Dollersシリーズ8 『想い撮る人』

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完結
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573夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
Dollersシリーズ8 『想い撮る人』
着ぐるみ達が癒してくれる不思議な店、”Dollers”
今宵も孤独を抱えた人々が癒しを求めやってくる。

「では、ごゆっくりどうぞ」
メイドさんに促され、部屋に入ったこの男。彼こそが今回の客、ヤマネである。部屋の中は本格的なフォトスタジオとなっており、大きな照明スタンドがまばゆい光を部屋の真ん中に落として1人の人形の姿を浮き上がらせていた。
「先生、ご指名ありがとうございます。ミカといいます」
ミカはヤマネのほうに向き直ると深々とお辞儀をした。
「おいおいやめてくれよ。『先生』だなんて」
ヤマネは苦笑いして言った。
「あの、写真の撮影をなさりたいというので、時節柄お着物を着てきたんですが・・・・・・大丈夫でしょうか?」
「構わないよ。君みたいな美人さんは何を着ても似合うからね」
軽く微笑みながら言葉を返すヤマネ。ミカは恥ずかしそうに目を伏せ右手で顔を隠した。腰まで届く程の黒髪に黒曜石でできているかのような漆黒の瞳。そんな容姿だったから赤い地に牡丹の花が描かれた着物とは抜群に相性が良かった。
「さあ、早速撮影を始めようか。まずはこの椅子に座って」
ヤマネはスタジオの中央に小さな椅子をセットし、ミカに座るよう促した。
「カメラの調節をするからちょっと待ってね」
そういうとヤマネはミカに背を向け自ら持ってきたカメラをいじり始めた。彼のカメラはプロ用といってもいいくらい立派なものであった。
574夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
「絞りは16、シャッタースピードは500、と・・・・・・。これでよし。じゃいくよ」
ヤマネのカメラを見たミカは思わず吹き出してしまった。彼のカメラのレンズの上に小さいクマのぬいぐるみが乗っかっていたのである。少し固かったミカの笑顔が一瞬でほころびる。
「いいね!その顔いただき!」
カシャ!軽快なシャッター音が部屋一杯に響く。
「じゃあ今度は口を結んで、きりっとした感じで・・・・・・そう、それ!そのまま、そのまま」
およそ素人とは思えない手際の良さで撮影を進めていくヤマネ。ミカも徐々にノッてきて、ヤマネの指示を聞くだけでなく自分で考えてポーズをとり始めた。ただ、どういうわけかポーズを変えるごとにミカはもじもじするようなそぶりを見せるのである。ヤマネも一度は気にかけたが、「着ぐるみとはいえ見知らぬ男にカメラを向けられることに抵抗があるからか、ライトで照らされて熱いのを必死で我慢しているか、そのどちらかだろう」そう自分に言い聞かせた。
575夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
30分ほど撮影を続けた後、一旦休憩することにした。ヤマネとミカはカメラのプレビュー機能で写真を見ながら談笑を始めた。
「お疲れ様。ミカちゃんみたいにモデルが美人だと撮影が楽しいよ」
ヤマネは嬉嬉として言った。
「先生ったら、お世辞がお上手なんだから」
ミカの軽く会釈して返す。
「ところでさ、休憩中くらい脱いだら?」
「何を脱ぐんですか?」
ミカはポカンとして聞き返す。
「何って、着ぐるみだよ。そんな通気性の悪そうな素材にずっと包まれていたら体に悪いよ」
「先生、私は着ぐるみではなく生きている人形です。だから脱ぐことなんてできないんですよ」
ミカがはぐらかすとヤマネは渋々引き下がった。
「『中の人なんていない』ってか・・・。分かった。でも無理しないでね。ミカちゃんにもしものことがあったら大変だし」
ヤマネとしては彼女の体調が気になっていたが「脱ぐ気はない」というミカの言葉を尊重することにした。その後は何事もなかったかのようにカチカチとカメラのボタンを押す音を挟みながら、写真についての感想を言い合った。
「あら?まだ何か写真が残っている」
ミカは自分の写真を全て見終え、液晶画面には最初に撮られたミカの写真が液晶画面に表示されていた。しかしそれは、カメラの中に残っていた写真の一枚目ではなかった。何か別の写真が残っていたのである。
「そ、それは見ちゃダメ!」
ヤマネは大声でミカを制したが、既に画面には先ほどとは別の写真が表示されていた。セーラー服に身を包んだアニメ顔の着ぐるみが、2人並んでこちらに微笑みかけている。
「先生、これは・・・・・・?」
「ああ。今日ここに来る前コスプレイベントに参加してきて、そこで撮ったんだ。この人達はミカちゃんみたいに仕事で着ぐるみを着ているわけじゃなくて、変身願望とか好きなアニメのキャラへの愛とかが高じて、着ぐるみを楽しんでいるんだ」
576夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
ミカはヤマネの話に頷きながら着ぐるみの写真に次々と見ていく。
「着ぐるみって、人間と人形の良い所を両方持っていてね。人形らしさを強調してファンタジックな写真にしたり、人間らしさを強調して躍動感あふれる生命力を表現したりと自由自在なんだ。丹精こめて作られた着ぐるみが中の人とカメラマンによって人形として、あるいは人間として輝き始める。僕はこの変身に魅了されちゃったってワケさ。肝心なのはそこにどんなレディ&ジェントルマンを描くのか、中の人と僕らカメラマンの腕の見せ所だね。例えばこの人は人形らしさを追及するために・・・・・・」
ヤマネの大熱弁は立て板に水を流すように続いた。
コスプレイベントで撮った写真を見せながら30分ほど話した後でヤマネははっとして顔からは血の気がスーッと失せていった。そして消えそうな声でつぶやいた。
「・・・・・・ごめん、僕しゃべりすぎた。できれば引かないでくれるとうれしいなぁ、なんて」
恐る恐る尋ねたヤマネの顔を見て、ミカは軽く首を振った。
「とんでもない。先生が着ぐるみというものに思い入れがあることは良く伝わってきました。それに見せていただいた先生の写真にはどれも爽やかさがあります。先生らしい優しい作風で、私好きですよ」
嫌われると予想していたのに逆に『作風が好き』だと言われ、赤面してしまったヤマネ。
「あ、ありがとう・・・」
「だからね、先生。もう我慢しなくて良いのですよ」
ミカはヤマネの目を覗き込むようにして言う。
「何のことかな?」
「うそつき。私は特別な人形なのですよ。私の目を通してみるとお客様の本当の表情が見えますの。さっき写真を撮っているときから今までずっと、先生のアソコは大きくなっているんでしょ。カメラを調節するふりをして後ろを向いたときに股に挟んだんでしょうけど、足をもぞもぞさせていたからよく分かるわ」
577夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
図星であった。入り口でカタログの写真を一目見たときから愛らしいミカの虜になっていた。しかしそれ以上にDollersの特殊な着ぐるみとしての魅力がヤマネを惹きつけた。彼が着ぐるみの写真を撮るようになってから見たどの着ぐるみとも違う、全身シリコンゴムのようなもので塗り固めた体。不明な点は多々あったが少なくとも通気性が悪そうだと想像するのは易かった。ただでさえ汗が蒸発していかず蒸し暑いであろうところへ、撮影用ライトの強い光に照らされているのだ。生身の人間ですら『暑い、暑い』とこぼすのに、通気性皆無の着ぐるみに包まれていたら・・・・・・。自らが発した汗と体熱に蒸し焼きにされているのだろうと考えると、切なくて堪らなかった。ヤマネはそのいやらしい気持ちをずばり言い当てられ黙りこくってしまった。
「別に怒っているわけじゃありませんの。自分で言うのもなんですけど私ってつくづく罪な女でしてね。あふれ出る魅力と色気・・・・・・私を見て欲情しなかった人はいませんわ。だから先生が私にエッチなことを望んでしまうのは自然なことなのです」
しかしヤマネは頑なに首を振る。
「確かに君を見ていやらしい考えを持ってしまった。でも私は今まで一度も着ぐるみに欲情したことはないし、カメラマンがモデルに手を出すなんて許されないよ」
「先生何度も言わせないで下さい。私は人形です。着ぐるみとは違いますわ。それに人間でもないから手を出してしまっても何の問題もないでしょう?私はお客様を癒すためにここにいるのですから。欲望を吐き出してしまっても誰も咎めは致しません」
そういうとミカはヤマネの股間をツンツンと突いた。
578夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
「先生はうそつきだからちょっと意地悪しちゃいましょうかね。私はお人形さんだから中に人なんていませんけど、もし中に人がいたら大変でしょうね。私の皮は通気性が全く無くて、ただでさえ蒸し熱いところに撮影用ライトの光にさらされたらどうなるでしょうか?それくらいは先生にも想像ついていたようですけど」
「ま、まだ何かあるのか!?」
「私の皮、ぴったりと張り付いているでしょう?つまり中の人の体は常にこの皮によって締め上げられていますの。その意味、お分かりますか?」
こうして会話している間にも、ミカはヤマネの下半身の膨らみを執拗に突き続ける。
「え~と、痛いの?」
「ハズレですわ。私の恥ずかしいところも例外じゃなく締め付けてくれて、感覚を鋭くしてくれますの。軽く触れられただけで感じちゃう位に」
ヤマネは驚き、その後赤面した。確かにミカの中が熱くて苦しそうだとは思ったが、着ぐるみのせいで感じやすい体になっていたとは・・・。そこまで考えてヤマネは思い直した。ミカの言っている内容が嘘である可能性もある。刺激の強い言葉で僕が赤面するところを見て楽しんでいるのかもしれない。
「本当にそうなのかな?君が嘘をついている可能性もある」
ヤマネがそういうとミカはヤマネの手を取り自らの胸に押し当てた。するとどうしたことだろう。ミカは体に電流でも走ったかのように細かく震えたかと思うと足の力が抜けてしまい倒れそうになったのだ。空いているほうの腕でヤマネの肩に掴まったので倒れずにすんだがミカの震えはまだ治まらない。
「これで信じてもらえたかしら、ひぁっ!」
ミカのよがる様はあまりにもリアルで演技とは思えない。ミカは間違いなく感じているのだろう。
579夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
「分かった、分かったからもうやめてくれ!」
だがミカはヤマネの言葉にイヤイヤと首を振るだけで胸にヤマネの手を押し当てることをやめない。ミカの手がまるで湯上りの人のように火照っている。
「ただでさえ窮屈な皮に締め付けられているところに着物を着たら柔らかいオッパイが押しつぶされてそれはもう蕩けそうになるんですの。でも私はDollersの人形。許可もなくお客様の前で取り乱すことは許されません。精一杯健全な笑顔を浮かべて、感じているなんて微塵も思わせないでお客様のお相手をしなくてはいけませんの」
「じゃあ、どうしてそんなことをボクに教えるんだ?言わなければ気付かれずにすんだのに」
「私、もう我慢できなくなってしまいましたの。さっきの撮影中私はずっとエッチになりたかったけど、先生は爽やかさを私に求めているのだと思っていたから必死で我慢していましたの。でもさっき先生の写真を見たとき、私の写真は他の着ぐるみさんの写真とは明らかに違っていた。先生はもっと別な写真が撮りたいんだって分かったの。それを知った今、さっきまでのようにエッチな気分を我慢することはできませんわ」
ミカは胸に押し当てていたヤマネの手を顔まで持っていって人差し指を咥えしゃぶり始めた。口の中まで皮に覆われているので唾でぬれることはなく、滑らかな舌が指を撫で回す感触はヤマネをゾクゾクさせ、全身に鳥肌を立たせた。さらにヤマネの肩に掴まっていた手を離し、下半身にできた着物の隙間に突っ込み大事なところを持て遊びはじめた。ミカは早くもかすかに喘ぎ声を漏らせている。
「人形だってエッチなことが好きなんですもの。先生のカメラで嘗め回すように撮られているうちに私も欲しくなってしまいましたの。黒くて大きいの、私にいただけないかしら?」
本当にさっきまでのミカと同じ人形なのかと思うくらい激しく自分を慰め、ヤマネの指を舌でくすぐる。どうやら強情なヤマネをその気にさせようとしているらしい。見る見るうちにヤマネの下半身が膨らんでズボンがまるでテントを張ったようになる。
「あっ。やめてよ。そんなこと言われたら、僕は、僕はどうしたら・・・・・・」
「素直になってくださいまし。先生はどんな私を撮りたいのですか?どんなレディを写真に写したいのですか?」
ヤマネはとうとう自分の欲望を抑えきれなくなった。
「・・・・・・認めるよ。僕はミカちゃんのエッチな写真が撮りたい。でも途中で君の気が変わらないという保障があるの?ミカちゃんが僕をからかっているだけという可能性もまだ残っている」
ミカはやれやれといった感じで首を振った。
「先生が疑うのなら・・・・・・はい、これをどうぞ」
そういうとミカは近くに転がっていた延長コードを拾ってヤマネに差し出した。
「これで私を縛ってくださいまし。途中で逃げ出したりしないように。そういう写真も悪くないと思いますが?」
どうやらミカは本当に写真を撮らせてくれるようだ。それにコードで縛られた姿もなかなかいいかも知れない。さすがに全身に巻きつけるのは気がひけたので、ミカを仰向けに床に寝かせ、バンザイさせた状態で手首だけを縛った。
「手だけでは食い込みが物足りないのですけど、先生がそうしたいのなら仕方ありませんわね。さあ、どんなポーズがお望みですか、先生?」
580夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
ミカはニタリと笑いながらヤマネを見ている。これから自分にどんな惨事が降りかかるのか分かっていながら、なぜニヤニヤしていられるのだろうか。撮影中に快感を必死で堪えていたという話といい、手だけ縛られるのが物足りないと言ったことといい、このミカという人形は意外とマゾなのかもしれないとヤマネは思った。
「僕は花の写真を撮るのも好きでね。君を一目見たときから今まで見たどの花よりも素晴らしいと思った。だが君はまだつぼみだ」
そういうとヤマネは着物の股間の部分を力強く押し広げた。ミカは逃げ出す様子もなく一瞬ピクリと身震いしただけだった。着物の下には作り物とは思えない程精巧に出来た淡いピンク色をした恥部があった。さらに驚いたことに穴の中までも皮で覆われていたのだ。あの熱を遮り、わずかな刺激を蕩けるような快感に増幅させる皮に・・・・・・。生唾を飲み込むとヤマネは自分のズボンとパンツを脱ぎ捨てた。ミカはヤマネのすることを察したのか足をM字に開いて、恥ずかしげもなく下半身の唇を露にした。
「せっかくこんなきれいな花を手に入れたんだから、たっぷり楽しまなきゃ。ここに植えさせてあげるよ」
そういってヤマネはそそり立つ自分のモノを指差した。ミカがゆっくりとうなずくとヤマネはゆっくりと腰を下ろしてミカの穴に黒光りするものをあてがう。
「ほら、君があんなに欲しがっていたものだよ」
ヤマネはミカの腰を両手で掴んで、彼女がヤマネのモノを穴に飲み込むのを手伝う。しかし、半分くらい入れたところでミカの動きに異変が見られるようになった。寒さに耐えているかのように震えが止まらないのだ。
「ミカちゃん、これ以上は無理なんじゃないの?」
しかしミカはイヤイヤと首を振るばかりでヤマネの言葉を一向に聞き入れない。いや、既にヤマネの言葉が届いているのかさえあやしまれる。それほどのよがり方だったのだ。ミカの顔を覗き込むと、首を振るのをやめ、あごで合図した。「根元まで入れてください」ということらしい。指図どおりヤマネはモノを一気にねじ込んだ。
「ひっぎいぃっ!裂け、裂けるぅ!あぁっ!」
ミカの黄色い嬌声が広いスタジオで反響した。
「固いっ!熱いっ!でも、イイッ!」
ミカはのけ反りながら悶えている。元々敏感な快感の受信者である穴は、体の表面に分布するどの性感帯よりも皮の影響を受けているのだろう。まだ入れたばかりだというのに絶頂に達したかの様である。ヤマネには性交渉の経験がほとんどなかったので、残念ながらこのときはミカがただ感じているだけだという認識しかなかった。
581夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
「随分気持ちよさそうだね。僕のモノを気に入ってくれたみたいでうれしいよ」
「先生、今度は私の中をかき回して。先生の、立派な、ぺ○スで、私の中を、グリュグリュにかき回して、お、お願いよおぉ」
途切れ途切れに更なる愛撫を求めるミカ。ヤマネはゆっくり腰で円を描くように体を動かし、モノでミカの内壁を丁寧に擦り上げていく。ミカもそれに答えるように腰を動かす。常人の何倍もの感度に高められた肉の壁にはヤマネのぺ○スが擦れる刺激が絶えず与えられ、ミカの中の人はいつ意識が飛んでもおかしくないと思い、はじめは心配した。しかし縛られた手がコードから逃れようと動いて立てるギチギチとした音がどんどん大きくなっていくことで、その心配は無用だと気付いた。ヤマネは徐々に腰の振り方が大胆になっていく。
「だいぶ顔が緩んできたね。快楽で蕩けて、まるでつぼみが開いて花が咲いたようだ。こんな素晴らしい花を僕だけが見るなんてもったいない。Aさんに見せたら喜んでくれるだろうなぁ。他にもたくさんの人に見てもらわなくちゃ。さあさあ、ミカちゃんのエッチなところをカメラに向かっておっぴろげちゃおうね」
ヤマネはミカの顔にカメラを向けるとためらいなくシャッターを切り始めた。
「嫌、こんなのいやぁ!」
「どうして嫌がるの?撮らせてくれるって言ったのはミカちゃんでしょ?それに僕は君をどうしても僕の作品にしたいんだよ。だから我慢してくれ」
ミカは観念したようにゆっくりとうなずいた。ヤマネは再びカメラのシャッターを切る。
「それにしてもきれいだ。・・・・・・おや、どうしてここが膨らんでいるのかな?」
ヤマネは着物の襟元を掴むと一息にグイッと押し広げた。中から美しく形の整った乳房が二つ飛び出してきた。
「はあぁ!おっぱい、こぼれるぅ!」
圧迫されていた乳房が急に解放されたのだ。その急激な変化はミカには強い快感に変換されて伝わる。ミカは首を左右に振って快感の強さを訴える。美香の中の人は、今や穢れてしまったミカの笑顔の下で、それ以上の言語に絶するほどの表情をしているのだろう。
「わあ、こんなところに大きなつぼみが2つもついている」
「それは、つぼみじゃなくて、私の、おっぱ・・・・・・」
ミカの言葉を無視して、ヤマネは写真を撮りながら独り言を続ける。
「このつぼみが開いたらどんな花が咲くのかな。早く咲かないかな」
そういってカメラを一旦脇に置くとミカの胸を揉みしだいた。
「んあぁ!、せ、先生、ミカのおっぱいなんて触っても、花なんか咲かないのよぉぉ!」
ミカは必死に嘆願するがヤマネは聞き入れてくれない。先ほどから激しい愛撫に晒されてきたので、さすがのミカも抵抗する元気がなくなっていた。コードがギチギチいう音も先ほどより小さくなりミカの体はヤマネのなすがままになっている。
582夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
「あれ?さっきより元気がなくなってきたぞ。枯れちゃったら大変だ。どうしようかな・・・・・・」
そういって少し考えると、ヤマネは恐ろしいことをいった。
「花には水をあげないとね」
そういうとヤマネはミカの中のものを思い切り奥へと突き立てた。
「ひいっ!な、何をするつもりなんですか!?」
「ちょっと待っててね。すぐに中で水を出してあげるから」
「ああっ!!先生の、栄養たっぷり入ったお水、早く飲ませて。早く、早、くっ・・・」
ミカの言葉はヤマネのピストン運動によって途切れてしまい、後に続いたのは意味を成さない嬌声だけであった。
ヤマネは撮影に夢中で気付いていなかったが、ミカの穴は何度も収縮運動をし、ヤマネに射精を促していたのだ。それほどに暖められた状態だったから、ヤマネのピストン攻撃によってミカはすぐに絶頂を迎えようとしていた。この日一番の締め付けがヤマネを襲う。それに呼応して、ヤマネの膨れきったモノがさらに膨れ上がる。
「ぐああぁぁぁっっ!!!」
「ふああぁぁぁっっ!!!」
2人は同時に達した。だが、愛液を放出できたのはヤマネだけであった。ヤマネは脱力感をこらえながら、白濁液を穴から垂れ流し絶頂の余韻に震える淫乱な少女の姿をカメラに焼き付けた。
(しかし、よく頑張ってくれた。おかげで最高にいい作品が仕上がった。僕のわがままに付き合ってくれてありがとう)
ヤマネはカメラを置いてミカの白い下腹部を撫でた。するとどうだろう。ミカは苦しそうに体を捻り、言葉にならない呻きをもらしたのだ。いくら快楽を増幅させる皮に包まれているとはいえここは性感帯ではないはずだ。答えに至るまでにさして時間は変わらなかった。下腹部を押したことでミカの中の人の体内に溜まった愛液がミカの細い腰を膨らませていたとみて間違いないだろう。
(だとしたら・・・・・・!!)
ミカはヤマネが気付かないうちに何度もイっていた可能性が高いのだ。ミカは容赦のない愛撫で何度も果てた。しかし愛液は外に放出されず腹の中に溜まり、ミカが存在し続ける間むずがゆい責め苦をミカに与え続けるのだ。そう思うと再び堪らなくなり、早くもヤマネのモノが回復し始めた。それに伴ってミカの穴がモノを締め付け始め・・・・・・。2人は2回目の行為に臨んだ。
583夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
「先生はやっぱりうそつきなのね」
撮影の後片づけをしているとき、唐突にミカが言った。
「何を言っているんだ?僕が君の撮影中にエッチなこと考えていたのは白状したじゃないか。他に隠していることなんて何も・・・・・・」
「山根 図実夫(やまね ずみお)。200X年の広告写真のありとあらゆる賞を総なめにする。空前のブームを巻き起こし、彼の広告写真を目にしない日はないとまで言われた。3年前、突然引退を宣言。その後の足取りは一切掴めず、現在に至る・・・・・・。まさかコスプレイベントのカメラマンをしていたとは思いもしませんでしたわ」
ヤマネは何も言わなかった。ミカは言葉を続ける。
「どうして突然辞めてしまわれたのですか!?先生言っていたではないですか!『カメラマンの本当の仕事は“被写体の想いを写真を見てくれる人に伝えること”だ』って。そんな立派な方がどうして・・・・・・」
「黙れ!!!」
ヤマネはミカの言葉をさえぎり、近くの椅子に座ると話し始めた。
「君は知らないだろうな。僕は表向き花々しく活躍していたが、裏では激しいバッシングに遭っていた。自分のホームページの掲示板の書き込みには『失せろ!』『辞めちまえ!』は当たり前のように書き込まれていた。でも何より堪えたのは『個性がない』という書き込みだった。芸術の世界で生きるものとしては致命的だろ?非難の対象になったのは俺だけじゃない。俺が撮ったモデルまでもが『没個性』呼ばわりだ。俺なりに努力は続けた。才能もあると自負している。だが、何をやろうと状況が変わることはなかった」
ミカはどこからともなく取り出したジュースを紙コップに注ぎ、ヤマネに手渡した。ヤマネはそれを一口飲むと話を続けた。
「そんなわけで一旦業界から距離をとって、花や鳥の写真を取ったり、あちこち旅行して風景をカメラに収めたりと武者修行に明け暮れた。そんなときだったな、興味本位でコスプレイベントに行って、着ぐるみと出会ったのは」
ヤマネは再びジュースを飲んだ。ミカも近くの椅子に座ってヤマネの話に耳を傾ける。
「今まで挑戦したことのないタイプの被写体だった。僕は一瞬で魅了されてしまったんだ。気が付いたら着ぐるみの写真ばかり撮っていた。久しぶりに写真を撮ることが純粋に楽しいと感じたんだ。でも・・・・・・」
ヤマネはコップに残っていたジュースを一息に飲み干すと言葉を続けた。
「その世界でさえも同じようなことが、まあ『没個性論争』が起こっていた。どうしてだと思う?」
「さあ、どうしてですの?」
「愛情なんだよ。他の誰よりも着ぐるみを愛しているんだと、そう思いたいから揉める。そこにちょっとした考えのすれ違いが絡んでますます複雑になる。私はそうした愛好家の人達の愛情が伝わってくるような写真が全員に行き届けばそういった問題はなくなると思った。過去の失敗の経験も忘れて私は再び努力した。しかし結果は同じだった。私のしていることは不毛なことなんじゃないのか、もうすっかり磨り減ってしまってね・・・・・・・。教えてくれミカちゃん。僕は一体どうすればいい!?」
言い終えると同時にヤマネは椅子から立ち上がった。しかし足元がふらついて椅子に倒れこんでしまった。何がなんだか分からない。
「ジュースの中にこれを入れてみましたの」
ミカの手にはウォッカのビンが握られていた。
「先生元気無さそうだったから、気付けになればと思いまして。いつだったか撮影中にこっそりお酒をお飲みになられていましたよね?」
ヤマネはきょとんとした。そのことはごく一部の者しか知らないはずだ。
するとミカは帯の中から雑誌の切れ端を取り出した。ライトグリーンのビキニの女性が波打ち際ではしゃいでいる。
「これ、先生に撮っていただいたミカの中の人の写真です。お母様が記憶の書き換えをするまでもなく忘れていたと聞いていますので、覚えていらっしゃいませんでしょうが」
ヤマネは納得した。もう覚えていないが以前に仕事で一緒だった人が、今、目の前の着ぐるみの中にいるのだ。
「お仕事中にお酒を飲まれるのはどうか?と思いましたが、嫌なことを忘れるためだったのですね。先生は下心丸出しのほかのカメラマンと違い、無名アイドルだった私の個性を引き出そうと真摯に撮影してくださいました。アイドルとして大成することは叶わなかったけれど、先生のおかげで私は自身が持てたのです」
「それは良かったな。でも僕の問題は何一つ解決していない」
584夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
ミカはしばらく間をおくと再び口を開いた。
「先生、さっきのジュースおいしかったですか?」
「う~ん、まずくはなかったかな」
ミカはにっこりと微笑みながらうなずいた。
「思い詰めて行き場を失ったお客様にはこれを振舞うようにしています。考えすぎてミスしてしまうこともあれば、逆に何も考えずにやって上手くいくこともあります」
「なるほど。答えは教えずにヒントだけを与えようというわけか」
「はい。個性というものは近現代に長い年月をかけて大勢の人が議論してもなお、いまだに答えは出ていませんから。あせる必要はありません。長い時間をかけて自分なりの答えを出せれば良いと思います。先生が被写体の思いを撮り続けようとする限り、いつかは答えにたどり着けると信じています」
「ありがとう。カメラマン、再開する勇気が出てきたよ」
そこで視界が真っ暗になった。

「ミカ、お客様に人形達とのふれあいを通して幸福を分け与えるのがDollersに与えられた使命だというのに。中の人の話をすることは今後慎みなさい」
スタジオで眠りこけたヤマネを起こし、入り口までお見送りした後、リュネがミカに説教をしていた。
「申し訳ありませんお母様。ですが私としてもお客様にどうしても楽しんでいただきたいサービスがございますので」
「まあ、そんな頑固なことを・・・・・・一体誰に似たのでしょう?」
「私の目の前にいる方に決まっていますわ」
そこまで言うと2人は大きな声を出して笑った。
585夢幻征四郎 ◆qDggTAordc
一方、ヤマネのカメラの中のミカの画像は全て消えてしまっていた。代わりにヤマネの寝顔が写った写真が一枚入っていた。さらにカメラケースの中には手紙が入れられていた。
(ミカのエッチな写真はやっぱり恥ずかしいから私が預かっておきます。先生が寝ている間に私もこっそり写真を撮っちゃいました。先生には伝わりましたか、私が先生のことを大好きだということが。 ミカより)

「ああ、しっかり伝わっているよ」
ヤマネは1人つぶやくとしっかりとした足取りで歩き出した。
東の空が白みだした、寒い朝だった。

<Dollersシリーズ8 『想い撮る人』終わり>
この物語はDollersの人形達がくれた幸運以外は全てフィクションです。

ご感想お待ちしていますm( _ _ )m