夢幻征四郎 調査ファイル001 “Dollers”

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完結
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106夢幻征四郎
注意!この小説は18禁です!ご了承ください。 
夢幻征四郎 調査ファイル001 “Dollers”
私は夢幻征四郎(むげん・せいしろう)。都内で探偵事務所を営んでいる。といってもボロ雑居ビルの一室を間借りした小さいもので、従業員は私一人。当然依頼など滅多にこない。賃貸の料金もろくに払えないくらいだから当然独身だし、伸び放題の髪に無精ひげときたもんだから彼女もいない。
「さて、と」私は机のパソコンを立ち上げる。食パンを焼きもしないで水で流し込みながら、調査報告書のタイトルを打つ。
「Dollers」所在調査の中間報告

一週間前、私は珍しく依頼を受けクライアントの家を訪れていた。夏真っ盛りの、せみ時雨を全身に感じる日だった。玄関の前に立ち、インターホンを押す。
「はい、どちらさまでしょうか」
「夢幻探偵事務所の夢幻です」
ガチャ。鍵が開いて、ドアが開くとそこには細身で小柄な男が立っていた。
「よくいらっしゃいました。さあ、リビングにどうぞ」と男。
「おいおい。堅苦しい挨拶は無しにしようぜ」と私。
実は今回のクライアントは私の大学の同期であった。趣味でつくっていたPCソフトがあたり、在学中に大金を得て、今では「億ション」と称される高級マンションに住んでいる。これほどの経済力の差にもかかわらず、不思議と交流が続いていた。ここで友人を仮にAと呼ぼう。Aには変わって趣味があった。彼に言わせると、それは「着ぐるみコスプレ」というもので、肌色の全身タイツとプラスチック製の美少女キャラの面で体を完全に覆い、かわいらしいコスチュームをまとって「変身」をするのだそうだ。Aは同じ趣味の人とコスプレイベントやオフ会なるものに積極的に参加しているのだそうだ。
 リビングに入ると、そこには部屋の壁一面にかわいらしいお面がかけてあった。ざっと100はあろうか。色とりどりの髪の少女の顔達が惜しげもなく笑顔を振りまいていた。
「どうぞ」とAはソファーに座るよう促した。
「しかし、相変わらず、すごい部屋だね」と私はソファーに浅く腰掛けながら言う。
「フフ、そうかな。でも嫌な気はしないでしょ」
「あぁ、まあね」
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「さて本題に入ろう。この話は君にしか話せないんだ。ほかの人が聞いても信じてくれないだろうから」
「と、いうと」
「とある店の所在を調べてほしいんだ。それも不思議な店の、ね」とAは話を始めた。

うだるような熱帯夜だった。エロティックな光であふれる夜の町を僕は地団太でも踏むようにして歩いていた。やり場のない怒りをぶつけるように。しかし、怒りは収まるどころか蒸し暑さのせいもあって増幅していった。ふと、1つのネオン灯が目にとまった。赤のネオン灯で効こう書かれていた。“Dollers”その下に暑苦しい木の扉があった。どういうわけか気になって重い扉をためらいなく押した。扉の中は洋館の一室のようであった。古めかしいテーブルといすがいくつか置かれ、床には高級そうなじゅうたん。照明はオレンジ色の光を放つアンティークのスタンドだけで、店内は薄暗かった。辺りを見回していると「いらっしゃいませっ」
背後から、耳がキンキンするようなアニメ声がした。振り向くとそこにはメイド服に身をつつんだアニメ顔の少女が立っていた。一瞬ギョッとした。はじけるようなメイドさんの笑顔が僕の顔を見ている。彼女は身長150センチくらいで黒のロングヘアであった。黒い瞳がクリクリとして愛らしい。
「あの、ここは?君は何でそんな着ぐるみを着てるの?」
「私、着ぐるみじゃないもん!お人形だもん!ここはね、私達人形が人間の悲しみを癒してあげる場所なんだよ」とメイドさん。
わけが分からず、ポカンとしているとメイドさんは言葉を続けた。
「私達人形はね、人間の悲しみに寄り添うために存在するの。だから、ここは人間とお話したり、触れ合ったりして気持ちよくしてあげる場所なんだよ」
ハハァ、どうやら僕は怪しげな風俗店にはいってしまったようだ。今はこんなのがはやっているのだろうか。どうせ暇だし、付き合ってやるか。
「じゃあ、僕も癒してもらおうかな」
「はい。この中から好きな子を選んでね」とカタログを手渡してくれるメイドさん。
そこには様々なタイプの着ぐるみ・・・もとい人形の写真が載っていた。金髪碧眼、赤髪赤目、茶髪オッドアイ・・・。僕は青目青髪ポニーテールの子を選んだ。
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「コスチュームのご希望はありますか?」とメイドさん。
「いえ、お任せします」
「分かりました。料金は1時間二万円、その後、1時間延長するごとに追加料金1万円がかかりますが、よろしいでしょうか?」
「はい」僕はこう見えても金ならある。金しかない。
「では、奥の部屋にご案内します」とパタパタと前を歩くメイドさん。やがてドアの前に着く。
「では、中でお待ちください」とメイドさんはドアを開けて僕を中に入れた。部屋の中はほとんど普通だった。普通のツインベット、普通のいす、ロープ、手錠、ローター等の攻め具がおかれている普通のテーブル、ただ1つ普通でなかったのは、部屋の壁とすべての家具が青かったということだ。蛍光灯の光さえ青い。まるで精神世界を表しているようであった。
 そうこうするうちに、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。「どうぞ」と声をかける僕。ドアが開き、カタログの写真そのままの少女が入ってきた。ひらがな4文字で略される18禁PCゲームに出てきそうな制服に身を包んで、凛とした立ち姿であった。
「私、淫子(いんこ)っていいます。学校では生徒会長をやっています」とハキハキと自己紹介をする彼女。しかし、僕の頭では疑問が渦巻いていた。
「僕はAといいます。あのさ、どうして着ぐるみなんて着ているの?」
「なにいっているの?私は人形なのよ。に・ん・ぎょ・う!生きている人形なの。分かる?」
「じゃ、じゃあ、一体どうやってしゃべっているの?」
「どうって、人間達と同じに決まっているでしょう」
あくまでも白を切るつもりのようだ。淫子は腕を組んで少し怒ったようなしぐさをしている。腕によって、寄せて上げられた豊満な胸が、僕を挑発しているように見えた。
「わかった、わかった、もう聞かないよ」と僕は降参した。
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「じゃ、何しようか」と尋ねる淫子。
「あの、何してもいいんだよね」
「うん、何でもAの好きなことしていいのよ」
「じゃあ、ゲームをしようよ。それも、とっておきの」
僕は邪悪な笑みを浮かべた。
「5分交代で相手の体を弄ぶんだ。テーブルの上の攻め具も自由に使える。先に意識が飛んだほうの負け。どう?」
淫子は少し考えるしぐさをした後、大きくうなずいた。
「ただやるんじゃつまらないな。そうだ何か賭けよう。賭けるものは自分の一番大事なものでないと意味ないからな」
僕はかばんから、札束をぽんと取り出した。「僕にとって金が一番大事だ。この100万円を賭けよう。君は?」
淫子は困ったようなしぐさをした後、言った。「じゃあ、私は体を賭けるわ。料金は無料にしてあげるから、好きなだけ私の体を弄んでいいよ。私がコワれちゃうまで・・・ね」
これを聞いて、僕の顔にはますますいやらしい笑みがあふれ、息子も膨れ上がっていく。淫子はそれを指差して、いたずらっぽく笑う。
「笑っていられるのも今のうちだぞ。さ、服を脱ごうか。フェアプレイといこうぜ」
と僕。すると、淫子は目の前で制服を脱ぎ始めたではないか。普通後ろを向くだろうと思っていた僕は動揺した。しかし淫子は僕のことなんかお構いなしだ。上着、スカート、ワイシャツと実にねっとりとした手つきでゆっくりと脱いでいく。まさに、ストリップショーだ。僕は完全に見入っていた。やがて清潔感あふれる白いブラジャーとショーツというあられもない姿になる。ブラのホックに手を掛け、外す。押さえ込まれていた胸が解放されて狂喜するようにプルンポヨンと飛び出してくる。おや、乳首まである。桃色のそれは何かを主張するようにツンとしていた。そしてショーツに手を掛け、ゆっくりとおろしていく。
「あれ、穴がない」僕はつい口走ってしまった。
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「うふふ、私はお人形だから穴はないの。だから私の中に息子さんを迎えることはできないわ。でも、手で刺激すれば人間と同じように感じることができるのよ」
そういう意味ではなかった。そういう性の穴やア○ルは確かになかったが、淫子の中に人が入るとき通ったであろう穴や呼吸口すらどこにもなかったのだ。
「どうしたの?脱がないの?」
淫子の声ではっと我に返り、急いで服を脱いでいった。「あらあら、元気な息子さんね」と淫子は目覆いながら笑った。
「準備はできた。じゃあ、はじめよう。僕の先攻でいいね」
淫子はベッドにペタンと座って「いつでもいいわよ」という。
「よし、5、4、3、2、1、スタート!」
僕の一回目の攻撃が始まった。開始と同時に淫子の胸に手を当て、乳を搾るように握り締めた。「はひいぃぃぃいぃぃぃ」
ぐいっ。「ひいやあぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁ」
ぐにゅぅ。「胸え、コワレるッ、コワレちゃうよおおおぉぉぉぉぉぉ」
一回握るごとに激しく体をよじりながら反応する。目の前で悶えるエッチな着ぐるみに、僕の興奮は早くも最高潮に達していた。
ぎゅうッ、ぐにゅぐにゅう。「やめて、もうやめてぇ、あ・・・あ・・・・ああああぁ」
「聞こえないなぁ。もっと大きな声でいわなきゃ。この乳首みたいに」そういうと僕は夏子の乳首をつまむと強く弄んだ。淫子の体がピクンッピクンット反応する。
コリッ「ひくっ」
コリッ「あうっ。Aさ・・・・んっ。ひ・・・あっ。あ・・・あ・・・あああっ」
コリッ「わ・・・わた、私もうダ・・・メ、ダメェ。あっ、あああああああああ」
大きくビクンッとして、淫子はくずおれてしまった。勝った・・・のだろうか?
淫子の顔を覗き込む。先ほどのエッチさとは裏腹に凛としたままの顔があった。と突然2本の腕が伸びてきて、僕を捕らえ胸にうずめた。ふぐっ・・・ふぐうっ。窒息しそうだ。なんとか脱出すると、
「あはははははははははっ、びっくりした?あわてちゃって、かーわいいー」と淫子がはしゃいでいた。
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「なんだ、心配して損した」
「ううん、本当にイっちゃってたモン。一歩リードされちゃったかな」
ピピピピピ・・・とタイマーのアラームがなる。
「交代だね。よーし、がんばるぞー」とファイティングポーズをとる淫子。先ほどの攻撃のダメージが感じられない。
「じゃあ、よーい、スタート」
淫子の1回目の攻撃が始まった。彼女は美しい宝石でも手に取るかのように優しく僕の息子に触れてきた。「本当に素敵な息子さんね」
時に小動物をめでるようにやさしく撫で回し、時に僕が淫子の乳首にしたようにゴリゴリとこすった。緩急を利かせた上に、確実に弱点を付いてくる。「ハア・・・ハア・・・ハア・・・」
息が荒くなる。やばいイキそうだ。もう限界だ、もたない。意識が飛ばなければいいのだから出してしまおう。そう考えて絶頂を迎えようとしたそのとき、ピピピピピ・・・・・。
「ああ時間切れか・・・。つまんないの」と淫子。僕は1回目の攻撃を乗り切ったことで優越感に浸っていた。だが一方で切ない思いをしていた。

ゲームは延々と続いた。僕は知りうる限りの女性のツボを攻撃した。特に股は執拗に攻めた。
しゅっ。「いや、押さないでぇ・・・くいっ、こんでっ、くるっ」
シュッ。「ひゃう・・・。こ・・・す・・・れ・・・て・・・くうぅ」
しゅっ。「やめて、そんなところぉ」
シュッ。「激しすぎるよぉ、もう私が・・・コワレちゃうっ」
しゅっ。「助け・・・助けて」
シュッ。「もう許して・・・Aさん。私さっきからイきっ、イきっぱなしなの。あ・・・ひあ」
しゅっ。「あうっ。私の、お豆さんを、いじら、な、いでぇ」
彼女の乱れっぷりは半端ではなかった。しかし攻撃後は何もなかったかのように振舞っている。これには焦りを隠せなかった。
淫子の中ではきっと汗と涙と粘っこい液体にまみれた人が快楽に耐えているはずだ。だが、淫子の表情は凛としたまま。このギャップに悶々としていたし、淫子の攻撃で一度もいけない僕の心のざわつきは大きくなっていった。
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20回目の淫子の攻撃が始まった。「ふふっ、Aさんにはたーくさん気持ちよくしてもらったから、そろそろお礼をしないとね」というと彼女は今までと違う独特のリズムで攻め始めた。このとき僕はイけなかったのではなく、イかされなかったのだと、この一撃のための布石だということにいまさら気づいた。淫子のほうが数段上手だった。そう思ったときにはもう、白濁した液を鯨の潮吹きのごとく噴出していた。僕の意識は、最高の快楽とともに闇に落ちていった。

「う・・・ん」と目を開けると淫子の顔があった。
「目が覚めたかしら?」
彼女はすでに制服を着ていた。僕の服も着せてくれたようだ。
「ハア、人形の女にも弄ばれるとは情けない。ほら約束だ」
と札束を差し出した。
「僕は子供のころからずーっともてなかった。地味だし、ヲタだったから。でも、半年前合コンで会った飛び切りの美人がデートに誘ってくれたんだ。彼女に喜んでもらおうと必死だった。ほしいものは何だって買ってあげた。送り迎えもしてあげた。そして今日、思い切って付き合ってほしいって告白したんだ。そしたら彼女なんていったと思う?『私が好きなのはあなたのお金よ。あなたじゃないわ。勘違いしないでよ。キモ男』何で僕はもっと早く彼女の本性に気づけなかったのかって、自分に腹が立って。いらいらして歩いていたらここを見つけたんだ』
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淫子は黙って聞いていた。僕が話し終わると淫子はこういった。
「ねえ、どうして私達人形がおとなしい表情をしていると思う?」
「さあ」
「人間と感情を共有するためよ。うれしいときは共に喜び、悲しいときは共に悲しむように人間には見えるの。そうして苦楽を分かち合うの。苦しみを半分に、喜びを2倍にできるのよ」
「君は優しいんだね・・・。君みたいな人間に会いたかった」
「会えるわ。Aさんの人生はまだ長いもの」
「でも、僕はまた悪い人に出会ってしまって、傷つくのが怖いんだ」
「そのときはまたここにいらっしゃい。Dollersの扉はいつも苦しんでいる人の前にあらわれるの」
と淫子は微笑んでいった。どっと涙が溢れ出し、淫子の胸に顔をうずめて泣いた。その胸は、人のぬくもりであふれていた。
「これは受け取れないわ」と淫子は札束を突っ返す。
「じゃあ、これは料金と君へのお礼だよ」と札束から10万円取り出して、淫子の胸の谷間に突っ込んだ。
「キャッ、もう、Aさんのエッチ」
114夢幻征四郎
私はAの話を時に悶々と、時に目を潤ませて聞いていた。Aはその後着ぐるみコスプレに目覚めたのだそうだ。
「どうしても淫子を超える子ができないんだ。」とAはいう。
「それにあのときのお礼を改めてしたいんだ」

私は一週間にわたりAに聞いた場所とその周辺を調べたが、何の手がかりも得られなかった。
「Dollarsの扉はいつも苦しむ人の前にここに現れる」と淫子さんはいった。他にも目撃者がいるかもしれない。そこで2ちゃんねるにも報告書を書いたのだ。誰か情報を提供していただけないか。心あたりがあればこの掲示板に書き込んでいただけないだろうか。
終わり
この物語はフィクションです。登場する人物、団体組織名、Dollarsは架空のものです。
また、不快感を感じる人が出ないよう、人物名は絶対にありえない名前を使っています。

お目汚し失礼いたしました。夢幻征四郎です。駄文お許しください。着ぐるみのあり方というものをクローズアップしたので、皆様の求めるものとは大きくずれてしまったかもしれません。
どうかお許しください。では失礼いたしました。
115夢幻征四郎
114 DollarsでなくてDollersです。すみません。