逆野球拳(仮)

状態
完結
文字数
3,066
投稿数
4
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532◆TUrTQC5dZk
>>373-378の続編です。

 あれから数ヶ月後。美優もAの紹介で面を購入し、その他にも全身タイツや楽しむためのグッズなど
様々な物を2人は買い揃えていった。美優の着ぐるみは「あんな」といい、あまり長くないピンク色
の髪の娘である。ツンデレそうな軽いつり目に口はきゅっと結ばれているという、いかにも気の強そう
な顔をしている。実際、その通りの設定で美優があんなちゃんになると、豹変した。その辺のギャップ
が2人をますます興奮させた。
 
 ある日、美優は大きなバッグいっぱいに楽しむ物を詰めてAの部屋を訪ねた。
「今日から連休だから、2人でたっぷり楽しもう」
 心なしか美優の声は弾んでいるように聞こえた。
 この時点では2人はまだ一緒にテレビゲームをしたり、談笑したりしていた。夜になって、
もう今日は来客がないだろうという時間になったときAが切り出した。
「そろそろ、いいんじゃないかな」
「そうね」
「ところで、今日は俺が考えたゲームをやりたいんだ。結構いろいろな着ぐるみがここにあるしね」
 それはいわゆる逆野球拳とでもいう物であった。つまり、じゃんけんをして負けたら全身タイツや
着ぐるみを着込んでいくというのである。
「楽しそうね。じゃあ、『あれ』つけてくるから」
 あれ、とは特殊な下着で男性用のそれと女性用のそれを近づけると電磁波やその他の仕掛けが作用して
着ている人に快感をもたらすのだ。最近では下手に直接やるより、気持ちいいと評判になっているらしい。
 Aは既にビキニタイプの男性用下着を身につけている。女性用をつけた美優が戻ってきた。
「お待たせ。それじゃあ、じゃーんけーん」
 ぽん!
 Aが勝った。美優はそんなに厚くない肌色の全身タイツを着込んでいく。無機質の中に感じる生とでも
言うのだろうか。表面上は生きている様に見えないタイツの塊なのに、女性の息づかいや仕草を感じる。
Aのものは早くも膨らんでしまった。
「まだまだ、大丈夫」
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 数十分が過ぎた。2人とも5,6枚は着ているだろう。赤、黒、青、緑、その他様々な色に
染まっては上塗りされていた。視界も悪くなってきたのでじゃんけんの結果は互いに声を出して
それを聞いて判断していた。
「そろそろ着ぐるみを着ようよ」
 美優がそう言い、Aも同意した。まずはレンジャー物のヒロインになることにする。
 そのヒーロー番組を見たことがないにもかかわらず、「これ、気持ちよさそう」という理由だけで購入した
レプリカが何着かあったのだ。
 美優が負けたのでピンク色のスーツを苦労しながらも着込み、手袋をはめた。そして、マスクをつけようと
するが、分厚くなったタイツの層のせいでなかなかかぶれない。この手のマスクは顔の横の部分が割れて、
前後に分かれるので顔を入れてからマスクを閉じ、横の留め具を留めるのだが、マスクが閉じないのである。
Aが手伝いながら、どうにか顔を収めた美優だがとても苦しそうだ。
「大丈夫?息はできる?」
 心配そうにAは尋ねた。
「どうにか。かなり締め付けられてるわ」
 その直後、Aも黄色のヒロインになり、美優と同じ苦しさを味わうことになった。
 
 その後、Aの提案でやっと美少女着ぐるみを着ることにした。
 そして、じゃんけんの結果、Aがまずちえちゃんになることになった。
 顔の部分があいた肌タイツをまた着込んだ。戦隊ヒロインのマスクが顔あきタイツから覗く妙な姿になった。
かわいらしいお面をかぶる。戦隊ものの面は小さいので十分ちえちゃんの面に収まった。そして、ちえちゃん
はいつもよりきつめになってしまったスクール水着を身につける。これで、Aは喋れなくなった。
じゃんけんは互いに出した手を触りあって判断することにした。

 もう2人とも関節がぎちぎちといい、完全には曲がらなくなっていた。当然、中身は汗まみれで完全サウナ
状態である。それでも、2人はその中に倒錯的な快感を見いだしていた。
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次のじゃんけんは美優が負けた。あんなちゃんになるために、真っ白な肌タイツを身につける。手慣れた
手つきだ。そのままいつも着ているメイド服を着て面をかぶる。
 この性格がきつそうな顔の奥に締め付けられてあえぐ女の人がいる。Aは無言ながらも、そう考え
ずっと元気だった股間に更に活を入れてしまった。
 そして、あんなちゃんこと美優はできるだけのアニメ声でこういった。
「べ、別に着ぐるみを着たかったわけじゃないのよ。ただ、じゃんけんに負けただけなんだから」
 更にあんなちゃんは少し恥ずかしがっている仕草をする。まだ美優には余裕があるようだ。
 そろそろつらくなってきたAは小さいホワイトボードに水性ペンでこんなことを書いた。
「お互いにあと着るのは1つずつにしない?」
 あんなちゃんは冷たくいいかえす。
「全くもう。情けないんだから」
 普段、Aに優しい美優の言葉とは考えられないが、彼女は完全にあんなちゃんになりきっていた。
「だったら、まだがんばる?」
「い、いや、別に反対していないでしょう。あと1つで終わりにするわよ。別にあなたのことを思ってじゃ
ないわよ。あたしもつらくなってきたからよ」

 その、「次」が問題であった。あるオークションで競り落としたカップルの着ぐるみで、とあるゲーム
のキャラらしい。それが、虎をデフォルメして擬人化したようなキャラなのだが、とても分厚いふかもこで、
ふつうの状態で着ても30分が限界なのだ。

 それでも、互いに協力して着せあい、どうにか虎のカップルが誕生した。
 もし、誰かがこの2人を見たとしても、この中の両方にかわいらしい女の子が入っていて、更にその中
には締め付けられ、呼吸も苦しい2人の若い男女が入っているとはとても思えないだろう。
 そして2人は一つになろうとした。が、彼らの身につけている下着は、何層もの布のせいであまり強くない
反応しかしなかった。それでも汗まみれになりながらこするように動いたおかげか、2人とも一定の満足を得た。
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 その後、2人は互いに協力しながら何重もの衣裳を脱いでいった。なんと、全身タイツの3枚目くらいまで
汗じみが浮き出ていた。当然、最初にきたタイツは完全にびしょ濡れだった。
 そのとき、美優がはぁはぁと息をきらしながら恐るべき提案をした。
「ねえ、さっき着たタイツと着ぐるみ、全部交換して、もう一回着てみない?」
 否も応もなかった。Aは力いっぱいうなずいた。

 水分補給をした後、Aは絞れるくらい汗に濡れた美優の全身タイツに思いっきり足を突っ込んだ。
 美優は既に2着目にかかろうとしている。Aは肌色のタイツに腕を通し、頭を入れ、背部のチャックを閉めた。
全身で感じる美優のにおい。じとっ、べとっとする感触。不完全燃焼だったAの股間に元気が再びわいてきた。
 そのまま着込むごとに強くなっていく彼女の香りにAは酔いしれていた。そして、初めて着るあんなちゃん。
 Aの興奮は最高潮に達していた。メイド服も着てあんなちゃんになったとき、既にちえちゃんになっていた
美優は言った。
「喋れないとツンデレも意味ないわねー」
 一応、怒ったような仕草で返す。そんなことをしているうちに、いつしか2人は抱き合っていた。
 今度はちゃんとした気持ちよさがやって来る。彼女の香りの中で彼女と愛し合う。Aはこの上ない幸せを
感じていた。一方、美優も大好きな彼の中で彼と交わる、そんな奇妙な行為に満足しきっていた。
 何度も、壮絶な快感をむかえた。2人が生まれたままの姿に戻ったとき、次の日の真っ昼間になっていた。

 後片付けをしながら、Aは尋ねた。
「次はどんなことをしたい?」
「もっと、えっちなこと」
 2人はクスッと笑った。(終わり)