キャラショーの悪夢

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完結
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234ピカ星 ◆LMKplaQJMQ
キャラショーの悪夢
都内にあるビルのイベントホールで、「ブレザーカーニバル」が催されている。ブレザーカーニバルというのは、夢見る少女達に絶大な支持を受けている変身美少女アニメ「学園戦士ブレザー・ベガ」の同人イベントである。会場ではいくつかのサークルが力作の同人誌を販売している。他に昨日放送された第35話での衝撃の展開について喧々諤々の議論をする集団、大声でオープニングテーマを歌っている集団がいくつか見られる。一見よくあるオンリーイベントのように見える。しかし、ただ一点他のオンリーイベントとは決定的に異なっていた。会場の壁際に設けられた特設ステージには、こんな看板がかかっていた。
学園戦士ブレザー・ベガ 着ぐるみショー
1回目11:00~
2回目14:00~
イベント主催者の粋な計らいで、プロの着ぐるみショーチームが招致されていたのだ。開演30分前であるにもかかわらず、ステージの前はすでに満員で、各々の自慢のカメラの準備に余念がない。
235ピカ星 ◆LMKplaQJMQ
一方こちらはステージ裏。壁とステージの間の空間は控え室となっている。ステージの両脇には出入り口の扉がそれぞれ付いていて、そこから入りとハケを行うのだ。
「ただいまー」
明るい声と共に1人の女性が控え室に入ってきた。彼女の名はプラム。うら若き19歳である。今回のショーでは主役のブレザー・ベガの中に入っている。
「おかえりー。ずいぶんと遅いですわね。ひょっとして“大”のほうじゃなくって?」
お嬢様口調でプラムを茶化したのはミウラだ。彼はスレンダーというか骨が目立つひょろりとした男で、ブレザー・デネブを演じている。
「デネブ、悪ふざけはよしなさい!厳罰に処すわよ!」
そういって、悪乗りした男はカワチだ。彼は少しむっちりとした肉付きのよい体格だ。ブレザー・アルタイルの中の人だ。
「んもう、違いますって!ちょっと会場の中を見て回っていただけですってば!」
膨れるプラム。「でも、大人ばっかりで子供が1人もいない会場なんて初めて。いたずらされたら嫌だな・・・」
「大丈夫、ほとんどのオタクはマナーいいですし、心配ないですよ」
「そうそう、普段のショーでも子供達と一緒に盛り上げてくれるんでありがたいっすよ」
ブレザー・ベガ達の敵、バンカラ団の幹部を演じる2人の青年、クルシマとオガワが優しい言葉をかける。
「何くっちゃべってるんだぁープラム!!開演時間迫ってんだぞ!さっさと着替えて来い!」音響担当のオヤジ、ウツギがどやす。プラム以外のメンバーは全員着替えを済ませ、後は面をかぶるだけという状態だ。
「は、はいっ。行ってきますぅー!」
236ピカ星 ◆LMKplaQJMQ
プラムは急いでカーテンで区切られた彼女専用の着替えスペースに向かった。
着替えスペースに入って、急いで服を脱ぎ捨てた。そして、肌色のタイツに身を包んでいく。少し管理がいい加減なので、前任者達の汗のにおいが鼻を突く。
その後で白くテカテカしたレオタードを着ていく。このレオタードは首周りにワイシャツの襟がくっついている。そこに短めの赤いネクタイを通して結ぶ。ちょうどネクタイが彼女の豊かな胸の上にちょこんと乗っかって、健康的なお色気を振りまいている。レオタードの下の部分には赤を主調としたチェック柄のミニスカートがついているが、直立しているときでもレオタードの股間の白い部分がちらついて、恥ずかしい。さらに上には胸の辺りまでの長さまでしかないブレザーを着る。胸には「全ブ連」のエンブレムの刺繍がはいっている。最後に太もも中ほどまでの長さの真っ白なソックスと黒いローファーを履いて・・・と。おっと、変身道具のブレイズウォッチを付けるの忘れてた・・・これでよしっと。ちなみにデネブはネクタイ、ブレザー、スカートの色が緑、アルタイルは青となっていて、コスチュームの形状は3人とも同じである。着替え終わると同時プラムはみんなのところに駆けていった。
237ピカ星 ◆LMKplaQJMQ
ここで、学園戦士ブレザー・ベガについて説明しておこうと思う。全国ブレザー連盟(全ブ連)の指導の元、ブレザーは順調に普及していた。しかし突如、ブレザー殲滅をもくろむ謎の集団「バンカラ団」が現れた。バンカラ団は「レトロンディ」という怪人を使って、「ブレザー狩り」を始めた。全ブ連はスーパーコンピュータで3人の女学生を選び出し、彼女らに協力を求めたのだった。かくして、元気いっぱいの赤毛そばかす娘「ブレザー・ベガ」金髪縦ロールの高ビーお嬢様「ブレザー・デネブ」、「厳罰に処す!」が口癖の厳しい委員長キャラの眼鏡っ子「ブレザー・アルタイル」の3人は今日も制服の選択の自由を守るべく戦い続ける、とまあこんなしょうもない感じのアニメなんだが、なぜか大ヒットして、来年度春からの新シリーズで「ブレザー・スピカ」なる新キャラが登場するんだとか。

「よし、じゃあ台本の確認を始めるぞ」ウツギが中心となって台本の最終チェックを行う。
今回のショーのストーリーのおまかな流れは以下のとおりである。
1. レトロンディ登場。会場の“お友達”に襲い掛かる。
2. ブレザー・ベガ、ブレザー・デネブ、ブレザー・アルタイル登場。レトロンディ撃退。
3. ブレザー・ベガ、学校に忘れ物を取りに帰るため、はける。
4. レトロンディ再登場。催眠装置でデネブ、アルタイルを操ることに成功、4人ともステージから掃ける
5. ベガ登場。レトロンディと一緒にいるデネブ、アルタイルに会う。
6. 操られた2人に攻撃され、ベガ、ピンチ。
7. お友達の声援で復活し、催眠装置を破壊。
8. 3人の合体技「インフィニット・サマー・トライアングル」でレトロンディを浄化。めでたしめでたし
確認が終わると開演の五分前。通信用のイヤホンをつけ、ライムはベガの面を手に取った。燃えるようなカーリーな短髪、そばかすの目立つ笑顔。
「今日もよろしくね」ライムはそうつぶやくとベガの顔をかぶり、外れないようにしっかりと固定した。他の全員も面をかぶり、所定の位置に付く。
「よしじゃあ行くぞ」ウツギが音楽を流す。
238ピカ星 ◆LMKplaQJMQ
低重音の不気味な音が響き渡り、学ランを着た2人の怪人が出てきた。2人とも毛深く、ゴリラのようである。赤い目にとがった歯の醜悪な顔つきだ。
レトロンディ1(クルシマ)「我らはバンカラ団の忠実な戦士レトロンディ。この世から憎きブレザーを消し去るために日々戦っているのだ」
レトロンディ2(オガワ)「おおっと、ここには人間がたくさんいるぞ。もしかすると、この中にもブレザーの奴が隠れているかもしれないぞ」
「よし、しらみつぶしに探して、引きずり出してやる!」
2人がステージから降りて、“お友達”に襲いかかろうとしたその時、
「待ちなさい!! ブレザアアァ、オンッッ!」×3
変身シーンの効果音が流れ、ベガ、アルタイル、デネブの三人が勢いよく飛び出した。
ステージの中央に立ち、名乗りを上げる。
「希望の星、ブレザー・ベガッ!」シャキーン!
「裁きの星、ブレザー・アルタイルッ!」シュピーン!
「魅惑の星、ブレザー・デネブッ!」キラーン!
三人とも効果音にあわせてケレンミたっぷりに見得を切る。
べ「私達には制服を選ぶ権利がある!」
デ「レトロンディみたいなイケナイ子は!」
ア「厳罰に処す!銀河のチリになりなさい!」
レ1「また出たな、今日こそ貴様らを倒す!」
レトロンディ達がステージに上り、バトルが始まった。
「ガンバレー、ベガアアァ!」
「デネブ、負けんなああぁ!」
「アルタイル、立てええぇ!」
観客達は惜しげもなく声援を送る。カメラのシャッター音が絶え間なく響く。外付けのフラッシュの光が互いの目を焼く。
レトロンディを撃退し、はけていくベガ達。観客達はしばし小休止したり、カメラの絞りをいじったりしている。
239ピカ星 ◆LMKplaQJMQ
再びレトロンディがステージに現れた。
「・・・やれやれ、またやられてしまった」
「そうっスねえ」
「一体奴らの弱点は何なんだ?」
「・・・そうだ、奴ら3人一緒じゃないと力を発揮できないっスよ」
「なるほど・・・、しかしいったいどうやってばらばらにするんだ?」
「先輩、僕にいい考えがあるっス」
耳元で何かヒソヒソと内緒話をしている。
「・・・さすがだな、お前のような天才を後輩にもって俺はうれしいぞ!」
「これで先輩と僕は幹部昇進間違いなし。グッフッフ」
「早速準備をしよう。今日がベガどもの最後の日だ」
・・・そういって舞台袖にはけていく2人。

軽快な音楽と共に、アルタイル、デネブがステージから出てきた。
「この公園においしい移動クレープ屋さんが来ているのよ」
「庶民の味も、たまにはいいですわね。楽しみですわぁ」
ザアアァ~、ガッ、ぴぃ~
「あー、ただいまマイクのテスト中」
ア「この声は!」
デ「レトロンディ!」
あたりをきょろきょろと見回す2人。
「あいつら、公園にある防災用のスピーカーでしゃべっているのね」
「忌々しきブレザーの戦士ども、これが貴様達の最後になるのだ!」
「何ですって!?」
次の瞬間、ウォンウォンウォン・・・という奇妙な音が流れてきた。
デ「・・・・・・何ですの、この感覚」
ア「体に力が入らない」
デ「はあはあ・・・それに・・・なんだか・・・眠い」
ア「もうだ・・・め」
2人ともその場に倒れてしまった。そこへレトロンディ達がやってくる。
「作戦成功っスね」
「ああ、これで後はベガだけだ。ふふふ・・・はははははは」
レトロンディ達は2人を担ぎ上げ、はけていく。
240ピカ星 ◆LMKplaQJMQ
レトロンディ達は2人を担ぎ上げ、はけていく。
「おまたせー、あれ、2人共もう帰っちゃったのかな?」
再び、登場したベガはきょろきょろと辺りを見回す。
「おやおや、誰を探しているのかな?ブレザー・ベガ」
レトロンディが出てきてベガに尋ねる
「ひょっとしてお友達を探しているのかい?」
「あんた達の仕業ね。2人を返しなさい!!」
すごむベガ。
「ああ、返してやるよ。出て来い。デネブ、アルタイル」
次の瞬間、観客達とプラムはみな凍りついた。
「デネブ!アルタイル!」
完全パッケージショーなのでせりふが流れていくが、ベガは棒立ちしたままだ。

舞台袖から出てきたベガとアルタイルは、エナメルのボンデージに身を包み、後ろ手にロープで縛られ、目隠しをしていたのだ。こんなの台本にない。

「ライム、声のとおりに演技をするんだ。さもないとクビだ」
イヤホンからウツギの冷たい声がする。ライムはパニックになっていたが、クビがかかっているので、とりあえず演技を続ける。
「今、ほどいてあげるからね」
ベガは2人のロープと目隠しを外してあげた。その途端、デネブはベガの後ろに回って、ベガの両腕を上に伸ばさせ、右の腕でがっちりと固定してしまった。さらにアルタイルも、あぐらをかくような感じで足を組み、ベガの足を動かせないようにしてしまった。
べ「ふ、2人とも、どうしちゃったの!?」
ベガの声が震えている。完パケの内容も練習時のものとは違っているようだ。中にいるプラムも脳内がショート寸前だった。
(一体何がどうなってんのよ!?)
241ピカ星 ◆LMKplaQJMQ
デ「わたくし、ずっと前からベガのこと、好きだったんですの・・・。友達としてではなく、恋愛対象として・・・。今、やっと自分に正直になれましたの。もう迷いませんわ」
そういうとデネブは左手でベガの胸をつかみ、もみ始めた。
デネブ「あぁ、ベガのここ、暖かくて柔らかい。学校で、隣の席のあなたを見るたび、あなたの胸をモミモミしてみたいって、私の手で形を変えてみたいって思ってた。学校から帰ると、私のショーツには恥ずかしいシミができてたわ・・・。できることなら、もっと早くこうしたかった・・・」
このせりふを言っている間にも、次第に愛撫が激しく、早くなっていく。プラムは大声を出して助けを求めていた(ちょっ、ミウラさん止めて、あうっ)が、面の中でむなしくこだまするばかりで、誰にも聞こえない。
ア「私もベガを性的に欲していたの・・・。でも、私、女の子だから、ベガに嫌われるのが怖くて・・・。でも、私はもう我慢できないの」
そういうと、ベガのスカートをまくり上げ、レオタードの上から人差し指の腹を使ってツゥ―と指を割れ目に沿って滑らせる。
「ハアァ、割れ目、スッゴク蒸れてる・・・。あら、小さいベガもかわいい~。あ、今ピクピクってした。そんなにシてほしいのね。小さいほうのベガは悪い子ですねえ。厳罰に・・・処しちゃうんだからぁ」
いまや、アルタイルの指はレオタードの内部に侵入し肌タイツ1枚隔ててプラムの豆を刺激していた。
観客達はもはや、写真を撮るのも忘れ、目を皿のようにして3人の行為を見ていた。彼らはもう何も考えようとしなかった。目玉だけの存在となっていたから。
一方、プラムは残酷なほどの快楽の中、1人あえいでいた。ベガの面の穴はピンホールなので、視界が狭く、自分の体がまったく見えない。だから、誰がどのような刺激を与えてくるのか分からない。身構えて防御することができない。ゆえに、急に刺激箇所を変えられると、実に切なくなってしまい大きく腰が引けてしまうのだ。
(ミウラさんもカワチさんも、どうしてこんな、くうぅ)
242ピカ星 ◆LMKplaQJMQ
ザァ~、イヤホンからの声だ。「楽しんでいるかね」
(ウツギさん、一体これはどういうことなんですか)
「これは、約束を破った君への罰なんだよ」
(約束、一体何のこと?)
「君の歓迎会を開いたとき、こう言っていた。『私、まだ経験がないんですよ』そして君はこんなことを言っちゃった。『この中の誰か、私の“初めて”もらってよ~』」
(あれは、酔った勢いで、約束ってわけじゃないです!)
だが、通信は一方向。プラムの声は面の中で響き、耳がキ―ンとなっただけだった。
「だが君は最近彼氏ができて、一夜をともにしたそうじゃないか。我々は君に罰を与えようと決意した。そう、君以外のメンバー、観客達はすべてグルだ。皆、君の処罰される姿を見に来たってわけだ。このオフ回を開いたのも俺達だよ。安心しろ。何もケガさせようってわけじゃない。究極の快楽の世界への片道旅行にいってもらうだけさ・・・。じゃあな、永遠に。」
ライムの心はぽっきりと折れた。自分はそんな身勝手な理由で罰せられるのか。だが、ここからの脱出は不可能だ。もう自分は自分には戻れないかもしれない・・・。突然、ベガの面が外れ、プラムの顔がさらされた。それは美しく淫らな、快楽と絶望で彩られた表情だった。

「はい、カットー、以上でクランクアップですー。おつかれさまでしたー」
向こうから、スーツ姿の男が駆け寄ってくる。
「プラムちゃん、初めてにしては上出来だよ!君はきっと大物になるぞ!」
243ピカ星 ◆LMKplaQJMQ
数ヵ月後、DVDレンタルショップの一角で、あるDVDが大量に貸し出されていた。パッケージにはこう書いてある。
「キャラショーの悪夢 ~美人Fカップ着ぐるみアクターを襲う淫乱な罠~
AV界の新しいキラ星、にじいろプラム デビュー作!!
映像特典として、お面内に小型赤外線カメラを取り付けて撮影したショー中の面下の顔を完全収録!!」
<完>
この物語はすべてフィクションです。

ご感想お待ちしています。
248ピカ星 ◆LMKplaQJMQ
申し訳ないです。「ライム」って書いてあるところ、「プラム」に脳内変換してください。