愛と正義の美少女戦士ヴィーナスV(仮)

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289人形屋
200x年3月19日
 アキにとのことがあって約三ヶ月あまりが経過した、一人暮らしだった俺の生活
にも花が咲いたような気がした。
 アキは毎日遊びにくる、だが、俺はあのとき感じた感覚が忘れられないでいる
初めての着ぐるみとの感覚が俺の脳裏に焼きついてはなれない、今日もアキとの
デート中でもあるのに、一日中考え込んでいた。
 アキも自分の話を聞いてもらっていないことに不満をみせる
アキ「ちょっと、ケイスケー、私ね、クリスマスにケイスケに告白されたときね
すっごくうれしかったんだ、それでね・・・」
ケイスケ「あー」
アキ「それで・・?、ちょっと、聞いてる?」
ケイスケ「あー」
アキ「もー、なんか別のこと考えてるでしょ・」
ケイスケ「あー・・・って、そんなことないさ」
アキ「ほんとー?」
ケイスケ「なあ、アキ、俺さあんとき初めて着ぐるみしたんだけど、なんかすごく
思い出があってさ、忘れられないんだ」
アキ「そーなんだ、あのときは私がどじふんだからね」
ケイスケ「お前のせいじゃないっていったろ」
290人形屋
アキ「あのこ、いまごろどうしてるんだろうなー」
ケイスケ「でもあの子供は強いよ、アキは知らないかもしれないが、あのあと
写真撮影の最後に並んで待ってんだ」
アキ「え?そうなの?で、どうなったの?」
ケイスケ「一緒になかよく写真をとったよ、それで、その子供が最後に言い残した
言葉がいまでも記憶に残ってるよ」
アキ「なんていったの?」
ケイスケ「お姉ちゃんありがとー、だって、あの子供の中じゃミケにはまだアキが入って
いたようだな、なんか複雑な気持ちだったよ」
アキ「ふーん、そんなことあったんだ、私も入り口にいたけど気がつかなかったわ、あのこ
も私には気がついてなかったみたい」
ケイスケ「あの子供だって、みてはいけない現実をみたわけだし、たぶん2ステの間ずっと
自分の中で一生懸命整理したんだろうな」
アキ「そうね、私も顔をかくしてたんだけど、一瞬、目が合ったし、さすがにあのときは
私もどうしていいかわからなかったし」
ケイスケ「なあ、アキ、あのとき俺アキのかわりに着ぐるみしたんだけど、けっこう楽しかった
んだ、またやりたいな」
アキ「そうね、中はつらかったけど、子供の笑顔みてたらなんか疲れもふっとんじゃうね」
ケイスケ「そうだな、またやりたいな」
そのとき俺の携帯の呼び出し音が鳴る
291人形屋
ケイスケ「誰だろ?」
俺は携帯を開き受信ボタンをおす
ケイスケ「はい・・・あ、ルミさん、どうしたんです?」
ルミは俺たちの事務所の先輩である、クリスマスに一緒にイベントをした仲間でもある
ルミ「おはよう、・・あ、今、話してもいい?」
ケイスケ「いいっすよ」
ルミ「そう、あのさ、いきなりで悪いんだけど一週間後の26日なんだけど仕事してほしいんだけど」
ケイスケ「え?一週間後っすか・・・」
アキもそばでなんとなく聞いていた
アキ「え?ケイスケ、一週間後って・・・」
ケイスケ「ああ、まずいな」
ルミ「あれ?もしかしてアキも一緒なの?」
ケイスケ「ええ、まあ、一応」
ルミ「そう、じゃあ、ちょうどよかった、アキにもいおうとおもってたの」
ケイスケ「で、なんなんすか、仕事って」
ルミ「新しいアニメ番組の番宣で、着ぐるみで、出てほしいの、この仕事、ほんとは
私が受けてたんだけど、その日は舞台でNGなの、この仕事はうちの事務所の
大事なクライアントなの、だから、ね、頼めるかしら?」
ケイスケ「・・・いまはどうっていえないんで、今日中に折り返し電話します」
ルミ「そう、じゃ、いい返事まってるわ」
292人形屋
ピ 俺は携帯を閉じる
ケイスケ「ふー・・まずいな」
アキ「なんだったの?」
ケイスケ「ああ、一週間後の26日に仕事だってさ、アキにも電話くるぜ」
アキ「えー・・だって一週間後は・・」
ケイスケ「わかってるって、でも、事務所もルミさんもおれたちしかいないって
頼んできたみたいだし、仕事も同じ現場みたいだし、仕事が終わったら・・」
アキ「ケイスケは私と仕事とどっちが大切なの?」
男にすればこの質問をかけられるのが一番つらい
ケイスケ「そうゆうことゆうかな?その質問が一番つらいんだけど」
アキ「で?どっち?」
ケイスケ「それはアキにきまってんだろ」
アキ「じゃあ仕事断ってよ。」
ケイスケ「う・・わかったよ」
俺は携帯をだす
アキ「で、どんな仕事なの?」
俺はメモリーから事務所の番号を検索する
ケイスケ「ああ、なんでもアニメ番組の番宣でキャラクターの着ぐるみで出演だって」
プルルル(ああルミさん怒るだろうな、ってか、着ぐるみやりたかったな)
293人形屋
そのときアキが思いがけない行動にでる、いきなり俺の携帯をひったくり電源をきる
ケイスケ「うお?いきなりなにすんだよ」
アキ「ケイスケ、さっきいったことほんと?」
ケイスケ「なにが?」
アキ「仕事よ仕事、着ぐるみで番宣って。」
ケイスケ「ああ、ルミさんはそういってたな」
アキ「ケイスケ、やりましょ」
ケイスケ「あ・・・でも、一週間後は、って俺はお前が断れっていったから」
アキ「あれは忘れて、おもしろそうじゃない、やりましょうよ、ね、ね」
アキは俺の右袖をひっぱり、ゆする
ケイスケ「わかったよ、ちゅうか、アキ、お前密かに着ぐるみにはまってんだろ?」
アキ「えへっ実はそうなんだ、この前のではまったみたい、ケイスケだってやりたいんでしょ?」
ケイスケ「まあな、アキはなんで着ぐるみすきなんだ?」
アキ「女は変身願望がつよいのよ、それに衣装もかわいいし・・って、ケイスケはどうなの?」
ケイスケ「そうだな、自分が自分じゃない感じ・・かな?」
アキ「あ、でもなんとなくわかるその感じ、着ぐるみしてるときも、あと私とケイスケがかわった
とき、はじめて客観的にみたんだけど、なんか自分にみられてるようだったし」
ケイスケ「俺もアキをみてたけど、あのときの自分はからっぽだった、ミケとしてお前をみてた」
アキ「だからなのね、私もあのときはミケの中のケイスケをまったく感じられなかったんだ」
310人形屋
ケイスケ「じゃ、やるってことでいいんだな、ルミさんに電話するけど」
アキ「うん、はい、携帯」
アキはひったくったケイスケの携帯を返す
俺はリダイヤルで事務所に電話をかけた プルルル!
ルミ「はい、オリエンタルな味と香りの・・じゃなかったTAC事務所です」
ケイスケ「あ、ルミさん、俺っす」
ルミ「俺って誰ですか?あなた、さては最近はやってる、オレオレ詐欺の連中ね、私を騙そうたって
そうはいかないわよ」
ケイスケ「すみません、ケイスケです」
ルミ「あ・・あー、ケイスケか、まったく、俺じゃわかんないじゃない」
ケイスケ「すみません、ってルミさんだって、なにがオリエンタルな味と香りですか、いつも電話
はそんなんで受付てるんですか?」
ルミ「なにいってるの、いつもはこうじゃないのよ、で、やるの?」
ケイスケ「ええ、アキもやるっていってるし」
ルミ「そう、じゃあ詳細は後日おって連絡するから、アキにもよろしくいっといて」
ケイスケ「はい、お願いします」
ピ 電話をきり、内ポケットにしまう
アキ「なんだか、楽しみだね、でも、私はケイスケと一緒に仕事できるならなんでもいいって
感じ、それに、また着ぐるみやれるなんて、それにケイスケって着ぐるみすると急にかわいく
なるんだもん、びっくりしちゃった」
311人形屋
俺はアキの言葉を聞いて、はっとあのときの感覚を思い出す
ケイスケ心の声(そ、そうだ、俺はあのとき、いままで感じたことない感覚に襲われたんだ)
ケイスケ「なあ、アキ、俺、そんなにかわいくみえたか?」
アキ「うん、私、見てたんだよ、ケイスケのミケが鏡の前でしなってるとこ」
ケイスケ「げ!見てたのか?」
アキ「うん、そのあと、クルクル回って、スカートなびかせてたでしょ?」
ケイスケ「・・・」
アキ「あ、でも、すっごくかわいかった、私、女だけど本気でかわいいなって思ったし」
アキ心の声(でも、素直には喜べないのよね、ケイスケが別の方向に目覚めるかもしれないし)
ケイスケ「そっか、でも、あのときはミケが女の子キャラってゆう特別な条件だったせいなの
かもしれない、俺は男だ、けど、あのときは男を捨てなきゃいけなかった、斉藤もそんなこと
いってたし」
アキ心の声(う、斉藤、だめケイスケ、斉藤はあなたを狙ってたのよ、毒牙がケイスケに刺さる
寸前だったんだから)
そんなアキの気持ちもうわのそらで、さらに追い討ちをかけるケイスケの言葉
ケイスケ「なあ、アキ、俺もしかしたら、やばい方向に目覚めそうになってないか?」
アキ「えー、そんなことないよ、そんなこと・・・」
アキの脳裏に斉藤の顔がうかぶ、一人で暴れるアキ
ケイスケ「おいおい、なに一人でアバレてんだ」
312人形屋
我にかえるアキ
アキ「ううん、なんでもないの、気にしないで」
ケイスケ「気にするなといわれると、余計、気になるもんだろ普通、ってゆうか今日のアキなんか
変だぞ、俺になにか隠してないか?」
ドキっとするアキ
アキ心の声(いえない、いっちゃだめなの、ケイスケ、ごめんね)
ケイスケ「アキ、俺の眼を見ろ、怒らないから本当の事言ってくれ」
アキ心の声(だめ、真剣な眼で見ないでよ)
アキ「あー、景色が綺麗だねー」
ケイスケと眼があわせられないため強引に話題をかえた
ケイスケ「アキ・・・」
しばらく無言で歩く
アキ「ね、どんなキャラクターなのかな?」
ケイスケ「さあ?ルミさんはアニメキャラだとしかいってなかったし、どうせまたこの前
みたいなキャラクターじゃないかな、知らないけど」
アキ「そおかなー、私ね、もっといろんなのやってみたいなー」
ケイスケ「例えば?」
アキ「前は動物だったじゃない?こんどは人間タイプのがいいな、きれいなドレスのお姫様
とか、あ、でも男の子もやってみたいな、なんだか面白そうだし」
ケイスケ「ふーん」
313人形屋
アキ「ケイスケは?」
ケイスケ「俺か、俺は・・・そうだなー」
俺は迷っていた、この間のこともあり女の子キャラといいたいが、ここはたてまえで
ケイスケ「俺は、ヒーローかな、@@レンジャーとか」
しかし、そんなたてまえをアキは見透かしていた
アキ心の声(ケイスケったら、きっと嘘ね、私の感ではきっと女の子キャラやってみたいって
思ってる)
アキ「へー、・・・で、ほんとは?」
ケイスケ「え?ほんとって、どうゆうことだよ」
アキ「ふふ、いいの、聞かなくてもわかってるから」
ケイスケ「なんだよ、気になるじゃんか、教えてくれよ」
アキ「ひみつ、じゃ、私、これから友達とあう約束してるの、またあとで電話するね」
ケイスケ「友達って?」
アキ「心配しないで、女友達よ、じゃあね」
ケイスケ「ああ、じゃあな、またあとでな」
俺はアキの後ろ姿をいつまでもみていた、季節は春だがこの日は妙に寒かった
ケイスケ「さ、帰るか、コンビニで夜食かってかえらねえとな」
すると、内ポケットにしまった携帯がなりだす
ケイスケ「はい、渡辺ですが」
ルミ「あ、ケイスケ、私よルミよ」
314人形屋
ケイスケ「あ、ルミさん、どうしたんです」
ルミ「さっき言いわすれたんだけど、今回の仕事、内の事務所からは3人でることになってるの」
ケイスケ「え?3人って、俺とアキと・・あとは誰なんですか?」
ルミ「新人さんがいくことになってるの、たしか女の子だったと思うけど」
ケイスケ「そうなんですか」
ルミ「アキ、いる?」
ケイスケ「いえ、いまさっき、友達と会うっていって別れたばかりなんです」
ルミ「そう、ならしかたないわね、アキにはあとで私のほうから連絡しとくわ」
ケイスケ「じゃ、そうゆうことで」
ルミ「あ、もしかしてケイスケいま1人?」
ケイスケ「ええ、まあ」
ルミ「晩御飯まだなんでしょ?」
ケイスケ「ええ、これから、コンビニで買うつもりでしたが」
ルミ「だめよ、いつもそんなの食べてたら栄養かたよるじゃない、どう?私の部屋で一緒に
たべない?お姉さんが栄養のあるもの食べさせてあげる」
ケイスケ「気持ちはありがたいんですが、ルミさんも知ってるでしょ、俺とアキは」
ルミ「もちろんしってるわよ、けどね、けどね、私ももうじき三十路なのにこれといった相手
もいないし、私、こうみえても寂しがりやなの、一人の食卓も寂しくなってきたの」
ケイスケ「ルミさん・・・」
ルミ「ってことだから、まってるわね」 プー、プー 電話がきれる
321人形屋
ケイスケ「あの、あ、ルミさん、もしもし?・・・切れてる」
 ケイスケ心の声(まいったなー、でも行かないと後でどうなるかわかんないしな)
 俺はそのままルミの家にいった
 ピンポーン ドアホンを鳴らす、なかでなにかドタバタ音がする
 ケイスケ「ルミさーん、ケイスケです」
 ルミ「はいはい、待ってね、今開けるから」
 ガチャ 鍵が開く音がする
 ルミ「いらっしゃい、寒いでしょ、中に入りな」
 ケイスケ「お邪魔しまーす」
 ルミ「邪魔するんだったら帰って・・って、うそうそ」
 ケイスケ「けど、まずいっすよルミさん、こんなことアキに知れたら・・」
 ルミ「なーに、そんなこと気にしてたの、心配ないわ、アキはケイスケがここにいること
 知ってるから」
 ケイスケ「まじっすか?」
 ルミ「アキもあれであなたのこと心配してるのよ、いつもカップラーメンばっかり食べてる
 アナタの身体を心配してるのよ、こないだアキからそんな相談されてね、アキ料理が下手
 なのしってるでしょ、今、練習してるんだって、それでねおいしいもの食べさせてあげてと
 アキからいってきたのよ」
 ケイスケ「そうなんですか・・(アキのやつそんなことしてたのか)」
322人形屋
ルミにダイニングルームに招かれる
 ルミ「さ、今日はすき焼きよ、ケイスケのために作ったのよ、安心して、肉は国産牛肉だ
 から」
 ケイスケ「そうですね、今、肉もいろいろやばいですしね」
 俺は腹も減っていたので、食べはじめた
 ルミ「ねえ、ケイスケ、あなた次の仕事どう思う?」
 ケイスケ「どうって、アニメ番組の番宣でしょ?」
 ルミ「そうね、ほんとは私とアキとでいくはずだったんだけど、私は別に舞台があってNGなの
 どうしようかなっておもってたんだけど、前にケイスケが着ぐるみやったことあるの思い出してね
 社長に許可もらったのよ」
 ケイスケ「ふーん、で、俺があがってきたってことっすか、ところで俺もアキも気になってたんですけど
 どんなキャラクターなんですか?この前みたいなのですか?」
 ルミ「やっぱりね、気になってると思ってたわ、はい、これが資料よ、やる前に目を通しておくのも
 大切ね」
 ルミは封筒をケイスケにわたす、封筒の中身を確認する
 ケイスケ「なになに・・愛と正義の美少女戦士ヴィーナスV・・・」
 ルミ「そ、この春からテレビで放送されてる大人気アニメなの、知らないの?」
 ケイスケ「いえ、アニメ見ないもんで」
 ルミ「それはいけないわね、はい、これそのアニメのビデオだから役づくりしといて」
 ケイスケ「美少女ですか、じゃあ俺はこの二枚目の男ですね」
323人形屋
ルミ「え?それはあんたはこれ、水の精霊ブルーアクエリアスよ」
 ケイスケ「え?水の精霊ブルーアクエリアス?ってこの女ですかー」
 ルミ「そうよ、あなたなら、他の子たちとたっぱも体型もかわらないし」
 ケイスケ「ちょっと待ってくださいよ、よりにもよって女の子キャラなんて」
 といってみたものの、内心かなりドキドキしていた
 ルミ「あんたさ、実は女の子キャラやりたかったんじゃないの?」
 ケイスケ「そんなことは・・・」
 ルミ「隠すことないわ、今回の仕事、私が社長に直訴してまであんたを押したのには
 理由があるの、あなたには才能があるわ、前にやったミケでポーズとってたでしょ?」
 ケイスケ「なんだ、ルミさんにも見られてたのか、まいったな」
 ルミ「にもって、?」
 ケイスケ「さっき、アキにもおなじこといわれたんですよ、でもアキのやつそんな俺
 をみてなんていったと思います?」
 ルミ「なんていったの?」
 ケイスケ「かわいいって」
 ルミ「はは、そっかー、たしかに、あのときのケイスケはかわいかったわ、はは」
 ケイスケ「ルミさん、笑い事じゃないっすよ」
 ルミ「ごめん、ごめん、けどかわいかったのは事実よ」
 ケイスケ「ルミさんまで、ひどいっすよ」
324人形屋
ルミ「で、アキもあんたの変身は認めてるってことね、これはやりやすくなったわね」
 ケイスケ「そんな、俺、俺、できるんでしょうか?」
 ルミ「それはあなたしだいだけど、私はできるって信じてる」
 ケイスケ「ルミさん」
 ルミ「あんた、自分が思ってるより無意識に才能を開花させてるのよ」
 ケイスケ「そうなんですか・・・」
 ルミ「だけど、今回はまえのようにはいかないわ、こうゆうショーには目の肥えた大人
 がきてる場合がおおいの、残り一週間で全力でダイエットにはげんでちょうだい」
 ケイスケ「そんな人たちがいるんですか、しりませんでした」
 ルミ「そ、まあ、あなたはあなたの仕事をやればいいの。」
 俺はなにか複雑な気持ちだった、こみあがる不安と期待が交錯する
 前のときとは違う着ぐるみ、しかも衣装もスタイルもいい女性キャラクター
 に興奮が隠せないでいた。
 すきやきもたべおわり、かえりのしたくをする、すると携帯電話がなる
 プルルル 電光掲示板にアキの名前が掲示される
 ケイスケ「もしもし、アキか、どうしたんだ」
 アキ「どうしたじゃないよ、いまどこなの?」
 ケイスケ「え?あ、ああ先輩の部屋だよ、あれから呼ばれたんだ」
325人形屋
アキ「そう、じゃあまだ部屋じゃないんだ」
 ケイスケ「でも、いまから帰るとこなんだ、アキも友達にはあえたのか?」
 アキ「うん、とってもたのしかったよ、じゃあまた明日ね」
 ケイスケ「ああ、おやすみ」
 アキ「おやすみ」
 電話がきれる
 ルミ「なんで私の部屋っていわなかったの?」
 ケイスケ「いや、なんとなく・・」
 ルミ「ま、いいけど、じゃ、わかってるわね」
 ケイスケ「はい、ご馳走様でした・」
 ルミ「いいのいいの、またきてね」
 俺はこうしてルミの部屋をでた、帰路でいろいろなことを思い浮かべる
 ケイスケ「なんだかとんでもない仕事ひきうけちゃったな、着ぐるみはやりたいけど
 次のはちょっと自信ないな」
 しばらくとぼとぼ歩く
 人気のない、暗い路地にさしかかると路地から誰か走ってくる
 ドン すごい勢いでぶつかる
 ケイスケ「あいたたた、っておい、大丈夫か?」
 そこに倒れていたのは赤いコートの女が倒れていた
327人形屋
俺は赤いコートの女をゆする
 ケイスケ「おい、大丈夫かー、もーしかたないな」
 俺は近くの自室に運び込む、ある意味かなり大胆な誘拐である
 俺のアパートは2階の角部屋だ、カンカン、鉄の階段をゆっくりあがる
 鍵を開け、部屋に入る、女をベットに寝かせると俺も上着を脱ぎ部屋着になる
 それからどのくらいたったどろう、やっと女が意識を取り戻す
 女「あれ?ここ、どこなの?」
 ケイスケ「あれ気がついた、キミ、俺とぶつかって気絶してたんだ」
 驚く女
 女「えー、そうなんですか、すみませーん」
 ケイスケ「いいよ、俺も前を見なかったのがいけなかったわけだし」
 女「それでわざわざ自室まで運んできていただいたわけですね」
 ケイスケ「まあね、ほっとけないだろ、女の人を道に残しておけないし」
 女「そうですよねーこんなか弱い女を1人おいてくなんて、ありえないわ」
 ケイスケ「ところで、キミなんで急いでたの?」
 女「それは・・・」
 ケイスケ「いいたくないなら無理に言わなくていいよ」
 女「友達と飲んでて、酔って帰えってたら道に迷って、悔しくなって空き缶けったら
 怖いお兄さんに当って、追いかけられてたの」
328人形屋
ケイスケ「そうなんだ(なんだか天然っぽいぞ)」
 女「じゃ、いつまでもお邪魔するわけにはいけませんので、私、これでおいとまします」
 ケイスケ「まあまあ、夜も遅いし今日はここで休んでいきなよ」
 女「そんな、みずしらずのおかたに、しかも男性の部屋にいすわるなんて」
 ケイスケ「あー、いいよ、俺、彼女いるしって関係ないか、遠慮しなくていいよ」
 女「でもー、彼女さんいるんだったたら、ますますまずいんじゃないですかー」
 ケイスケ「うーん、まあそうだけど、夜も遅いし、まだその男がいるかもしれないだろ」
 女「そうですね、じゃあしばらくお世話になります」
 ケイスケ「コーヒーと紅茶どっちがいい?」
 女「あ、おかまいなく・・・とりあえず、コーヒーで、あ、私のはミルクとお砂糖たっぷりで」
 俺は台所でお湯をわかす
 ケイスケ「あ、ところでまだ名前きいてなかったね、名前教えてもらえないかな?」
 女「わたしはー・・・」
 ケイスケ「ごめん、いいたくないんなら無理には聞かない、俺はケイスケ、渡辺けいすけだ
 よろしく」
 女「トミーっていいます、あだ名ですけど」
 ケイスケ「トミー?へーあだ名でもいいよ、いつまでもキミじゃだめだし」
 トミー「ほんとにすみません、ここまでお世話になって自分の素性を明かさないなんて」
 ケイスケ「いいよ、初対面で自分のことあまり話さない人はいるよ」
329人形屋
ピー コンロにかけておいた、やかんから音がする、あらかじめマグカップにいれておいた
 コーヒーの粉末にお湯を注ぐ、トミー用にミルクと砂糖を入れる
 ケイスケ「はい、トミーちゃん、ミルクと砂糖入れといたよ」
 トミー「あー、ありがとーございますー、うれしいです」
 コーヒーを飲みながらまったりする二人、するとトミーがなにかをみつけたように俺を凝視する
 ケイスケ「?どうしたの?俺の顔になんかついてる?」
 彼女はマグカップを置き、俺の後ろにあるテレビの上の写真を手にする
 トミー「これは・・・」
 ケイスケ「ああ、それね、クリスマスにとった写真だよ」
 トミー「けど、ケイスケさんが写ってないですよ」
 ケイスケ「はは、そりゃそうさ、俺はこのとき着ぐるみだったから」
 トミー「え?着ぐるみってこのタキシードの犬ですか?」
 ケイスケ「いや、横のミケってゆうメス猫だよ、なんだか恥ずかしいな」
 トミー「かわいいー、ケイスケさんじゃないみたいです」
 ケイスケ「かわいい・・(またか)」
 トミー「かわいいですー、あ、でも、ケイスケさんの左下に写ってる白いサンタの女の人もかわいい
 ですねー」
 ケイスケ「じつは、そのこが俺の彼女なんだ・・・」
 トミー「えー、ほんとですかー、こんな美人の彼女さんいてケイスケさんもてるんですね」
330人形屋
トミーはその写真をいつまでも眺めている
 トミー「ケイスケさんのミケ猫かわいいですね、変に色気がでてるしー」
 ケイスケ「そうかなー、俺もこときが初めての着ぐるみだったんだ、最初は彼女がミケに入って
 たんだけど、ちょっとトラブルがあって、途中から俺がやったんだ」
 トミー「わー、なんだか運命をかんじますねー」
 ケイスケ「そうかなー」
 トミー「犬は誰がやってるんですか?」
 ケイスケ「ああ、俺の仕事の女先輩だよ」
 トミー「へー、女の人が入ってるんですか、私、そうゆうのあこがれちゃうなー、同じ女として」
 ケイスケ「トミーちゃん、着ぐるみ好きなの?」
 トミー「大好きなんですー、私、スーツアクトレス目指してるんです」
 ケイスケ「あーそうなんだー、そうゆう学校にいってるの?」
 トミー「学校ってゆうか着ぐるみ演劇の劇団員なんです、まだ研修生ですけど」
 ケイスケ「へーじゃあ、セミプロってとこだね、すごいなー」
 トミー「すごくないですよ、着ぐるみもまだ指で数えられるくらいしかやってないし」
 ケイスケ「俺なんかこの日にたまたまこの仕事で着ただけだからなー」
 トミー「ケイスケさんはどんな仕事をしてるんですか?」
 ケイスケ「人材派遣だよ」
331人形屋
トミー「私も役者だけじゃまだ食べてけなくて、バイトしてるんです」
 ケイスケ「へー、トミーちゃんも苦労してるんだね」
 トミー「う、先月もつらくて、最近あんまり食べてないんです」
 ケイスケ「よかったらパン食べる?」
 なぜか俺はパンが好きだった
 トミー「私、着ぐるみすると性格かわるんです、面とか被るとスイッチが入るみたいなー、って
 ゆーか、もう、癖になる楽しさ、女って変身願望が強いのです」
 ケイスケ心の声(そういえばアキもおなじこといってたっけ)
 ケイスケ「このときは初めての着ぐるみだったし、しかも女の子キャラだったし、やりにくかったよ」
 トミー「でも写真みるかぎり中身が男なんて感じないくらい自然だし、セクシーだし」
 ケイスケ「やめてけれよ、恥ずかしいな」
 トミー「ケイスケさんきっと才能あるんですよ、よかったらうちの劇団にきませんか?」
 ケイスケ「いや、まだわかんないよ、そこまでの覚悟もないし」
 トミー「大丈夫ですよ、ケイスケさんならきっとできますよ」
 ケイスケ「でもなー事務所もあるし、あいつがなんてゆうか・・」
 トミー「迷ってるならやってみませんか?見にくるだけでもいいので、住所教えるので今度
 見学にきてくださいよ、彼女さんと」
 ケイスケ「あ、ああわかったよ(ずいぶん積極的なんだな)」
 トミー「約束ですよ」
332人形屋
訂正  331
ケイスケ「やめてけれよ、恥ずかしいな」

ケイスケ「やめてくれよ、恥ずかしいな」
342人形屋
そんな話をして俺とトミーは朝まで遊んでいた
 3月20日 AM:7:00

 ケイスケ「あー楽しかったな、もう朝だよ」
 トミー「そうですね、じゃあ、私このへんでおいとまします」
 ケイスケ「朝飯,食べてけばいいのに」
 トミー「いえいえ、これ以上ご迷惑はかけれませんから」
 ケイスケ「そっか、じゃあ、近くまで送るよ」
 そして俺とトミーは部屋を出た、結局また話こんでしまい
 駅までおくっていくことになった
 トミー「じゃあ、もう、ほんとにここでいいので、ありがとうございました」
 ケイスケ「ああ、じゃあね、また会えるといいね」
 トミー「きっとあえますよ、信じてたらきっと・・」
 そういって、トミーは駅の中に吸い込まれるように消えていった
 ケイスケ「なんか、不思議な女性だったな」
 俺はそのまま、近くの喫茶店でモーニングを食べた
 それから運動もふまえて、わざと遠回りして自室にかえった
 部屋のドアをあけて中にはいる、テーブルの上に携帯電話が置いてあった
 ケイスケ「これは・・きっと彼女のだ、まいったな、忘れていったんだ」
 すると、いきなり携帯が鳴り出す
343人形屋
ケイスケ「うお!びっくりしたー」
 プルルル プルルル 俺はおそるおそる受信ボタンをおす
 ケイスケ「・・もしもし・・」
 トミー「はーい、ケイスケさん、トミーでーす」
 ケイスケ「もー驚かさないでくれよ、携帯、忘れてるよ」
 トミー「わかってますよ、正確にいえば置いていったんです」
 ケイスケ「はあー?なに、わざとなの、なんでそんなこと」
 トミー「そうすれば、またケイスケさんに会えるような気がしたから・・じゃだめですか?」
 ケイスケ「なにいってるんだよトミーちゃん、俺には彼女が・・」
 トミー「わかってます、わかってる、けど・・私、初めてケイスケさんにぶつかったとき運命を感じたんです
 、私、いままで、あんまり男性に優しくされたことなくて、ケイスケさんの優しさが私の恋愛DNAに
 激しく刺激をあたえたんです。」
 俺はなにもいえなかった
 トミー「悪いとは思いつつもこうして携帯を置いてきてしまったんです」
 ケイスケ「でも、それだとトミーちゃん携帯なくて困るんじゃない?」
 トミー「ああ、その点は心配なく、それはプリペイド携帯なんで、私はもう1台もってますし、料金は私が
 支払いますから、それ、持っててください」
 ケイスケ「いや、それはまずいよ、俺にはアキがいるし」
 トミー「アキ?彼女さんの名前ですか?」
 ケイスケ「まあね」
344人形屋
トミー「じゃあ、そのアキさんにもいつか会いたいです」
 ケイスケ「いや、それはまずいよ」
 トミー「じゃ、そうゆうことで」
 ケイスケ「どうゆうことだよ・・・あれ、きれた」
 俺は彼女の携帯をアキのみつからないところ隠した
 すると、こんどは俺の携帯がなりだした
 ケイスケ心の声(アキだ、間違いない)
 ケイスケ「お、おはようアキ」
 アキ「おはようケイスケ、いまから行っていい?」
 ケイスケ「いや、今はまずい、それよりアキ、今度の仕事のことで話があるんだ」
 アキ「そう、じゃあ、10時に駅で待ち合わせしよう」
 ケイスケ「ああ、わかったよ、じゃあまたあとで」
 アキ「うん、またあとでね」
 と、俺は携帯をたたむ
 ケイスケ「ふー、なんだかややこしくなってきたな」
 俺は昨晩、ルミにもらった、仕事の資料をリュックにいれて部屋をでた
345人形屋
AM:10:00

 駅についた俺は待ち合わせ場所につく
 少し遅れてアキが駅からでてくる
 アキ「ごめーん、待った?」
 ケイスケ「いや、俺も今きたところさ、さ、こんなとこで立ち話もなんだから店にはいってはなそう」
 アキ「そうね」
 そして俺とアキはちかくのファーストフードの店に入った
 とりあえずなにか適当にたのんで席についた
 アキ「で、仕事の内容とかわかったの?」
 ケイスケ「ああ、これなんだけど」
 俺はリュックの中から封筒をだしてアキに渡す
 アキ「これどうしたの?」
 ケイスケ「昨日、帰りに事務所によって資料をもらってきたんだ」
 アキ「そうなんだ、なになに、愛と正義の美少女戦士ヴィーナスV」
 ケイスケ「そのアニメの番宣みたいだ」
 アキ「へー、美少女ねー、あーでもかわいいねー、私こんなのやってみたかったんだー」
 ケイスケ「俺はあまり・・・」
 アキ「えーなんで、ケイスケはこの二枚目のイケメンでしょ、で私が主人公の女の子で・・楽しみ」
 ケイスケ「いや、俺はこれなんだ」
346人形屋
俺は自分の役のキャラクターを指差す
 アキ「えー、これ女の子じゃなーい」
 ケイスケ「そうなんだ、水の精霊ブルーアクエリアスってゆうんだ」
 アキ「マジでー、で、私は?」
 ケイスケ「あ、悪い、アキの聞いてない」
 アキ「なによー、でも、ケイスケがねー、ふーん」
 ケイスケ「なんだよ?」
 アキ「なんでもない、でも、ケイスケならいいかも」
 ケイスケ「どうゆことだよ?」
 アキ「昨日もいったじゃない、ケイスケって才能あるって、男なのに男じゃないみたい」
 ケイスケ「なんだよ、俺には男としての素質がないってこと?」
 アキ「そうじゃないよ、ケイスケはいい男よ、でもいい女でもある」
 ケイスケ「どうゆうこと?」
 ジュースをのみ一息する
 アキ「私、時々、ケイスケを見失いそうになるの、別人みたい」
 ケイスケ「そっかー、でも自分でも意識してないしな」
 アキ「でも楽しみ、また着ぐるみできるし、しかもこんどは人間みたいだし」
 ケイスケ「どう?これからキャラショーでもみにいかないか、参考になると思うけど」
 アキ「それいいね、行こうよ」
354人形屋 ◆Rd2SBwnE
市内某デパート屋上
 アキ「ついたねー、わー子供がいっぱいだねー」
 ケイスケ「ちょっと恥ずかしいな」
 アキはステージが開始されるまで、屋上遊園地で遊んでいた
 アキ「ケイスケもおいでよー、一緒に乗ろうよー」
 ケイスケ「俺はいいよ」
 アキ「じゃあ、ケイスケは写真撮ってよ、私のハンドバックの中にカメラあるから」
 俺はいわれるがままにアキのハンドバックからデジカメをとりだす
 ケイスケ「こっち向いてくれよ」
 アキは満点の笑みを浮かべる
 すると店の中からうさぎの着ぐるみが風船をもってでてきた
 俺の後ろにいたので写真撮影に夢中の俺は気がつかなかった、アキが急にこっちを凝視するので俺も回りを見渡す
 アキはこっちに一直線に走りこんでくる、俺の横を通り過ぎウサギの着ぐるみにハグする
 アキ「きゃーかわいいー」
 アキはまるで子供のようにはしゃぐ、着ぐるみのほうも愛想はふりまいているものの実に迷惑そうだ
 ケイスケ「おいおい、子供じゃないんだから」
 アキ「ケイスケもおいでよーきもちいいよー」
 そのとき俺には一瞬、着ぐるみが俺のほうをみるようなしぐさをしたようにみえた
 ケイスケ「おいおいアキそんなにしがみついたらウサギだって大変じゃないか、それはアキもわかってるだろ」
 アキ「そうね、ウサギさんごめんなさい」
355人形屋 ◆Rd2SBwnE
ウサギもまるで、いいよ、みたいなポーズをとる、そして手にした風船をアキに渡す
 アキ「ありがとー、見てケイスケ、風船もらちゃった」
 ケイスケ「ああ、よかったな、そろそろショーがはじまるぜ」
 アキ「うん、じゃあまたねー」
 とアキは着ぐるみに手をフリ、ケイスケの方に駆け寄っていく
 ステージの客席にくる
 ケイスケ「どこにするかな?」
 アキ「どうせなら一番前にしようよ」
 ケイスケ「そうか、あぶなくないか?」
 アキ「いいの、こうゆうのは一番前がいいって相場が決まってるのよ」
 ケイスケ「どんな相場だよ」
 アキ「ねえ、ケイスケ、どんなショーなの?」
 ケイスケ「あ、ああ、魔法戦隊マジックマンだそうだ」
 アキ「へー戦隊ね、そういえばケイスケ、こうゆうの好きだっていってたわね」
 開始30分前になりマジックマンの主題歌がながれだす
 上手と下手のスピーカーから心臓にも轟く轟音がなりひびく
 アキ「ケイスケ、すごい音だね」
 ケイスケ「え?聞こえない、なんていったの?」
 アキ「すごい音ね」
 ケイスケ「そうだな」
356人形屋 ◆Rd2SBwnE
 一方、さっきまで子供と遊んでいたウサギの着ぐるみもショー開始30分前になると忽然と姿を消していた
 どこにいったかとゆうと、ステージ裏のスタッフルームだった
 部屋に入るとおなじような動物の着ぐるみがいる
 スタッフ「お疲れ様、頭とっていいよー」
 着ぐるみたちは一斉に頭の被り物をとる、ここの着ぐるみたちの中身は全員女の子なのである
 バイトの女子高生から女子大生やフリーターもいる
 女「あっつーい、いっくら時給高いっていったってこれじゃゆでだこになっちゃう」
 女2「しかも子供とかうざくない?やったらしがみついてくるしー、やってらんないマジで」
 女3「我慢しなよー、今、金ないしさー、ダイエットもできるじゃん」
 女2「そうだけどー」
 女「あ、ちょっとファスナー降ろしてくれない」
 女4「はい」
 女「サンキュー」
 そうしながら、全員が着ぐるみを脱ぐ
 女3「あーあ、Tシャツがびしょびしょだよー」
 女2「マジでー?あたしなんかブラ透けてるしー」
 女3「なにババシャツ着てんだよーだっせー」
 女2「うっせーよ、寒いんだよ、風、ビュービュー吹いてんじゃん」
 そんな彼女たちもなかにも一人しずかなコもいる
 女「どーしたの?疲れた?」
357人形屋 ◆Rd2SBwnE
女4「ううん、大丈夫、私こうゆうの慣れてるから」
 女「じゃあどうしたの?元気ないね」
 女4「さっきね、知り合いの人をみかけたような気がするの」
 女「へー、で、どんな人?、男?」
 女4「うん、まあね」
 女「えーマジで、あんたもすみにおけないね、彼氏?」
 女4「そんなんじゃないけど、でもいい男よ」
 女「こんど紹介してよー」
 女4「無理よ、なんか彼女いたみたいだし」
 女「えー残念、あーあ、私にもいつかはくるのかしら白馬にのった王子様が」
 女2「おいおい、冗談は顔だけにしといてくれよ、あんたじゃ一生こねえよ」
 女「なによ、それどうゆう意味、私の顔が冗談だっての?」
 女3「そうだよ、これだからおばさんは・・」
 女「おば・おば・おばさんって、あんたたちこそなによガキのくせに、時代遅れのヤマンバメイクして、センスを疑うわ」
 女2「ばばあはすぐ若者のすることに文句つけるからね」
 女「あんたたちろくな大人にならないわよ」
 ろくな会話もないまま、着ぐるみ女子控え室のなか、なかには赤いコートがハンガーにかけてあった
 マネージャー「はいはい、喧嘩は仕事がおわってからしてちょうだい、もうすぐショーがはじまるから全員持ち場に
 ついてちょうだい」
358人形屋 ◆Rd2SBwnE
場内アナウンス「魔法戦隊マジックマンショーがはじまるよー」
 アキ「あー始まったよー」
 ケイスケ「そうだな」
 MC「はーい、よいこのみんなーこんにちわー」
 マイクをこっちにむける
 アキ「こんにちはー」
 MC「だめー元気ないよー、もう一回、こんにちはー」
 子供、アキ「こんにちはー」
 ケイスケ「おいおい、はずかしいから声だすのやめてくれよ」
 アキ「なにいってんのよ、ケイスケこうゆうの好きなんでしょ?」
 ケイスケ「ま、まあそうだけど」
 アキ「だったら、しっかり声だしな」
 MC「じゃあ、マジックマンを呼んでみよう、せーの、マジックマーン」
 子供、アキ「マジックマーン」
 ケイスケ「マジックマーン」
 MC「だめだよー、もう一回、マジックマーン」
 子供、アキ、ケイスケ「(もうヤケだ)マジックマーン」
 が、でてきたのは、悪のボスと数人の戦闘員だった
 悪ボス「ふははは、なにがマジックマーンだ、おろかな人間どもめ、この地球はわれわれネタバラシーが征服するのだ
 さあ、我が部下たちよ、手始めにここにいる人間を襲うのだ」
359人形屋 ◆Rd2SBwnE
戦闘員「イエッサー」
 戦闘員はそのまま会場観客席まで乗り込んできた
 いきなりの襲撃で客席がどよめく
 声「まて、ネタバラシー、そうはさせないぞ」
 悪ボス「なに?」
 舞台上手から、レッド、ブルー、ピンクがでてくる
 悪ボス「なんだと、かかれものども」
 戦闘員がステージにひきかえしてくる
 レッドと悪ボスはにらみ合ったままステージ下手にはける
 ブルーとピンクは背後をとられないようにお互い背中をあわせる
 ブルーとピンクの周りを戦闘員が取り囲む
 左右の戦闘員が切り込んでくる、ブルーとピンクは足刀(横蹴り)で応戦する
 戦闘員「ぐぎゃー」
 正面の戦闘員がきりかかるが、寸前で受身をりかわす、敵の背後に回りこむと、その体勢から
 蹴りを腹部めがけてけりこむ
360人形屋 ◆Rd2SBwnE
息もつかないアクションで観客を魅了する
 ケイスケ「やるなーさすがプロだな、ピンクも動きにキレがあっていいな」
 ケイスケ(どんな娘がやってんだろなー)
 しかしさすがのマジックマンも多勢に無勢、だんだん追い詰められていく
 攻撃を受け傷つく2人は傷をおさえつつ下手にはける
 すると、2階に悪ボスとレッドがでてくる、全ての視線が2人に向けられる
 悪ボスは武器をもって襲い掛かる、その武器をふりかざしレッドを攻撃するがレットは寸前でバク転でかわす
 そのまましゃがみで腰に装備していた銃を放つと、地面にしこんでいた火薬が悪ボスの前で破裂する
 攻撃を受けた悪ボスはよろめきそのまま下手にはける、レッドはそれを追尾して下手にはける
 するとこんどは上手から戦闘員とブルーとピンクがでてくる
 ブルー「よーし、こんどは俺たちの番だ、いくぞ」
 ピンク「ええ」
 2人は腰に装備してある銃をぬき戦闘員を撃つ、同時に火薬が発火する、パン、パン
 その攻撃で2匹の戦闘員が倒れる
 ブルー「ブレードモードだ」
 銃は剣に変化する仕組みになっているようだ、ブルーとピンクは銃を剣に変化させきりかかる
 攻撃をうけた戦闘員はトンボがえりをきめる
 戦闘員はそのまま下手に逃げるようにはける
 ピンク「待ちなさい、逃がさないわよ」
361人形屋 ◆Rd2SBwnE
ここで中間のお遊びタイムにさしかかる
 悪ボスと戦闘員がでてくる
 悪ボス「くっそー、なかなかやるなマジックマン、だがそれもここまでだ、ここにいる人間を我々の仲間にするのだ」
 すると、戦闘員が客席にはいってくる
 悪ボス「戦闘員たちよ、会場にいる人間をつれてこい」
 戦闘員は散開し人選をはじめる、どうゆうことか、一人大人の人質としてアキがえらばれる
 ケイスケ「おい、大丈夫なのかよ?」
 アキ「大丈夫よ、もしもホンとに危なくなったらケイスケが助けにきてね」
 半分、面白半分についていくアキ
 自己紹介と遊びがおわり子供はかえされたがアキは縄で手を拘束され柱に縛られたではないか
 ケイスケ「おいおい、大丈夫か?」
 しかしアキは怖がるそぶりをみせない、むしろ楽しそうだ
 悪ボス「ふははは、これでマジックマンは手だしできまい、さあ、いでよ怪人イリュージョン」
 怪人「俺様はヒキダ@ンコーやデビット @ッパーフィールドなど足元にもおよばないイリュージョニストなのだ」
 MC「さあ、みんなーマジックマンを呼んでー、せーの、マジックマーン」
 子供「マジックマーン」
 声「待て!女の子をはなせネタバクーロ元帥、とお」
 舞台の上手と下手からでてくる、レッドとブラックはロンダートからのバク転で、でてくる
 ブルーとピンクはトランポリンを利用して前転宙返りで飛び込んでくる
362人形屋 ◆Rd2SBwnE
しかし、誰にでもミスはあるものだ、着地地点で微妙にバランスをくずすピンク
 でもそこはさすがプロ、なにごともなかったかのように立ち上がる
 レッド「ダイヤレッド」ブルー「ブルースペード」ブラック「ブラッククラブ」ピンク「ハートピンク」
 全員「魔法戦隊マジックマン」
 花火が地面からふきでる
 悪ボス「ふん、かっこつけやがって、いけイリュージョン」
 戦いがはじまる、ステージにテーマソングがながれる、ヒーローが苦戦すると
 MC「みんなー、マジックマンを応援してー、マジックマーンがんばってー」
 子供「マジックマーンがんばってー」
 俺のとなりの子供も必死に応援している
 レット「よし、みんなの武器を合体させるんだ、空間弾道マジックキャノンだ」
 4つの武器がかさなり、戦隊の天下の宝刀合体バズーカーがでてくる
 ピンク「ロックオン完了!」
 レット「くらえ、マジックキャノン、ファイアー」
 悪ボスと怪人ものとも吹き飛ぶ
 悪ボス「おのれ、マジックマン次は次こそは」
 と、ふらつきながら下手にはける
 アキの縄もとかれ解放される
 MC「みんなーこのあと握手と写真撮影があるからたのしみにしててね」
363人形屋 ◆Rd2SBwnE
アキ「あー、楽しかった」
 ケイスケ「だいぶ楽しんでたな、さ、見るもんみたし帰るか」
 アキ「そうね」
 そのとき、スタッフらしき人間がかけよってくる
 スタッフ「すみません、ちょっと一緒に来ていただけませんか」
 ケイスケ「は?どうゆうことっすか」
 アキ「いいじゃん、いきましょ」
 スタッフ「急ぎなんでお願いします」
 つれてこられたのはマジックマンの楽屋だった
 スタッフ「さっきのショーでピンクが足をねんざしたんです、幸い今日は1ステだけなんですが
 知ってのとおりこの後、握手会と写真撮影があるんですよ、彼女も動けないくらい痛いらしく
 て、ほんとにすみませんが、代わりにでていただけませんか?」
 ケイスケ「いや、でも、なんで俺たちが」
 スタッフ「大人のかたはあなたたちしかいなかったんですよ、他は親子連れなので、お願いします」
 ケイスケ「どうしたもんかな、アキどうする?」
 アキ「私は別にいいよ」
 スタッフ「ありがとうございます、じゃあ早速おねがいします」
 ケイスケ「じゃあ、アキがんばれよ、俺は外で待ってるから」
 アキ「うん、がんばる」
 スタッフ「なにいってるんです、あなたがやるんですよ。」
372人形屋 ◆Rd2SBwnE
アキ「えー、なんで?」
 ケイスケ「いや、ちょっと待ってくださいよ、なんで俺が」
 と言いつつも、ちょっとドキドキだったが、高ぶる感情を理性で押さえ込む
 スタッフ「握手会も写真撮影も今日の客の入りからみても30分以上になると思うんです
 体力的にみてもここは男性の方がいいかと」
 ケイスケ「でもなー」
 ほんとはうれしいがこんなときにかぎって逆の態度をとってしまう
 アキ「ケイスケやりなよー、めったに、こんなことないし」 
 スタッフ「お願いします」
 ケイスケ「でも、いままで着てた人が女の人だったし、男の俺じゃ体型とかやばいんじゃないですか」
 スタッフ「あなたけっこースレンダーだし、筋肉もほどよくついてるし、肩幅だって狭いし
 、ほら、ピンクのこの人だってアクションして体だってほら女らしくないし」
 ピンク「やめてよー、そんなこといわなくたっていいじゃない」
 ピンクは面ごしに喋るので声がこもってる
 スタッフ「さ、時間ないから、早く着替えましょう」
 ピンク役の娘が面をはずす、そのまま下面を首まではぐる、セミロングで茶髪の髪がなびく
 背中のファスナーを下げる、スーツ、グローブ、ブーツを抜く
 彼女の右足首は青く腫れていた
 アキ「わ、大変、すごい腫れてますね」
 ピンク役の女の子は裸足になり氷水に足を入れる
373人形屋 ◆Rd2SBwnE
俺はYシャツとトランクスになる
 スタッフ「じゃあこれから着替えてもらいます、まずは体型補正からなんですが・・」
 レッド「下は俺の予備の競泳用パンツ使いなよ」
 スタッフ「胸はこの補正ブラをつけて、女でも一応つけることがあるの」
 急とはいえこの状況は心臓がバクバクだった、彼女の前で女性用の下着をつける
 しかも女性スタッフにつけられる、逃げるに逃げられない状況とはこのことだった
 ブラはYシャツの上からつける、そのままいきおいでグローブ、っとその前に軍手
 をはめる、手の感触をごまかすためだと思う。
 ブーツを履く、さすがに元が女の子が履いていたものなのできつきつだった
 下面を被り、面を被る、下面はまだ彼女の汗がしみているのか俺の口に張り付き呼吸困難な
 状況においつめる、その上に密閉度が増した面をつけるわけだ
 さっきの娘より若干頭がおおきいため、中のクッションをへらして被る
 空気は面のゴーグルのパンチ穴と顎との隙間からだけだった、しかもはりついた下面が俺の呼吸
 をより困難なものにしていた。
 こうゆう状況になるともう女の後なんて考える余裕もない、視線や空気の確保のため上むきに
 なってしまう。
 スタッフ「苦しいのはわかるんだけど、極力前をむいてください」
 俺はそのまま鏡をみて、視線をあわせる
 アキ「ケイスケかわいいーホンとの女の子みたい」
 俺はそのままアキのほうにふりむきざまにVサインをきめる
374人形屋 ◆Rd2SBwnE
MC「すみません、もうお客が並んで待ってます、もう限界です、はやくマジックマンをだしてください」
 スタッフ「わかった、こっちは準備OKよ、じゃ、急だけどがんばってください」
 ピンク役の女の子「私なんかの後でほんとにごめん、でもあなたならやれるって信じてる、がんばって」
 レッド「よし、子供たちが待ってる、いくぜ、みんな」
 ブルー「おう」
 ブラック「よし」
 俺はかなりナーバスになっていた
 アキ「大丈夫、できるよ、私、見てるから」
 アキが俺の背中に手をあてる、するといままでの余計な力が急に抜けていった
 ケイスケ「アキ・・・」
 俺は小声で呟く
 MC「さあ、みんなーお待たせしました、マジックマンの登場だよ」
 レット、ブルー、ブラックが勢いよく控え室からでる
 ケイスケ心の声(ケイスケ、ハートピンク、出る!)
 さっそうとステージに飛び出る、出てはみたもののなにをしていいやらまるでわからない
 レッド「ダイヤレッド」ブルー「ブルースペード」ブラック「ブラッククラブ」
 いきなりなり名乗りがはじまる
 ケイスケ心の声(やっべーよく覚えてないぞ、こうだったかな??)
 ピンク「ハートピンク」
 会場が静まる
375人形屋 ◆Rd2SBwnE
会場「わーマジックマンだー」
 なんとかポーズも間違ってないようだ、俺はこぶりに会場にむかって手をふる
 MC「じゃあこれからお楽しみの握手会と写真撮影をはじめます」 
 客が並ぶ、休日とゆうこともあり長蛇の列だ
 ピンクはやはり女の子であるため人気もおのずと女子が多い、男の子はやはりレッドやブルー
 が好きなのか写真も握手もそっちにいってしまう
 握手も最後尾のほうになると、たまたま屋上遊園地にたちよった大人も並んでいた
 レッド、ブルー、ブラック、ピンクと横一列に並んでいる
 列も終わりにちかづいてくると、いかにも怪しい男がくる
 レッドたちとは軽く握手していたがピンクの前で立ち止まる
 俺はなんだろうと思い首をかしげる
 男「わー首をかたむけるしぐさもかわいいー、ぼ、僕と握手してください」
 ケイスケ心の声(なんなんだよ、こいつ)
 そのまま握手するが、こんどは握った手を離さない
 男「さっきのポーズかわいかったです」
 ケイスケ心の声(いいからこの手を放せ)
 嫌がって体をクネクネしてみる、しかし、これは逆効果だった
 男の行動にスタッフが気がつき引き離す
 スタッフ「お客様、他のお客様のご迷惑になりますのでご遠慮ください」
 男「写真も一緒にとろうねー」
376人形屋 ◆Rd2SBwnE
こんどは写真撮影だ、列も半端な数ではない、この日は天気もよく気温も高い
 汗をにがさない素材のスーにくわえ被りなれてない面が体力を奪っていく
 その列ももうまもなく終わる、しかし、悪夢は忘れたこと頃にやってくる
 男「はーい、また来たよピンクちゃん」
 ケイスケ心の声(げ、またこいつかよ)
 男「あ、スタッフさんカメラお願いします、僕とピンクオンリーで」
 ケイスケ心の声(いー、マジで、スタッフさんそれはなしでしょ)
 しかし、そんな俺の声は届かない
 スタッフにカメラを渡し男がかけよってくる、次の瞬間、その男が腕を俺の肩にかける
 男「じゃ、お願いします」
 スタッフ「はーい撮りますよ、あ、ピンク力入ってるよ、リラックス、リラックス」
 ケイスケ心の声(リラックスできないよー、はやくこの手をどけてくれー)
 無事(?)写真も終わる
 男「ピンクちゃん今日はありがとう、なんかショーのときと雰囲気かわったように思えたけど、写真のときのほうがかわいかったよ」
 ケイスケ心の声「またか、素直に喜べないな」
 MC「みんなー今日は来てくれてありがとー、また来てねー」
 レット「俺たちのことテレビでも応援してくれよ」
 そのまま上手にはける
 控え室にかえる
377人形屋 ◆Rd2SBwnE
アキ「お疲れケイスケ」
 俺はすぐに面をとる
 ケイスケ「なんなんですか、あの男」
 スタッフ「ああ、あの人は常連でね,いつもああなの」
 アキ「なにがあったの?」
 ケイスケ「ひどい目にあった」
 アキ「えーほんとー」
 ケイスケ「みなさん、あいつのこと知ってたんじゃないんですか?」
 すかさずスタッフもキャストも俺から目をそらす
 ケイスケ「なんで目をあわさないんです」
 スタッフ「ごめん、確かに知ってたわ、一応お客だし、関連商品も買ってくれる人だから」
 ピンク役の女の子「どんな理由があるにしろわたしたちはプロはみにきてくれたお客さんを満足させることが仕事なの」
 ケイスケ「けど、俺は素人ですよ」
 スタッフ「そうね、そのことに関しては誤るわ、ごめんなさい」
 MC「あのー、迷子がいるんですけど」
 スタッフ「え?」
 MC「お母さんとはぐれたみたで、泣きやまないんです」
 スタッフ「うーん、みんな疲れてるとこ悪いんだけど、その子供のためにでてくれない?」
 レッド、ブルー、ブラックがうなづく
 スタッフ「すみませんが、ケイスケさんも、もう1回おねがいします」
378人形屋 ◆Rd2SBwnE
アキ「ケイスケ、私からもお願い」
 ケイスケ「ああ、わかったよ」
 俺は再度、面を被る 左右の拘束具をとめる
 控え室をでたところでMCが泣きじゃくる子供をなだめていた
 MC「お母さんもうすぐくるからねー、いいこだから泣かないで」
 マジックマンがでてくると、すーっと泣きやむ
 MC「よかったねー、マジックマンが来てくれたよ」
 子供は5歳くらいの女の子だった、状況を察っしたのか緊張している
 こゆうときの子供は素直だ、やっぱり女の子だ、同じ女であるピンクがすきらしく、こっちにくる
 レッドやブルーをすりぬけて俺に抱きつく
 俺もそれとなくその子供を受け止めた、それとなく頭をなでてあげる
 子供「ありがとーお姉ちゃん」
 そしてその子供は肩にかけていたポシェエットからなにかをだす
 子供「これねー私がねー描いたのーあげるー」
 それにはマジックマンと手をつないでいる女の子の絵だった
 するとそのこの母親がくる
 母親「すみませんでした、ちょっと目をはなしたらいなくなっていたもので」
 子供「ありがとーマジックマン」
 MC「ありがとございます、じゃこんどこそお疲れ様でした」
 そして再び控え室にもどる
379人形屋 ◆Rd2SBwnE
スタッフ「どうです、せっかくですし記念写真とりません?」
 そんなことから、集合写真をとることになった
 マジックマンとスタッフ、そしてアキもいれて写真をとる
 更衣室にかえる
 ケイスケ「だー、苦しいかった」
 ピンク役の女の子「慣れてないと、辛いでしょ」
 ケイスケ「そうですね、呼吸がとても困難です」
 アキ「さ、ケイスケ、いつまでも着てると風邪ひくよ」
 汗を外ににがさない素材のスーツは内側に水分をためる、その水分が冷めると身体の体温を奪うためである
 ケイスケ「そういえば、さっきから寒かったな」
 着替えを終えて、俺とアキはスタッフに別れを告げる
 スタッフ「今日はいろいろありあとうございました」
 ケイスケ「こっちこそありがとうございました、こんな経験めったにないし」
 スタッフ「いえ、無理をいったのはこちらですし、あ、これさっきの写真です」
 それはポラロイドカメラで撮影したものだった
 アキ「あー綺麗に写ってるね、ケイスケ、マジでかわいいし」
 ケイスケ「あー、それより怪我した人は大丈夫なんですか?」
 ピンク役の女の子「私は平気よ、こうゆう仕事してたら怪我なんて日常茶飯事だし」
 ケイスケ「そうなんですか」
380人形屋 ◆Rd2SBwnE
ピンク役の女の子は足をひきずりながら俺の目の前までくる、そして俺の手をにぎる
 ピンク役の女の子「ほんとにありがと、またどこかで会えるといいね」
 アキ「ゴホン、いつまで手つないでんのよ」
 アキは俺と彼女の仲に焼いたのだろう、俺の手をつ無理やり彼女から引き離す
 アキ「さ、いくよケイスケ」
 ケイスケ「ああ、じゃ、じゃあ、またいつか」
 そういって、俺たちは屋上遊園地を後にした
 ケイスケ「アキ、悪いちょっとトイレ」
 アキ「もう、ここでまってるから早くしてね」
 と俺は、急いでトイレにかけこむ、用をすまして手を洗う、そこにさっきのオタクの男が横にくる
 ピンクの写真をみてにやにやしている
 ケイスケ「あ、それマジックマンの写真ですか?」
 男「そうだよ、僕、今日はついてるなー、みてよ、ピンクちゃんとのツーショットだよ」
 ケイスケ心の声(それはよかったな・・)
 男「でも不思議なんだよなーショーのときと雰囲気が違ったようにみえたし」
 ケイスケ心の声(そりゃそうだよ、人が違うんだから)
 男「この写真はいままでの中でもトップ3にはいるな、かえって額にいれよう」
 ケイスケ心の声(おいおい、かんべんしてくれよ、てめえと一緒の額には入りたくない)
381人形屋 ◆Rd2SBwnE
トイレもすませて、出口からでてくる
 アキ「もー、遅いよケイスケ」
 ケイスケ「悪い、ちょっといろいろあってな」
 アキ「ちょっとって何よ?」
 ケイスケ「何でもない、さ、帰ってゲームでもしようぜ」
 アキ「教えてよーもうー」
 そんな事をいいながら俺とアキはデパートをあとにする
 俺とアキは一路、俺のアパートに向かう、郵便受けに封筒が入っていた
 ケイスケ「なんだこれ?」
 アキ「誰からなの?」
 封筒を裏返すとTAC事務所と書いてある
 ケイスケ「事務所からだ、なんか入ってるぞ」
 封筒の中にはMDと手紙が入っていた
 ケイスケ「なになに・・・これは26日の本番用の録音MDです、それを聞いて練習しておいて
 ください、番宣だけどミニショーもかねてます、だって」
 アキ「ふーん、ミニショーもあるんだ」
 ケイスケ「配役もあるぞ、月の使徒ホワイトムーン、あとは、炎の審判レッドマーズ
 水の精霊ブルーアクエリアス、これは俺だな、銀河の巨星パープルジュピター、金色の覇者ゴールドヴィーナス
 だって」
 アキ「私は金色(こんじき)の覇者ゴールドヴィーナスね、楽しみ」
385人形屋 ◆Rd2SBwnE
3月25日(リハーサル)

 アキ「いよいよ明日だね」
 ケイスケ「そうだな、緊張するな」
 アキ「今日は、明日一緒に仕事する富田さんってどんな人なんだろ」
 ケイスケ「さあな」
 アキ「ここで、待ち合わせなんだけど」
 すると、俺たちの後ろから声がする
 女「あのー、TAC事務所のかたですか?」
 俺とアキは振り返る
 ケイスケ「え?キミは」
 アキ「え?ケイスケしってるの?」
 冨田「あれ?ケイスケさんじゃないですか、こないだはどうも」
 ケイスケ「マジで?なんでトミーちゃんが・・」
 アキ「トミーちゃん・・・って」
 冨田「冨田美和ってゆうんですが、頭文字でトミーっていいます、よろしくお願いします、アキさん」
 アキ「なんで、私の名前知ってるの?」
 トミー「ケイスケさんが教えてもらったんです」 
 アキ「ってなに、ケイスケ、よくもみずしらずの人にどこまで教えてるの」
 ケイスケ「すまん」
386人形屋 ◆Rd2SBwnE
するとアキがトミーを呼ぶ
 アキ「トミーさん、ちょっと付き合ってもらえるかしら」
 トミー「ごめんなさいアキさん、私、女の人とは付き合えません」
 アキ「そっちの付き合うじゃないの、お話いいかしらってこと」
 トミー「はい、そうゆうことでしたら」
 アキ心の声(この娘かなり天然ね、しかもかなりの重症ね)
 そうゆうとアキとトミーは一緒にトイレにいった
 (トイレ)
 アキ「単刀直入に聞くわ、あなたケイスケのことどう思ってるの?」
 トミー「どうって?」
 アキ「好きか嫌いかってこと」
 トミー「嫌いです」
 アキ「え?」
 トミー「今、一瞬、ほっとしたでしょ?」
 アキ「・・」
 トミー「嘘です、私、ケイスケさんのこと好きです」
 アキ「ちょっと、トミーさん、あなたなにいってるの?」
 トミー「私、あなたからケイスケさんを奪っていきます」
 アキ「そんなことさせない」
 トミー「嘘ですよ、けど、わかんないな、これからどうなるか」
387人形屋 ◆Rd2SBwnE
アキ「どっちなの?嘘なのホンとなの」
 トミー「さあ、それはこれからのアナタの行動をみて決めていくことにします」
 アキ「負けないわ」
 そういって二人はトイレからでてくる
 ケイスケ「遅いよ二人とも」
 トミー「すみません、私がてまどったせいでアキさん待たせたもので」
 ケイスケ「いいよ、アキはいつも早いんだ」
 アキ「ケイスケ、そうゆことゆうかな」」
 トミー「さ、時間ありませんよ、急ぎましょう」

 (リハーサル室)

 ケイスケ「おはようございます」
 アキ「おはようございます」
 トミー「おはようございます」
 部屋には俺たち以外のメンバーが揃っていた
 演出家「さ、こっちにきて、メンバー紹介します」
 おれたちはそういわれて横一列に並ぶ
 演出家「それでは、明日の本番まで時間がありません、簡単なショーですが我々はプロとして
 はずかしくない舞台にしましょう、私は今回演出の高見沢です」
388人形屋 ◆Rd2SBwnE
高見沢「では、監督の北小路さんからお話を聞いてください」
 北小路「俺が監督の北小路だ、たるんだ演技したら容赦しないぞ」
 高見沢「はい、監督の言葉でした、ではメンバー紹介に移ります、では今回の主役ホワイトムーン
 役の冨田美和さん」
 トミー「冨田です、よろしくお願いします」
 高見沢「レッドマーズ役の江藤美香さん」
 江藤「江藤です、よろしくお願いします」
 高見沢「今回異例の大抜擢のブルーアクエリアス役の渡辺啓介くん」
  啓介「よ、よろしくお願いします」
 高見沢「パープルジュピター役の神埼由紀さん」
 神埼「神崎です、よろしくお願いします」
 高見沢「ゴールドヴィーナス役の田渕亜季さん」
 田渕「田渕です、よろしくお願いします」
 高見沢「では、10分後にダンスの振り付けをします、準備してください」
 俺は稽古用のジャージに着替える
 ケイスケ「ダンスもあるのか、大丈夫かな」
 アキ「大丈夫よ、ケイスケならやれるわ」
 トミー「わからなかったら私に聞いてください教えます」
 アキ「ご心配なく、ケイスケには私が教えるから」
389人形屋 ◆Rd2SBwnE
トミー「アキさんはダンスの経験はあるんですか?」
 ケイスケ「アキは元ダンサーなんだ、バレーやジャズダンスもやってたんだ」
 トミー「まあ、そうなんですか、人はみかけによりませんね」
 アキ「なによそれ、どうゆう意味かしら」
 トミー「いえ、お気になさらずに」
 アキ「そうゆうトミーさんはダンスのご経験は?」
 ケイスケ「トミーちゃんは、着ぐるみ劇団の劇団員なんだよね」
 トミー「はい、アキさん一ついっておきますけど生身でのダンスと着ぐるみダンスじゃかってが
 違うんですよ」
 アキ「そ、そのくらいわかってますよ」
 ケイスケ「二人とも喧嘩はやめろよ」
 アキ「ケイスケは黙ってて」
 トミー「私たち喧嘩なんかしてませんよ、ね、アキさん」
 アキ「え、ええ、仲良くしないとね」
 ケイスケ心の声(といいながら二人とも顔がひきつってるし)
 高見沢「そろそろ時間です集まってください」
 ケイスケ「さ、いこうか、ここまできたらやるしかない」
 アキ「さ、いきましょケイスケ」
 トミー「あー待ってください、私もいきます」
390人形屋 ◆Rd2SBwnE
PM:14:30(ダンス稽古終了)

  高見沢「はい、お疲れ様、15分休憩して45分から練習再開します」
  俺はもうヘトヘトだった
  アキ「だらしないよケイスケ、もう息きれてるの」
  ケイスケ「はあはあ、しかたないだろ、初めてのダンスなんだから」
  トミー「そうですよ、これに着ぐるみ着てやるんですよ」
  江藤「あらあら、大抜擢てきいたからどのくらいかと思ったけど、この程度じゃ先が思いやれるわ」
  アキ「なんですって、大丈夫よねケイスケ?」
  ケイスケ「はあー、だいじょばないかも」
  神崎「江藤さん、あまりいじめちゃかわいそうですよ、ケイスケさんにはこの役は重すぎるんですよ」
  江藤「そうですね、だいたいなんで男性のかたがブルーなんでしょう」
  神埼「まったくどこの事務所かしら」
  江藤「TACですって」
  神埼「ああ、あの人材派遣の会社なんだ、でもあの事務所にはルミがいるはずなんだけど」
  ケイスケ「ルミさんをしってるんですか?」
  江藤「ええ、よく知ってるわ、なんでルミがこなかったのかしら」
  神崎「きっと私たちにあうのが嫌で逃げたんじゃないかしら」
  ケイスケ「ルミさんは明日、別の仕事でだめってゆうから俺が来ることになったんだ」
  江藤「あらあら、うまいこといって逃げたのねきっと」
391人形屋 ◆Rd2SBwnE
神埼「あなたたちTACの人たちね、所詮、寄せ集めの連中じゃたかがしれてるわ、私たちの足を
  ひっぱらいでくださいね」
  江藤「じゃ、失礼」
  アキ「待って」
  江藤「なんです?」
  アキ「さっきから聞いてたらえらそうなことばっかりいって、あなたたちなに様?ってゆうかあなたちにルミを
  バカにする権利はどこにもないわ」
  神埼「ルミは私たちと一緒にやってきたんだけど急に私たちのチームから抜けた臆病者なの」
  アキ「ルミは臆病者ではないわ」
  江藤「さあ、どうかしらね、彼女、実力はあるんだけど、協調性に欠けてるわ」
  ケイスケ心の声(あんたたちがいたからじゃないか)
  神埼「そんなルミの仲間じゃねー江藤さん」
  江藤「そうね神崎さん」
  トミー「そんなことはありません」
  江藤「男じゃ、ブルーが勤まるとわ思えないけど」
  アキ「あなたケイスケのことみくびりすぎよ」
  トミー「そうです、ケイスケさんは特別なんです」
  江藤「どう、特別なのかしら」
  トミー「そうですよ、ケイスケさん着ぐるみすると別人みたいになるんです」
  アキ心の声(え?なんで知ってるの)
392人形屋 ◆Rd2SBwnE
神埼「じゃ、その特別な人の実力見せてもらうわ」
  江藤「ま、さっきのダンスをみるかぎりじゃたいしたことないようだけど」
  神埼「いい、自分だけが特別だなんて思わないことね、それはたんなるうぬぼれにすぎないってこと」
  アキ「私が必ずケイスケを明日の本番までに完璧に踊れるようにします」
  トミー「私も手伝います」
  江藤「ま、がんばってね、無駄だと思うけど」
  といいながらさっていく
  アキ「なんかすごくムカつく、ぜったい見返してやりたい」
  トミー「ケイスケさんを侮辱することは許しません」
  ケイスケ「ああまで言われると悔しいな」
  アキ「そうね、ルミのことバカにした罪は重いわ」
  トミー「見返してやりましょう、ケイスケさん、アキさん」
  アキ「一時休戦ね」
  トミー「そうですね」
  ケイスケ「二人ともなに話してるんだ?」
  アキ「なんでもないの」
  ケイスケ「よし、俺もなんだかやる気がでてきたな、やるか」
  アキ「そう、なに事もやる気が大事よ」
393人形屋 ◆Rd2SBwnE
PM:14:45

  高見沢「さて、時間もおしてるので、衣装合わせにしましょう、ケイスケくんは男性更衣室で、他の女性は
  女子更衣室で、3時までに着替えてください」
  (男子更衣室)
  部屋に入ると面箱が置いてあった、机の上には肌色の全身タイツとコルセットやブラなど体型補正のための
  下着が置いてあった、他にグローブとブーツが置いてある、ハンガーにはワンピースにもにた衣装がかけてあった
  (女子更衣室)
  アキ「わーかわいいねー」
  トミー「そうですね」
  江藤「あらあら、胸のほうもかわいいわね」
  神埼「江藤さんほんとのこといっちゃだめですよ」 
  江藤「いい、こうゆうキャラクターって顔も大切だけど胸もポイントなのよ」
  神埼「スタイルはいいけどね」
  よくみると江藤も神崎も豊満な胸をしている
  アキ「うーくやしー」
  トミー「まあまあ、いいじゃないですか言いたい人には言わせておけば」
  江藤「けど、残念ね、なぜ私がホワイトじゃないのかしら」
  神崎「そうですね、こんな女がホワイトだなんて」
  トミー「私、がんばります」
394人形屋 ◆Rd2SBwnE
(男子更衣室)
  全身タイツ、グローブ、ブーツ、上着まで着用した、あとは面だけだ
  面箱を開けると、衝撃吸収材のなかに面が埋まっていた
  水色の髪が綺麗な面だ、目もアニメでみるかわいい目をしている
  ケイスケ「わ、かわいいな、こんな女いたらマジで惚れるかも、しっかし顔が小さいんだな」
  前回のミケのことしかしらない俺にとっては初めての体験である
  しばらく、しげしげと眺めたが、思い切って被ることにした
  根元から首をさしこみ、いっきにはめこむ
  面と顔とほとんど隙間がない、おそろしくぴったりにつくられている
  目の部分はマジックミラーのようになっていて、外からはみえないようだ
  鏡をみると、俺じゃない別の女がたっている、すこし視線がずれているため、少し調整する
  ケイスケ「これが、俺?、この気持ちの高ぶりはなんだ」
  下半身にもその興奮を伝えている
  呼吸はある程度制限されているが、これは違う息苦しさだ、気持ちの高ぶりが呼吸過剰になっている
  ケイスケ「なんだこれ?俺が俺じゃないみたいだ」
  鏡にむかって少しづつポーズをとりはじめる自分に気がつく
  ケイスケ「なんだ、俺、どうしてポーズとりはじめてるんだ」
  俺の中で別の自分が目覚めようとしている、自分じゃない自分を発見したこと
  認めたくない、けど淡いこの気持ちが交錯していた
397人形屋 ◆Xrf.qICk
(女子更衣室)

   女性も着替えを終えていた
   アキ「いよいよ、面ね」
   そういって面箱から面を取り出す、金髪のロングヘアーがきれいな面だ
   トミーの面は主役を飾るにふさわしい装飾がほどこされている
   白銀の髪がきれいに結われている
   アキ「わー、さすがホワイトムーンね髪が白銀なのね」
   トミー「そうですね、でも思ったより面がきれいですね、新番組だからそれに
   あわせて新品を作ったようですね」
   レッドマーズとパープルジュピターの面は髪の色はすべて赤や紫ではない
   ベースは黒で要所に赤や紫がほどこされている
   江藤「なんか私たちのは地味じゃないかしら」
   神埼「そうね、いかにも脇役みたいな雰囲気をどことなくかもしだしてるし」
   アキ心の声(あんたたち事態が脇役なのよ)
   江藤「ま、優秀なあたしたちが脇役をやることで、主役がより引き立つの」
   神埼「あなたたち、感謝しなさい」
   アキ心の声(苦しい言い訳ね)
   トミー「さ、アキさん時間がありません、面を・・」
   アキ「そうね」
398人形屋 ◆Xrf.qICk
PM:15:00

  着替えを終えたケイスケ、アキ、トミー、江藤、神崎があつまる
  ケイスケ心の声(なんだか変な感覚だな)
  アキ心の声(きゃーあれがケイスケ、マジでかわいい)
  高見沢「さ、みなさん着替えを終えたみたいですね」
  江藤「あれがさっきの男?まるっきり別人じゃない」
  神埼「あの女のいってたこともまんざら嘘でもなさそうね」
  アキ心の声(ふふ、驚いてる、ざまーみろ)
    高見沢「じゃあ、早速、きめのポーズからやりましょう」
  しかし、今思いかえしたらまだポーズを教えてもらってない
  俺はとりあえず挙手してみた
  高見沢「なんです?ブルー」
  しかし、今は着ぐるみ状態で声もシャットアウトしてしまう
  俺は必死に身振り手振りでうったえる
  江藤「なに?なにしてるのかしら」
  高見沢「え?きめポーズがわからない?そーいえばまだ教えてなかったですね」
  アキ心の声(ええ、なんでさっきのでわかるの)
  高見沢「先生、お願いします」
399人形屋 ◆Xrf.qICk
PM:15:30

 振り付け師「だめ、もっと手をのばして、こう」
 アキ「はあ、はあ、着ぐるみのままの演技がこんなにきついなんて」
 ケイスケ「く、視界は悪い、動きがとれないな」
 振り付け師「はい、そこまで、10分休憩」
 俺は面をとる気力もなかった、そのまま椅子にすわる
 アキ心の声(ケイスケ大丈夫かしらだいぶ疲れてるみたい)
 俺以外のメンバーは面をとる
 江藤「あらあら、期待のホープもお疲れのご様子ね」
 神埼「本番は明日ですよ、大丈夫かしら」
 アキ「まだ、なれてないだけよ」
 トミー「でも、休んでる姿もかわいいですね」
 アキ「あーあ、ケイスケたら、面つけたまま寝ちゃってる」
 江藤「あれがかわいい?まったくあなたの美的センスを疑うわ」
 神埼「まったくです」
 トミー「でも、この着ぐるみとーても軽いし動きやすいですね」
 アキ「そうね、踊ってる間もほとんど重さをかんじなかったし」
 江藤「あら、知らないの、この着ぐるみはただの着ぐるみじゃなくてよ」
 アキ「どうゆうこと?」
400人形屋 ◆Xrf.qICk
神埼「まったく、これだからおバカさんは困るわ」
 アキ「なんですって」
 トミー「アキさん、落ち着いて・・・で、どこが違うんです」
 江藤「土下座したら教えてあげてもよろしくてよ」
 神埼「そう、土下座よ土下座」
 アキ「だったらいい、教えてもらわなくてもいいわ」
 トミー「そうですね、無理に聞くようなことでもなさそうですし」
 江藤「・・・」
 アキ「とかいって、ほんとはいいたくてしかたなかったんでしょ」
 江藤「そ、そんな、ことは・・」
 アキ「じゃあね」
 神埼「よ、よーし、今回は特別に無償で教えてあげてもいいことよ」
 江藤「そ、そうね、こ、今回は特別よ」
 アキ「しかたないわね、聞いてあげる」
 江藤「新素材の生地は宇宙服の素材にも採用されてるのよ」
 神埼「タイツもいままでのものとは違うみたいね」
 アキ「あんまり説明になってない気がするけど」
 トミー「ひらたくいえば、とってもいい素材の着ぐるみだってことですよ」
 アキ「平たくなってないし」
401人形屋 ◆Xrf.qICk
PM:15:38

 アキ「起きて、ねえ、起きてよケイスケ」
 ケイスケ「う、うーん、なんだ」
 いつもの癖で腕で目をかくが直接自分の顔に触れるわけではない
 ケイスケ「あ、そうか、俺、今、着ぐるみの中だったんだ」
 アキ「もう、休憩おわりよ、ケイスケったら着ぐるみのまま寝ちゃうんだから」
 トミー「もう、練習はじまりますよ」
 アキとトミーはそのまま面を被りステージにいく
 その後姿をみまもる
 ケイスケ「にしても、着ぐるみって感じがしないな」
 いまだにその感覚がつかめないでいた
 江藤「あなたがブルーだなんてね、ま、がんばってね」
 神埼「さ、江藤さんこんな素人と話してもしかたありませんわ、急ぎましょう」 
 そういって、江藤も神崎も面をかぶり、駆け足でステージにむかう
 ケイスケ「なんか、好きにはなれないな彼女たち」
 そういって立ち上がろうとした瞬間、一瞬めまいがする
 そして、心臓の鼓動がほんの一瞬おおきく鳴った  ドクン
 ケイスケ「う、なんだ、い、息が・・できない」
 そのまま前のめりに倒れる