プール奥の侵入者(仮)

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未完結
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471ふかもこ好き ◆1hCfTbr4qE
このスレとか、2ちゃんの特殊な衣類で拘束スレを読んでいたら
なんか自分も書いてみたくなりました
ズブの素人ですし、初めての落書きです
ミスもあるでしょうし、ありがちなストーリー
しかもエロなしですがご容赦ください
472ふかもこ好き ◆1hCfTbr4qE
夏休みに入ってまだ間もないある日、彩香はクラスメイトの友人に誘われ、4人で
最近新しくできた遊園地内のプールへ泳ぎに来た。
ここ数日、例年に無いほど暑い日が続いていたし、休み前にクラス内でも大いに
話題になっていた遊園地を楽しめるとあって、彩香はとてもウキウキした気分だった。

遊園地のプールに到着すると、巨大なドーム内にたくさんの嗜好を凝らしたプールが
いくつもあった。
流水プール、波のプール、滝のプール...
ウォータースライダーもタイプが3つ。
どれも涼しげで面白そうなものばかりだ。
ドームの天井は大部分が透明ガラスになっていて、そこから強い日差しが照り
つけている。

ところがさすがにこの時期の超人気プールというだけあって、まだ午前中だというのに
どの場所もたくさんの人でごった返している。
ウォータースライダーは驚くほど長い行列ができていた。
水着のまま入れる飲食店が周囲にたくさんあるが、どこも外で待つ客がいるようだ。

プールの所々に動物の着ぐるみがいて、小さな子供と遊んだりハグしたりする
光景も見えた。
中には子供と一緒にプールに入って相手をしているマスコットも。
どうやら水に濡れても平気な最新の着ぐるみらしい。
縫いぐるみが大好きな彩香はおもわず見入ってしまった。


とりあえず友人といっしょに一番近いプールに飛び込む。
ここ最近まで勉強で忙しかった彩香は、今まで溜まったストレスをおもいっきり
発散させるかのようにはしゃぎまくっていた。
そしてプールの中をひと泳ぎ→隣のプールに移動しドボンと飛び込み-を何度も
繰り返す。

ほぼ全部のプールをとりあえず体験した彼女らは、少し泳ぎ疲れたので、
皆プールサイドに上がった。
473ふかもこ好き ◆1hCfTbr4qE
パラソル付きのビーチチェアで休みたかったが、この混みっぷりではどこも
空きそうにない。
近くの階段に腰掛けて休むことにした。
そのとき誰かがウォータースライダーをやりたいと言い出した。
「でもさ...まだ結構並んでるんだよね」
「どうせ一休みするなら行列に並ぼうよ」
「うーん。そうね...」

4人はウォータースライダーの係員の誘導にしたがって行列の最後尾に並んだ。
ところが、しばらくして彩香はトイレに行きたくなってしまった。

しばらく悩んだが、行列は思ったより進みが遅い。
「ゴメン、ちょっとトイレに...すぐ戻るから」

しかたなく行列から抜け出て、トイレを探す。
飲食店の横にトイレの標識を見つけて近づくと、女子の方にはびっくりする程の
行列ができていた。
「ここも? もう。急いでるのに...」

ふと遠くの通路の奥に目をやると、そこに「従業員出入り口」と書かれた大きな
鉄製の扉があり、それが開いて従業員と思われる男が一人出てきた。
そして開かれた扉の奥に、女子トイレの標識らしきものがちらりと見えた。
従業員の男はすぐにどこかに行ってしまった。

「あれって、従業員用のトイレ?」
扉には「関係者以外立ち入り禁止」の文字も書かれていたのだが、彩香は、
「こっそりあのトイレを使えば行列に並ばなくてすむかも」
と考えた。

扉はまだ開いたままだ。
しかしとてもゆっくりとした動きで、ひとりでに閉まろうとしていた。

「あっちを使わせてもらおう。今なら誰も……」
彩香は小走りで従業員出入り口の扉に近づいた。
通路は飲食店の隅の方にあり、扉以外何もないスペースになっていてプールの客も
近くにいない。

あと数センチで扉が閉まりそうになった時、なんとか扉の取っ手を掴んだ。
扉を少し引くと、簡単に開いた。
中を覗くと殺風景なコンクリートの通路が続いていて、その奥にトイレの標識が
あった。
「よーし、中に誰もいない。チャンスだ!」
後ろで誰かに見られてないか気にしながら、サッと扉の中に入り、従業員トイレに
駆け込んだ。
474ふかもこ好き ◆1hCfTbr4qE
そこはまだ新しくてあまり使われていないような綺麗なトイレだった。
幸いここも人の気配はない。
「混んでるのに、自分だけおちついてトイレが使えるなんてラッキー!」

けれど従業員に見つかったら注意されるかもしれない。
結局彩香は大急ぎで用を済ませた。

トイレを出て小走りで従業員出入り口まで戻り、扉を開こうとした。
「あれ?開かない?」
取っ手を押しても引いても、扉がまったく動かないのだ。

「そんな..この扉、いったいどうなってるの?」
よく見ると、扉は外のプール側から見たときと違って、内側はなにやら金属の
機械的な構造をしており、まるで金庫室の扉のようにも見えた。

「何か別のレバーがあるのかな?ひょっとして鍵が掛かっちゃたの?どうしよう」
あせる心を抑えながら、扉を開く方法を必死に探す。
しかし取っ手以外に操作できそうな物はない。

「弱ったなぁ」
扉を何度か手で叩いたり、足で蹴ったりしてみたが、金属製の扉はとても頑丈な
作りで、手足がペチャっと小さな音を立てるだけだ。
しばらく扉と格闘したが、どうしても扉を開く事はできなかった。

「しばらく待っていれば誰か来るかな。それとも大声を出して……」
しかし本来入ってはいけない場所に勝手に入り込んでいることだし、助けを求めて
大声を出すのはかなり恥ずかしい。

「そうだ、もっと奥へ行けば、別の出口があってすんなり出られるかもしれないし、
従業員がいればしょうがない。謝っちゃおう」

そう決めて、彩香は従業員トイレよりも更に奥へと続く通路を歩き出した。

角を曲がると、そこは正面に1台のエレベーターがあるホールになっていた。
他には何もない。
ここから先に進むには、このエレベータに乗るしかないのだ。
下りのエレベータらしい。

出口が遠のいたような気がして、彩香はまた不安になった。
「やっぱり誰か来るのを待った方がいいかな……」
躊躇して、エレベーターの前でしばらく様子を見る。

10分くらいは過ぎただろうか。 エレベーターが動く気配はない。
従業員出入り口の方も気にしているが、あいかわらず誰も来ない。

友達の事も気になる。
「もうウォータースライダーを滑り終えて私を探してるだろうなぁ。
あまり帰るのが遅くなると放送で呼び出しされるかもしれない……早く戻らなきゃ」

彩香は友達に迷惑をかけたくないという思いで不安をこらえ、とにかくエレベーターに
乗ってみようと決めた。
475ふかもこ好き ◆1hCfTbr4qE
ひとつしかないボタンを押すと、エレベーターのドアはすぐに開き、中の蛍光灯が
点灯した。
どうやら動いていない時は、節電のため照明などの電気が切られるタイプらしい。
中に入ってみると、開閉ボタンがあるだけで、行き先のボタンらしきものはなかった。
少し驚いているうちに、エレベーターの扉が閉まって下降し始めた。

閉まった扉の内側に何か書いてある。
【冷蔵倉庫専用エレベーター】
「ええっ冷蔵倉庫!!」

エレベーターは予想を超えるスピードでどんどん降りていく。
遊園地のプールにまさかこんな深い地下があるなんて信じられない!

やがてエレベーターは止まり、扉が開いた。
すると、エレベーターの中にいきなり冷たい空気が押し寄せてきた。

扉の外を見ると、暗く細い通路が遠くの闇まで伸びていた。
大小さまざまな鉄製の配管が壁に沿って伸びている。
天井も、配管やダクトがむき出しのままぐにゃぐにゃと絡まっていた。
遠くの壁に取り付けられた小さな非常灯が唯一の明かりである。

彩香はいっそう不安になった。
「こんな所に出口なんてあるわけない。このまま引き返そう」
扉を閉めれば再び上に戻れるだろうと、ボタンを押そうとした瞬間、
突然エレベータの電気が全て切れた。

「えっ何?」
もはやボタンを押しても何の反応もない。
まだエレベーターから降りていないのに?

真っ暗になったエレベーターを出て、外にあるボタンを見つけて押してみた。
しかし、やはりエレベーターは動かない。

「そんな...そんな...どうして??」
もはやボタンを何度押そうが、床を踏み鳴らそうが、エレベーターが動く気配は
全くなかった。

そうこうしているうちに、彩香の体は冷え、だんだん寒くなってきた。
吐く息も白い。
そう。 ここは冷蔵倉庫なのだ。
そして彩香はビキニの水着しか身に着けていない。

彩香の不安は、もはや恐怖へと完全に変化した。
「誰かーっ。 誰かいませんかーッ。 誰かーッ」
思わず大声で叫んだ。

彩香の声が通路の中で反響する。
しばらく返事がないか耳を澄ますが、いくら待っても何の音も聞こえない。

「誰かーっ。 誰か助けてーッ」
彩香は繰り返し大声で助けを求めたが、何度やっても返事はなかった。

「アアっ何て事」
思わず涙ぐむ。
どうしてこんな事になったのかと悔やんだ。

1度従業員出入り口で閉じ込められたのに、そのさらに奥の地下倉庫でも
閉じ込められるなんて。
2度も同じような失敗をしてしまった
しかもここは冷蔵・・・・・・大変な事になった・・・・
476ふかもこ好き ◆1hCfTbr4qE
必死に考える。
さっき扉から出て行った従業員が戻ってくるかもしれない。
けれどこの寒さ...とても長くは待っていられない。
下手をすれば、このまま凍え死んでしまう。

エレベーターの吹き抜けのせいだろうか?
この近辺はとても冷たい風が吹いている。

とてもじっとして泣いていられる状態ではない。
彩香の体は小刻みに震え始めていた。

とにかくここにはいられない。
少しでも風がない所に行かなければ。

彩香は足元の良く見えない通路を奥へ奥へと必死に進んで行った。

通路は所々曲がっていたが、奥にぼんやり別の非常灯が見えてきた。

「そうだ。きっとどこかに非常階段があるはずだわ。それが見つかればここから
出られるはず……」

期待しながら非常灯に近づいた。
そこは階段ではなく、何かの部屋になっているようだ。

部屋の中は通路よりは少し明るい。非常灯がいくつも付いている。
そして何か大きなものが天井からたくさん吊り下げられているのが見えてくる。
それはまるで精肉工場の倉庫に牛肉がたくさん吊り下げられている様子に似ていた。

だが、部屋の中に入って良く見ると、それは牛肉ではなかった。

たくさんの「着ぐるみ」が吊り下げられているのだ。
イヌ、ネコ、ウサギ、クマ……プールサイドで見かけた動物マスコットの着ぐるみだ。

「なぜ?こんな所に着ぐるみが?」
彩香はあまりにも妙な光景を目にして少し驚いたが、今はそんな事はどうでもいい。
とにかく出口を見つける事が先だ。

部屋をぐるりと一周しながら先に進めそうな所を探す。
だが、出口はどこにもない。
エレベーターから伸びた通路は、この部屋で行き止まりになっていたのだ。

彩香は、なおもどこかに出口がないか必死に探し続けたが、部屋の壁は鉄板で覆われて
おり、窓ひとつない。

彩香の体はもう芯まで冷え切っており、ガタガタ震えていた。歯もかみ合わない。
絶望的な状況に涙がこぼれた。

「もう限界……私、こんな所で……誰か助けて!!」

震える声で何度も助けを求め叫んだが、部屋の中で反響するばかりである。

進退窮まった彩香は、せめて必死に体を動かして少しでも温まろうとした。

ふと吊り下げられた着ぐるみに目が止まる。
その中には、とてもフカモコして暖かそうなものがあった。

「そうだ。 とりあえずこれを着れば寒さを凌げるかもしれない。」

着ぐるみはかなり高い位置にぶら下がっている。
彩香は何度かジャンプして掴もうとしたが、あと少しの所で届かない。
彩香はクラスの中でもかなり背が低い方なのだ。
残念ながら台になるような物もない。

どうしようかと少し考えた。
良く見ると端の方にある大きな着ぐるみが、他のものより若干低い位置にあるようだ。

彩香は助走をつけてその着ぐるみに思い切りジャンプした。
「届いた」
着ぐるみの足をなんとか掴むことができた。
するとその着ぐるみは何の抵抗もなく、彩香が着地するのに合わせてスルスルと
降りてきたのである。
477ふかもこ好き ◆1hCfTbr4qE
その着ぐるみは、胴回りが身長よりもありそうな太っちょのパンダだった。
頭が大きく手足はとても短いが、癒し系のカワイイ顔をしている。
天井から垂れたロープが後頭部のフックに結ばれてた。
表面はフカフカの毛皮。
これならしばらく抱きついているだけでも少しは温もりを得られそうである。

「いったいどうやって着るんだろう?」
パンダの頭は縫い付けてあって外れないようだ。
背中を良く見ると、ちゃんとジッパーが付いていた。
ロープを結んだフックがジッパーのスライダーを兼ねていた。
スライダーを下ろして開くと、中は空洞、そして思ったとおり寒さを感じない。

「ああ。 良かった。」
単なる寒さの一時凌ぎではあるが、とにかくもう限界なのだ。

うつ伏せになった着ぐるみの背中に、まず足を入れる。
すると、何かゴムを踏んだような感じがした。
でも、もう足は冷え切っていて感覚があまりない。
続いて体を丸めて着ぐるみの中にもぐり込ませ、背中から顔だけを出した。

やはり着ぐるみの内側は柔らかいゴムで出来ているようだ。
暗いので彩香にはよく見えなかったが、内側はラバースーツになっているのである。
「そういえば、プールには水の中に入っている着ぐるみもいたけど、中に水が
入らないようにするために内側がゴムになっているのかもしれないな」
そんな事を考えながら、じっとしていると、ほんの少し暖かくなってきた。

「これなら、もう凍え死ぬなんて事はない。 助かったァ!」
ようやくほっとできた。

彩香はしばらく手足を丸めたまま顔だけを出してじっとしていたが、顔が次第に冷えて
辛くなってきた。
それに窮屈で手足が痺れてくる。

「やっぱり、着ぐるみをちゃんと着た方がいいかもしれない」
一度、着ぐるみから出て、今度はちゃんと着ぐるみの足に、自分の足を入れようとした。
暗がりで、なかなか足が着ぐるみのブーツに届かない。
重い着ぐるみを一生懸命引引っ張り上げながら、なんとか両足がブーツに入った。
何だかサイズもピッタリである。
内側の柔らかいラバーのシワをたぐると、頭を入れる穴があった。
「この穴を首まで通すのね」
着ぐるみの腕に少し手を通しながら、お辞儀するように頭を下げ、ジッパーの中にある
穴に頭をあてがう。
そしてパンダの頭を手で支えながら背中を伸ばした。
ズボっという感じでラバーの穴から頭が出た。
すると、そこにあったラバーマスクが彩香の顔をピッタリと覆った。
中に空洞がありそうな大きな頭のパンダに見えたが、実際には着用者の頭をしっかり
固定するラバーフードとマスクが装備されていたのである。

以外な感触に驚いて、しばらく目を閉じたまま呼吸もしなかったが、ゆっくり目を
開けるとパンダの目の裏を通して外の様子を覗くことができた。
パンダの口の部分からは、ほんの少し足元も見える。

恐る恐る息を吸うと、少し息苦しいがなんとか呼吸できるようだ。
しかしまるでダースベイダーのように、
「シュゴーッ、フー、シュゴーッ、フー」と呼吸音がする。

少し手を上に上げようとすると、これもズボっと一気に着ぐるみの指先まで彩香の
指が入った。やはりここもラバーグローブになっている。

これで完全に着ぐるみを着た状態だ。
内側のラバースーツには、何かさらさらしたパウダーが付いているらしい。全身を
ラバーで覆われた彩香は、その感触に今まで味わった事のない気持ちよさを感じていた。
そして何より、寒さを殆ど感じなくなっていた。
ジッパーは開いたままなので、背中が少々寒いだけである。

「ちょっと歩いてみようか?」
大きなパンダの足で一歩前に踏み出す。
暗がりのため足元がかなり見づらい上に、極端に短い足。 ゆっくりとしか歩けない。
ふらつきながら何歩か進んだ。
少し肩が重い。
大きな着ぐるみの割には思ったより軽いのだが、重さは全て肩に乗ってくるようだ。

「着ぐるみの中の人ってこんな状態のままいろんな事してるんだ。大変だよなぁ」
などと考えてしまった。

「これからどうしよう。 といっても、助けを待つしかないか……」
「これならエレベーターの前まで戻って待っていても平気かな。」
478ふかもこ好き ◆1hCfTbr4qE
考えながら、さらに数歩前に進んだときだ。

ガチャンという大きな音が天井から響いた。
続いて、モーターの動くような音がし始めた。

着ぐるみを着た彩香は、天井を見上げる事もできず、何があったのかすぐには
分からなかった。
しかし急に背中を引っ張られるような感じがして、体ごと振り向いた。
背中で、何か「ジジジ……」と音がしている。

「何?アッ!!」
彩香は気がついた。
さっきまで天井から垂れ下がっていたロープがない。
そうだ。
この着ぐるみは、まだ天井からのロープに結ばれたままだったんだ。このままじゃ
どこにも歩いて行けない。
ロープはいったいどこに?

膝を折って天井を見上げた。
するとそこにロープが見えた。
それは先程のように垂れ下がっているのではなく、着ぐるみの背中から天井まで
ピンと張っている。

ロープがどんどん巻き上げられているのだ!!

あわてる彩香。
しかしロープがジッパーのスライダーをどんどん引き上げていく。
ロープを握ろうとするものの、着ぐるみの短い手では、ロープにも背中にも届かない。
あっという間に、完全にジッパーが閉じてしまった。

しかしロープはまだ止まらない。
彩香は最初に着ぐるみを降ろした位置へと背中を引っ張られて後ずさりしていく。
そしてついには吊り上げられ、足が床に着かなくなった。

「イヤァァァァー!!、シュゴーッ、助けてェェェェェー!!、シュゴーッ、フー」

必死に何とかしようと手足をばたつかせるが、宙に浮いた着ぐるみはぶらんぶらんと
揺れたり、回転したりしながらゆっくりと上昇していく。

他の着ぐるみと同じ位置まで上昇すると、ロープの巻き上げは止まった。

なおも必死で手足をばたつかせる彩香。
本当はロープを握ったり、着ぐるみの中で手足だけでも抜こうとしているのだが、
それは単に手足をばたつかせるだけなのだ。

体を動かそうとしても、振り子のように少し振れたり、くるんと回転してしまうだけ。


必死にもがき続けたが、やがて彩香は力尽きてしまった。
手足はもうぶらんと垂れ下がったまま。

「シュゴーッ、フー、シュゴーッ、フー」
部屋の中に彩香の呼吸音だけが響く。

「シュゴーッ、フー、シュゴーッ、フー、シュゴーッ、フー……」



続く