状態: 完結, 文字数: 1,248, 投稿数: 4 # 人形の代役(仮) 744 :名無しさん@着ぐるみすと:2007/03/03(土) 20:17:37 「お願いがあるんだけど」 事務所の人に声をかけられた。 「何ですか」 「明日から遊園地でやるキャラクターショーのイベントに使う着ぐるみを 着せる人形が一個足りないんだ」 「え」 「すぐ人形を手配したんだけど、明日のお昼ぐらいにしか来ないんだよ」 「もしかして私に人形の代わりをやれってことですか」 「2時間ぐらいだけだから。それにエアコン効いてるから大丈夫だよ」 「わかりました」 「ありがとう。助かったよ」 私は次の日のことも考えて早めに寝ることにした。 次の日遊園地に着くとイベント会場がある建物に向かった。 ジャージを脱ぎ戦隊レンジャーのピンクの着ぐるみを着る。 私は着ぐるみを着た人形を展示してあるスペースに入り 立ち位置やポーズを確認した。 「ごめんね。人形来たらすぐ交代するから」 「はい。でも人形来なかったどうするんですか」 「その時は何とかするよ。もうすぐ開園時間だから」 私はポーズを決め立ち位置に立った。 745 :名無しさん@着ぐるみすと:2007/03/03(土) 21:40:58 エアコンが効いていても暑い。 しかも動けないのは辛いし大変。 2時間耐えれるか不安だった。 何とか我慢してもうすぐお昼になる。 でも事務所の人は来ない。 暑いし、足は痛い。もう限界に近かった。 747 :名無しさん@着ぐるみすと:2007/03/04(日) 12:08:57 だんだん意識が薄れていく。 気がつくと着ぐるみを脱いで寝かされていた。 「ごめん本当は今日人形来ないんだ」 「今人形誰がやっているんですか」 「うちの事務所の女の子がやってるよ」 「で、いつ人形来るんですか」 「実はうちの事務所のミスで人形を壊したんだ。 だから人形を弁償しなきゃいけない。 でも事情を説明して弁償はしなくてもよくなったが うちで人形を用意しないといけなっかったんだよ」 「でもどうして人形を用意しなかったんですか」 「事務所赤字でお金がなかった。 悪いけど交通費ぐらいしか出せないかもしれない」 「ちょっと困ります。私だってお金ないんです」 「頼むよ。君に断れると事務所潰れちゃうんだ」 本当は断りたかったけど、今まで所属した事務所のため引き受ける ことにした。 748 :名無しさん@着ぐるみすと:2007/03/04(日) 16:24:29 もうひとりの女の子と2時間交代で人形の代わりをした。 私は先に終わっていたけどもうひとりの女の子を待っていた。 閉演時間になり女の子が戻って来た。 事務所の人に着ぐるみを脱がしてもらっている。 「お疲れ様」 私は水を渡した。 そうしたらびっくり従姉妹の絵梨香ちゃんだった。 「愛ちゃん、どうしてここにいるの? 私と交代に人形やってたの愛ちゃん?」 「そうだよ。私もびっくりしたよ。絵梨香ちゃん」 「なんだ知り合いだったのか。」 「従姉妹なんです」 「そうなんだ。先に帰るけどいいかな。他にも仕事があるから」 「いいですよ。お疲れ様でした」 「お疲れ様」 事務所の人は事務所に帰っていった。 「愛ちゃんはこのバイト初めてどれぐらい」 ジャージに着替えながら聞いてきた。 「2年ぐらいかな」 「絵梨香ちゃんは」 「1ヶ月ぐらいだよ」 「着ぐるみ干して帰ろっか」 「そうだね」 「臭い。いつもより長く着たしね」 「そうだよ。いつもより長いしね」 「ブーツも臭うよ」 「私も」 「絵梨香ちゃん、じゃあまた明日ね」 「愛ちゃん、バイバイ」 おわり 「