真夜中の奇妙な出会い(仮)

状態
未完結
文字数
2,772
投稿数
11
他の形式
Plain Text
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247◆9ghP7k6ang
 真夜中。既に日付は次の日になっていた。
 道路警備のバイトを終えた僕は、コンビニで食糧を買い込み、アパートに
帰る途中だった。このあたりは周りに林が生い茂り、人家が少なく、夜中に
出歩くものはほとんどいない。僕にとっては慣れた夜道だが、それでも、
コツ…コツという自分の足音すら、何か得体の知れぬものの追ってくる足音
と錯覚してしまいそうになる。
 いや…? 聞き間違いじゃない、確かに後ろから僕…以外の足音が聞こえ
ている。誰だ…? 僕は思わず振り返ってしまった。
「―――!」僕は声も出せずに、腰を抜かして座り込んだ。女の幽霊! 僕
は一瞬本気でそう思った。ぼーっと暗闇に浮かぶ、青白い顔と黒い服。そい
つがどんどん近づいてくる!
「…だ、だ、誰だ?」だが相手は答えず、さらにどんどん近づいてきた。
そして、ようやく相手の姿が判明し、逆に僕はもっと寒気を感じた。相手は
黒いメイド服を着て、髪の長い少女のマスクを被っている。手を見ると、
素肌ではなく手袋か何かをはめている。アニメのキャラクターショーに出て
くるような、着ぐるみの女の子だったのだ。
 "な、なんで夜中に、こんな所に、こんなのが…?" とりあえず、幽霊の
類じゃないにせよ、不気味な事このうえないその着ぐるみの少女は、僕の前
に座って、手にしていたスケッチブックに、字を書いて僕に見せた。
『あの、ここはどこですか?』                             (…続く?)
257◆9ghP7k6ang
>>247より)
「…ここ、どこ…?」呆然としていた僕がようやく発した言葉がこれでは、
着ぐるみの少女もリアクションの取りようがない。それでも少女は、気を
とりなおした様子(のように思われた)で、スケッチブックに続きを
書いた。
『わたし、友人と待ち合わせしてるんですけど、友人がいつまでたっても
来なくて』
「ちょ、ちょっと待って!」僕は少女に、書くのを中断させた。
「きみ…しゃべれないの?」少女は頷く。
「声は…僕の声は聞こえるの?」また少女は頷く。
 少なくとも意思の疎通はできる、そのことに僕は少し安心した。そのせい
か、ようやく目の前の着ぐるみの少女を直視することができた。
 優しそうな顔立ちで、口元には微笑を浮かべている。そう造ったんだから
当然だが、こんな真夜中の人気のない暗い道でなければ、「…かわいい」と
思ったかも…そこで僕は雑念を振り捨てた。
「ここは○○市の町外れ、△△町だけど…知ってる場所かい?」
少女は首を横に振った。だとしたら、どうやって来たんだろう?
「じゃあ、今言った場所を友達に連絡して、迎えに来てもらうといいよ」
だが、少女の返答は意外だった。
『わたし、ケイタイ持ってないんです』(まだ続く…)
265◆9ghP7k6ang
>>257より)
 …ありえない。この着ぐるみ少女は、自分のよく知らない場所で、他人と
連絡する手段も無くて、ずーっと夜中まで彷徨っていたのか? 第一、何で
着ぐるみを脱がないんだろう? いや待て、そもそも中身は実際に女なのか?
考えれば考えるほど、不自然な点ばかりだ。
「仕方ないな。ちょっと遠いけど、交番までつれてってあげるよ」
そう告げると、少女は取り乱した(ように見えた)。
「そのマスクだけでもはずして、事情を説明すれば、おまわりさんだって…」
僕がそう言い終わる前に、少女は逃げ出していた。
“このまま見送ればいい、もう関わらない方がいい”僕の理性はそう結論付け
ていたのに、体は勝手に少女を追いかけていた。幸い、いくらも走らないうち
に少女に追いつき、手をつかむ。
「…いいよ、警察がいやなら…じゃあ、ウチに来る?」
少女は、ほっとした様子だった。
「ただし、ハッキリしてほしいことがある。…きみ、中身女? 男?」
切実だった。他人の趣味・嗜好に口を出す気は無いが、外見がかわいくても、
中身が男というのは生理的にうけつけない。
 そんな僕の心中を読んだのか、少女は突然、僕の手を自分のスカートの中に
導いた。僕はビックリしつつも、指先は冷静に感触を探っていた。
 …少女は、スケッチブックに字を書いて見せた。
『わかって、いただけました?』(tuduku)
266名無しさん@着ぐるみすと
しかしよく考えてみるとタックをしている男かもしれない。
僕の疑いはますます強くなった。
「タックしてるの?」
少女は頷いた。
これで完全に生理的に受け付けなくなった。
僕は少女を交番まで連れて行くことにした。(tuduku)
267名無しさん@着ぐるみすと
交番に着くと僕は警官に事情を説明した。
「とにかくそのお面を脱いで顔をみせてください。」
と警官が言うのだが、彼女は首を横に振るばかり。
仕方がないので僕は少女を羽交い締めにした。
「おまわりさん!今の内にお面を脱がしてください!」
そして警官がお面を脱がした。(tuduku)
268名無しさん@着ぐるみすと
中から現れたのは無精髭の濃いおっさんだった。
男だというのは分かっていたが、あまりのギャップに僕は気分が悪くなった。
「どうしてこんなことをしているのですか?」
警官が質問をする。
しかし、おっさんは無言を貫いている。
「カツ丼でも食べますか?」(tuduku)
269名無しさん@着ぐるみすと
おっさんは首を横に振る。
「じゃあ天丼にしますか?」
同じように首を横に振る。
「それなら牛丼は?」
今度は一回振るだけ。
「うな丼にするか?まあ並だけど」
否定。
「いったいお前は何が食いたいんだ!!」
穏やかだった警官がついに切れた。(tuduku)
270名無しさん@着ぐるみすと
『誰もお腹がすいてるとは言ってません』
おっさんはスケッチブックに字を書いて見せた。
「そうか、これは失礼しました。」
警官は我にかえり平静を装った。
僕は吹き出しそうになった。
「文字じゃなくて直接喋れないのですか?」
警官の問いに、ついにおっさんは口を開いた。(tuduku)
331名無しさん@着ぐるみすと
>>247>>257>>265-270の続き。
「喋れるけど.......ほら、イメージ崩れるでしょ?」
そんなのとっくの昔に崩れている。ってゆうか、何だよこのおっさんの声!
安田大サーカスのクロちゃんみたいじゃん。
僕はますます気分が悪くなった。
「それって地声ですか?」
警官が質問をする。
「そうですが何か?」
半分キレたようにおっさんは答えた。(tuduku)
332名無しさん@着ぐるみすと
「いえ、地声ならそれでいいんですけど。」
警官は慌てて答え、そのまま質問をする。
「お名前は?何か身分を証明するものをお持ちですか?」
おっさんは黙り込んでしまった。
それにしてもメイド服を着たおっさんが交番にいるこの異様な光景。
僕はこの場から離れたい衝動にかられた。
「あのぉ~、僕はもう帰っていいですか?」(tuduku)
334名無しさん@着ぐるみすと
「ちょっと待ってください。あなたのお名前も伺っていませんし。」
どうやら、すんなり家には帰して貰えなさそうだ。
僕は覚悟を決めて言った。
「だったらカツ丼を一つお願いします。実はお腹がすいてしょうがないんですよ。」
「駄目ですよ。ここは食堂じゃないのですから。」
(´-`).。oO(えぇ~!さっきはこのおっさんに注文をきいてたじゃないか!)
僕は悲しくなった。(tuduku)