人形の代役(仮)

状態
完結
文字数
1,248
投稿数
4
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Plain Text
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744名無しさん@着ぐるみすと
「お願いがあるんだけど」
事務所の人に声をかけられた。
「何ですか」
「明日から遊園地でやるキャラクターショーのイベントに使う着ぐるみを
着せる人形が一個足りないんだ」
「え」
「すぐ人形を手配したんだけど、明日のお昼ぐらいにしか来ないんだよ」
「もしかして私に人形の代わりをやれってことですか」
「2時間ぐらいだけだから。それにエアコン効いてるから大丈夫だよ」
「わかりました」
「ありがとう。助かったよ」
私は次の日のことも考えて早めに寝ることにした。

次の日遊園地に着くとイベント会場がある建物に向かった。
ジャージを脱ぎ戦隊レンジャーのピンクの着ぐるみを着る。
私は着ぐるみを着た人形を展示してあるスペースに入り
立ち位置やポーズを確認した。
「ごめんね。人形来たらすぐ交代するから」
「はい。でも人形来なかったどうするんですか」
「その時は何とかするよ。もうすぐ開園時間だから」
私はポーズを決め立ち位置に立った。
745名無しさん@着ぐるみすと
エアコンが効いていても暑い。
しかも動けないのは辛いし大変。
2時間耐えれるか不安だった。

何とか我慢してもうすぐお昼になる。
でも事務所の人は来ない。
暑いし、足は痛い。もう限界に近かった。
747名無しさん@着ぐるみすと
だんだん意識が薄れていく。
気がつくと着ぐるみを脱いで寝かされていた。
「ごめん本当は今日人形来ないんだ」
「今人形誰がやっているんですか」
「うちの事務所の女の子がやってるよ」
「で、いつ人形来るんですか」
「実はうちの事務所のミスで人形を壊したんだ。
だから人形を弁償しなきゃいけない。
でも事情を説明して弁償はしなくてもよくなったが
うちで人形を用意しないといけなっかったんだよ」
「でもどうして人形を用意しなかったんですか」
「事務所赤字でお金がなかった。
悪いけど交通費ぐらいしか出せないかもしれない」
「ちょっと困ります。私だってお金ないんです」
「頼むよ。君に断れると事務所潰れちゃうんだ」
本当は断りたかったけど、今まで所属した事務所のため引き受ける
ことにした。
748名無しさん@着ぐるみすと
もうひとりの女の子と2時間交代で人形の代わりをした。
私は先に終わっていたけどもうひとりの女の子を待っていた。
閉演時間になり女の子が戻って来た。
事務所の人に着ぐるみを脱がしてもらっている。
「お疲れ様」
私は水を渡した。
そうしたらびっくり従姉妹の絵梨香ちゃんだった。
「愛ちゃん、どうしてここにいるの?
私と交代に人形やってたの愛ちゃん?」
「そうだよ。私もびっくりしたよ。絵梨香ちゃん」
「なんだ知り合いだったのか。」
「従姉妹なんです」
「そうなんだ。先に帰るけどいいかな。他にも仕事があるから」
「いいですよ。お疲れ様でした」
「お疲れ様」
事務所の人は事務所に帰っていった。
「愛ちゃんはこのバイト初めてどれぐらい」
ジャージに着替えながら聞いてきた。
「2年ぐらいかな」
「絵梨香ちゃんは」
「1ヶ月ぐらいだよ」
「着ぐるみ干して帰ろっか」
「そうだね」
「臭い。いつもより長く着たしね」
「そうだよ。いつもより長いしね」
「ブーツも臭うよ」
「私も」
「絵梨香ちゃん、じゃあまた明日ね」
「愛ちゃん、バイバイ」

おわり


「