
アキ「メイクってどうするんですか?」
斉藤「専属の係の人間がやりますよ」
アキ「そうですか」
斉藤「さ、私たちは、先にロビーにでて待機しておきます、あなたは22時までに
ロビーにでてください」
アキ「はい」
斉藤「さ、いきましょうか」
俺は斉藤に手をひかれ部屋をでる、でるまぎわにアキの方をみる、俺は一瞬ガンバレ
っとゆう合図をおくる、アキもそれに気がついたのか合図を送りかえす
一人になったアキは急いで斉藤からあずけられた衣装に着替える
コンコン ドアをノックする音がする
アキ「はーい、開いてますよ」
はいってきたのは、ちょっとオカマっぽい人だった
カズキ「はーい、どーもー、カズキでーす、あらーあなたがサンタちゃん?なにー
すごくかわいいじゃなーい、よーし、私のメイクでもっとかわいくして、あ・げ・る」
急にキャラクターの濃い人間にであったにもかかわらず、以外にもアキはのりきだった
233人形屋
補足説明
 この話は実際に私が体験したできごとに妄想をまぜているものです、こんなのあったら
いいななんておもって書いてます。まあ、ほとんど妄想なのでマジにとっていただかな
くても結構です。
 次の作者もまっているようなので、いっきにかきあげます。
234人形屋
pm:21:45
カズキ「はーい、時間もおしてるから、まいていくわよー」
アキを鏡の前にすわらせてメイクをはじめるカズキ
アキ「あのー、カズキさんはなんでこの仕事してるんですか?」
カズキ「なにって、そーねー、メイクが人をかえる、その感動がすきなの」
アキ「ふーん、そうなんだ、で、どうして今日はここにきてるんですか?」
カズキ「サイちゃんがどーしてもってゆうもんだからね」
アキ「サイ・ちゃん?」
カズキ「担当の斉藤さんよ、彼、私の店の常連なのー」
アキ「店って、まさか」
カズキ「それは、想像してみるといいわね」
絶句するアキ
カズキ「そーいえばさっき、彼がいってたわねー、才能のありそうなコをみつけたって」
アキ「え?」
カズキ「どんなコかしら、あとで紹介してもらちゃおうかしら、フフフ」
アキ心の声「それって、まさか、ケイスケのことじゃ・・えー」
どたばたさわぐアキ
カズキ「メイクがくずれちゃうでしょ、おとなしくしなさい」
235人形屋
pm:21:55
カズキ「はーい、おわったわよー、まー我ながらいいできねー、素材もよかったせい
もあるけど」
しかし、アキはそれどころではない
アキ「あ、ありがとうございました」
すぐにブーツをはいて、部屋をでるアキ
 (ホール)
斉藤「さ、もうすぐ客がでてきますよ、準備はいいですか?」
俺もできるかぎりかわいいしぐさでこたえた
斉藤「上出来ですね、(これは使える、カズキに自慢できる)」
そんなことに、なっているとはつゆしらず俺は客をまつ
コンサートがおわり劇場の扉が開く、親子連れや団体客がこっちにむかってくる
前半で握手をおえたため、今度は写真撮影だ、客はとめどなく流れ込んでくる
まとも撮れる子供はすくない、キャラクターに目がいってファインダーをみようと
しない子供、いきなりなきだして、どこかえいってしまう子供、思ったより時間が
かかる
ケイスケ心の声「はあ、けっこうきついな、って、なにすんだクソガキ!おすなよ
あー、きっとアキもこのなかでもまれてたんだろうな」
236人形屋
pm:22:00
ホールにかけこむアキ、目の前にはシャトーとミケと斉藤がみえる、しかも斉藤はケイスケ
のミケの近くにいるではないか、いそいでケイスケのほうにむかう
女の声「待ちなさい、あなたのポジションはこっちよ、どこえいくつもり」
その女は会場をとりしきるマネージャーのようだ
アキ「でも、ケイスケが・・」
女「ケイスケ?いまはそれどころじゃないの、さ、こっちよ」
女に腕をつかまれ無理やり連行されるアキ
アキ心の声「ケイスケが・・ケイスケがちがう方向へいっちゃう」
(ケイスケサイド)
しばらく続いた行列も終わり最後の一組になった、なんとそれはさっき、ミケを押し倒した
子供と母親だった
母親「子供がどうしてもとゆうもので、・・いいですか?」
斉藤「ええ、いいですとも」
子供「ごめんなさい」
そしてシャトーとミケにはさまれて写真をとる、かえりぎわに子供が喋りかける
子供「お姉ちゃん、ありがとー」
俺はなにもいえなかった、あの子供のなかでは、この着ぐるみにはまだアキが入って
いるとおもっているのだ。
237人形屋
pm:22:30
俺は、その子供がみえなくなるまで手をふった
会場のドアがしまり、今日のイベントがおわった、しかし俺もシャトーもまだ部屋に
はかえしてもらえなかった。
 スタッフの写真撮影がまっているのだ、ロビーにいたアキもこっちにくる、中には
すごくかわいいフロアガールたちに囲まれる
フロアガール「きゃーかわいいー」
携帯で写真をとったり使い捨てカメラやデジカメでとったりした、最後にシャトー、ミケ
アキ、斉藤で集合写真をとった
 (控え室)
斉藤「さ、お疲れ様でした、さ、まずは面をとりますよ」
シャトーとミケの面がはずされる
ルミ「おつかれー、あれ?アキは」
斉藤「シャワールームで着替えてます」
俺も面をとる、おもった以上に汗をかいている、下面も汗がしみていた
斉藤「さ、汚れものは洗濯します、各自、汚れ物をネットにいれて、あの籠にいれておいてください」
ファスナーおろしてもらい、俺は着ぐるみから身体をぬく
ケイスケ「あー終わったな、疲れた」
斉藤「洗濯は40分くらいでおわります、それまでに身支度をすませておいてください」
238人形屋
pm:23:10
終礼
斉藤「みなさん、今日はほんとにおつかれさまでした、トラブルもありましたが
こうして無事、イベントを成功させることができたのも皆さんの努力のたまもので
あると信じています」
女マネージャー「斉藤さんありがとうございます、今回のイベント、大入り満員でした
館長にかわってお礼もうしあげます、ありがとうござます」
斉藤「これで終礼を終わります、みなさんお疲れ様でした」
一同「お疲れ様でした」
斉藤「解散」
ケイスケ「終わったな」
アキ「うん、また来年あるといいね」
ケイスケ「そうだね、どうなんです?斉藤さん?」
斉藤「そーですねー、いろいろありましたが、あなたがたの働きはすばらしかったです
来年もお願いします、とくにケイスケくんにはね・・・」
ケイスケ「え?」
アキは斉藤がケイスケを別の道にひずりこもうとしているに気づく
アキ「ケイスケ、ちょっと大事な話があるのつきあって。」
ケイスケ「え?いいけど、なに?」
アキ「ルミ、ってこだから、ごめん」
ルミ「はいはい。お邪魔虫はかえりますよ、そのかわりあとでなんかおごりなよ」
240人形屋
pm:23:35
そして俺とアキは会場をあとにする、いつからだろう外には雪が降っていた
何年ぶりかのホワイトクリスマスだ
ケイスケ「斉藤のやつ、なにいおうとしてたんだろう、アキしらないか?」
アキ「え?ううん、知らない(ほんとはしってるけど)」
ケイスケ「そっか」
しばらく歩く
pm:23:55
アキ「ケイスケ、あのね、私ね、・・・ずっと前から・・」
アキの口を指でとめる
ケイスケ「待てよ、そうゆうことは、男の俺がゆううもんさ、好きだった、あった
ときから・・ずっと」
アキ「ケイスケ・・・」
           おわり
ご愛読ありがとうございます、ではヴァリオンさんがんばってください