Dollersシリーズ3 “sadistic garden”

状態
完結
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5,021
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8
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201夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
Dollersシリーズ3 “sadistic garden”
着ぐるみ達が癒してくれる不思議な店、”Dollers”
今宵も傷つき血を流した心をもつ人々が癒しを求めやってくる。

トレーニングルームの中で、物々しいトレーニングマシンに囲まれて「彼女」は立っていた。
金髪を前と後ろで1つずつ縛って「ちょんぼりちょろり」をつくり、サファイヤを埋め込んだような輝く瞳をもち、スレンダーな肉体に目のやり場に困るほどの豊かな胸、ぴっちりとしたスポーツウェアに身を包んだ彼女は、「深夜の通販番組の健康器具コーナーに出てくるお姉さん」という出立ちであった。
「あ、コーチ。おはようございます」
元気のよい声が部屋の中に響き、彼女は軽く会釈した。しかし、彼女の口は動いてはいない・・・彼女はDollersの着ぐるみだったのだ。
「やあ、おはよう。担当のタジマです。えっと名前は・・・」
「アンナです。今日はよろしくお願いします」
アンナの目の前には身長2メートルはあろうかという大男が立っていた。大きな図体に似合わず温厚そうな顔だ。この「タジマ」という中年、スポーツインスタラクターとして働いている。今日も仕事帰りにDollersに寄ったらしく、ジャージを着ていて、なにやら大きなかばんを肩からかけていた。
202夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
「よし、早速だが、君はどうなりたいんだい?」
「ええと、もう少しおなか周りを細くして、スタイル良くなりたいんです」
「よし、じゃあ僕のオリジナルのトレーニング法を教えてあげるよ」
そういうとタジマはかばんの中から、たくさんのイボの付いた円筒形の装置を取り出した。
「おなかを細くするためには、体の内側の筋肉から鍛えないといけないんだ。だからこの装置を君の中に入れるんだ」
「中に入れるって・・・どこから入れるんですか?」
怪訝そうな声でアンナは尋ねた。
「決まってるじゃないか・・・君の前の穴からだよ」
タジマはにっこりと笑った。
アンナは特殊なDollersの着ぐるみの中でも、さらに特殊だった。
人間と同じように股間の前と後ろに穴があったのだ。タジマはこれのためにアンナを指名したのだ。
「え・・・それはいくらなんでも・・・恥ずかしすぎるというか・・・」
「スタイル良くなりたいんでしょ。これくらい我慢しなきゃ」
「・・・・・・分かりました。入れてください」
アンナがそういうと、タジマはその装置にたっぷりとジェルを塗りたくり、彼女の下を脱がすと、秘所にねじ込んだ。
「・・・くぅ・・・」
声を押し殺して刺激に耐えるアンナをよそに、タジマはそれを奥の奥まで押し込んでゆく。
「あの・・・これからどうするんですか?」アンナは立っているのがやっとという感じだ。
「ここからが本番だよ。スイッチオン」
「ひぃっ・・・」
アンナはその場に崩れ落ち、四つんばいになった。小刻みに震えながら何かに耐えているようである。
「いや・・・私の体、どうしちゃったの?」
「心配しなくていいよ。その装置はね、微弱な電気を発しているんだ。それによって君の穴の周りの筋肉を強制的に動かしているんだ。でも、大丈夫?立てる?」
アンナの穴の中も当然ゴム状のもので覆われていたが、とても薄いので、電気を通してしまう。そしてアンナの中の人の穴の筋肉を痙攣させ、筆舌尽くせないほど気持ち良い世界へといざなうのだ。
「・・・大丈夫です。立てます」
常に襲う刺激に腰を引かせながらも、アンナはやっと立ち上がった。
「じゃあ、軽くエアロビでもやってみようか」
アンナは笑顔を曇らせずにうなずいた。いや曇らせることができなかった。アンナは表情を変える権利を持っていなかったのだ。
203夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
・・・・・20分後
「はいっ、今度は横にステップしてみよう。ワン、ツー、ワン、ツー」
「わん、ひっ、つー。わん、あっ、つー」
1ステップごとにアンナの体の中で例の装置が暴れている。足ツボ刺激のスリッパが足裏を刺激するのと同じように、装置の突起が彼女の体内のつぼを突いていく。さらに相変わらず続く電気信号による刺激もあいまって、彼女の思考力を奪っていく。
「はい、じゃあこれで終了!ちょっと休憩しよう。」
「ふう、ありがとう・・・ございました」
アンナは一瞬ほっとしたが、突然半減した刺激のために逆に体がムズついてしまっていたし、正気に戻るにつれ今までの自分の醜態を思い出し体を熱くしていた。床にへたり込みながら、目の前の鏡に映る下のウェアのできたジェルのシミを見て、自分を弄んでしまいたい衝動と戦っていた。
「よし、それでは次のトレーニングに移ろうか」
「あの・・・その前に、私の中のものをとってくれませんか?」
アンナは懇願した。
「駄目だよ。ある程度長い時間続けなきゃ。頑張ろ、な」
タジマはにっこりと笑ってアンナの顔を覗き込んだ。いや、にやりと笑ったのかもしれない。
「・・・はい」アンナは伏し目がちに、消えそうな声で返事をした。
204夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
「今度は、これを使うんだ」
タジマは近くにある鉄棒を指差した。高さは約2メートル位ある。
「これにぶら下がるんだよ。簡単でしょ」
「分かりました。そぅれっ」
アンナは鉄棒に飛びついた。と同時に違和感を覚える。
「あれ、この鉄棒なんかベトベトして、手が離れません」
「それでいいんだ。君はすぐ我慢できなくなるようだから・・・もうその手を離すことはできないよ。それに、今回はこれだけじゃないよ」
そういうとタジマはかばんの中から、ゴルフボール大のゴム球がいくつかつながったものを取り出した。
「まだ何かあるんですか!?」
「前の穴だけを鍛えたらバランス悪いからねぇ。後ろのも鍛えないと」
タジマはゴム球にたっぷりとジェルを塗りたくり1つ1つアンナの後ろの穴に押し込んでゆく。
「あ・・・ああっ・・・あ゛あ゛っ」
お尻の穴が広げられるごとに、アンナの体はピクンピクンと波打つ。鉄棒にぶら下がることしかできないアンナに抵抗する術はない。
「準備は整った。これから君の中に入れたゴム球つき紐の先端に重りをつける。君はしっかり穴を締めて中のものが出ないようにするんだ。さもないと・・・気持ち良―くなっちゃうよ。ぐふふふ・・・」
タジマの口からよだれがたれ始めていた。それは彼の仮面が外れ始めた証であった。
「や・・・コーチ、それだけは・・・許してぇ」
アンナの懇願もむなしく、タジマはニヤニヤしながらアンナの穴から出ていたフックに重りをつけた。アンナは必死に穴を締めたが重さに耐えられず、ボールが2個出てしまった。
「あ゛・・・いやぁ」
アンナは身を硬くして刺激に耐えていた。派手に取り乱せばかえって被害を大きくしてしまうからだ。手が封じられ、足も地に着かない上、前の穴への電気攻めが続いている今、アンナにできることは体じゅうを硬くして気を強く持って、それこそ人形のように前後の穴への執拗な責めに耐えるしかなかった。そうこうしている間に重りはどんどん追加されていく。
アンナの精神と肉体は確実に限界へと近づいていった。
205夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
「・・・さあ、これでちょうど2キロ目だ」
「お願い・・・お願いだから!もうやめてぇ!」
「ふふふ、この重りをつけるかつけないかを決めるのは僕だよ。君じゃない」
無常にもタジマは重りを取り付けた。その瞬間、アンナは我慢の限界を超えた。
「あっ・・・あ゛!あ゛!あ゛!あ゛!あ゛!あ゛!あ゛!あ゛!あ゛!あ゛!あ゛!」
耳をつんざくような叫び声は、重りの落ちる音をかき消した。
「あーあ、君は本当に根性ないね。これだから最近の若い子は・・・」
タジマは接着剤のはがし液を取り出し、アンナの手に塗って鉄棒からはがしていく。やっとはがし終わると、アンナは床にぺたんと座って動かなくなった。アンナは頭の中が真っ白になってしまっているらしく、ただただうつむき、惚けていた。
「君は体を鍛える前に精神を鍛える必要がありそうだな」
タジマはアンナの前に仁王立ちすると言葉を続けた。
206夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
タジマは左手でアンナの髪の毛をわしづかみにし、無理やり上を向かせた。内心、気弱だと思っていた自分から、こんな激しい言葉が出たことに驚きながら。
「人が真剣に話しているのに、ヘラヘラ笑いやがって・・・。そんなに俺の話が可笑しいか!」
「コーチ、私はお人形だから表情は変えられないの。私は真面目にコーチのお話を聞いて・・・」
「言い訳するな!!だいたい髪なんか染めやがって、染め直してやる!!」
タジマは右手で自分の下を下ろし、自分の肉棒を取り出してこすり始めた。
「コーチ、何をするつもりですか。あの、ほんとにごめんなさい。私もっと頑張りますから、だから、だから、もう・・・許してええぇ!」
言葉が切れるのと同時に、粘っこい液がアンナの髪を真っ白く染め上げた。アンナは顔を手で覆ってすすり泣き始めた。もちろん、笑顔のままで・・・。
「ひっく、これは、あんまりですぅ・・・ひっくひっく」
「『あんまり』だって?君はこうなることを望んでいたんじゃないの?」
「え、それは・・・」
「君は逃げようと思えば逃げられた。入り口にいたメイドさんとかに助けを求めることもできたはずだ。でも君はそれをしなかった」
「それは、それは・・・・・・」
「もう快楽に屈しちまえよ。何もかも捨ててラクーになりな」
「・・・・・・・・・・・・」
アンナの頭の中で花火がはじけた。その音は理性がはじけた音、これまでの自分が壊れてしまった音。
「・・・・・・コーチ、私を、もっと鍛えてください」
アンナは小さくつぶやいた。その声はまるで誰かに言わされているかのようにたどたどしかった。
207夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
「ぐふふふ、正直でよろしい。こっちに君にぴったりのマシンがあるんだよ」
タジマの指した先には、いわゆる乗馬マシンがあった。座席にまたがってバランスをとる健康器具だ。ただ、目の前の器具は座席が三角屋根のごとく尖がっていた。
「さあ、これにまたがるんだ」
コクリと頷いて無言で従うアンナ。アンナがまたがると、タジマは後ろ手に縛りあげてしまった。さらに両足首にも重りをつけていく。
「さあ、レッツ・エクササイズ!」
タジマはスイッチを入れた。座席は滑りやすく、アンナの座る位置が少しずつずれていく。そのたびに股がこすれ、座席がアンナに食い込む。アンナは今までとは打って変わって派手に嬌声を上げた。アンナの人格はもう消えてしまった。アンナはもう快楽のなすがままになってしまったからだ。あとに残ったのは、ただの抜け殻だけ。アンナはもう立派なマゾヒストになってしまっていた。
「もっともっと、私を鍛えてください。お願い、お願いよおおお・・・」
「心配しなくていいよ。最後までしっかり付き合ってやるよ。最後の最後までなぁ。ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ・・・」
トレーニングルームにはタジマの気味悪い高笑いとアンナのあえぎ声が延々と響いた。それこそ、世界が終わるまで続くかと思うくらい・・・。

そこはまさに、サディストの庭。
208夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
店を後にしたタジマはついさっきまでの自分の行動に戸惑いを感じていた。自分の中にかのような感情がひそんでいたとは、思いもしなかった。・・・いや、目を背けていただけなのかも知れない。確かに自分の中で大きな獣が爪を研いでいたが、自分は良い人であり続けようとしてそれを押さえ込んできた。そうなのかもしれない。しかし、何でかばんの中にあんなものが入っていたのだろう・・・?

薄暗いトレーニングルームには、アンナが体じゅう白濁液にまみれ鉄の鎖でぐるぐる巻きにされて横たわっていた。
「コーチ・・・もっと・・・鍛えて・・・くだ・・・さいぃ」
何度も何度もつぶやく声が誰もいない部屋に響いていた。いつまでもいつまでも・・・。

Dollers待合室ではメイドさんが読書をしながら1人でつぶやいていた。
(人間誰しも善意と悪意を両方持っている。あの人の心は悪意を忌み嫌って押さえ込んでいたからバランスを崩したのね。あのまま放っておいたら大変なことになっていたわ。あの人は優しいから。私達は人の心の最も奥深くに触れることができる存在。アンナ、お疲れ様。あなたは私の指示どおり、あの人のガス抜きをしてくれた。そして恨まないでちょうだい。これがあなたの望んだ「不老不死の法」を施してあげた代償なのだから。あなたにはここで私と一緒に、永遠に人の心に寄り添ってもらうわ。ヨ・シ・エさん)
アンナが「人間」だった頃の名を口に出すと、メイドさんは椅子から立ち上がって、アンナを助けに向かった。
<終わり>