初めての変身(仮)

状態
完結
文字数
2,426
投稿数
3
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Plain Text
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530dd ◆ageYiGKq4w
ピッタリと薄布は全身に張り付き、私の体を不自然な肌色に染めた。
肌と一体化し、着ている事すら忘れてしまいそうだった。
震える手で腕を撫でてみるがサラサラと鳴って、私が薄皮を纏っている事がわかった。
通常じゃあり得ない異質な音に私の胸は更に高鳴った。
ブラを着けショーツを履くと股間に突き刺した張り子が持ち上げられ、膣を抉った。
「ん…。」
不意に誰かが見ているかもしれない、という不安に駆られて誰も居ない自室を見回すが当然誰も居ない。
肩で浅く息をしながら私は姿見を用意して恐る恐る覗く。
血の通わない均一な肌色の肌その上に下着を、顔は円形に穴が開いておりそこから真っ赤な私の顔が覗く。
私の後ろのベッドの上にはアニメキャラの顔したマスクとそのキャラの衣装が並ぶ。
これから本当に私は着ようとしているんだ。
あれを…。
普段から地味で、趣味と言えばアニメ鑑賞くらいの私が…。
事の発端はベッド上に置かれたマスクを酔った勢いで発注した事だ。
その後キャンセルすれば良かったものの、何を思ったか前金を振りこんでしまい、引くに引けず代金を払い先日届いてしまった。
興味があったのは確かだ。
だからお気に入りサイトの中にはそのマスクの業者のサイトが入っている。
だけど、高いから絶対買えない、とか、買っても私なんかが着ちゃいけないだろうな、とか理由で絶対に買わないと決めていた。
それが手元に届いてしまった。
越えてはいけない一線を越えたかもしれない。
嫌だ嫌だ、と思いつつも手元には着々と必要な物がそろっていった。
肌タイツに衣装。
「な、何やってんだろう私…。」
上ずった声で、急に恥ずかしくなった私は姿見の中の自分に呟いた。
前に一回着ようとした時はここで恥ずかし過ぎて、そそくさと肌タイツを脱いだ。
だけど、買ったんだから着てみたいという気持ちもあった。
今回は興奮させて勢いを萎えさせないように『仕込み』もした。
性欲なんて下品な物に頼りお腹がとても切なくて、熱かった。
私はベッドの上にあった衣装を手に取る。
普段着る地味なスーツとは違う、派手な赤基調のワンピースの制服。
見れば見るほどに恥ずかしくなる。
だけど着てみたいと思っていた。
私はボタンを外して衣装を身にまとう。
そしてジャケットを着て、ニーソックスを履く。
クリーム色のジャケットを着て、頭以外はもうあの二次元のアニメキャラそのものになっていた。
恥ずかしくて姿見から目を逸らすとベッドの上で微笑むマスクと目があってしまった。
体が火が噴き出したのかと思うくらい暑くなった。
「ハァ…ハァ…。」
目を瞑り、マスクが有る場所に手を伸ばすとコツンと手に固い感触が触れた。
サラサラとマスクに触れる手が鳴り、ゆっくりとそれを持ち上げる。
そして、マスクを私と同じ方向に顔を向けさせ目を開くと、後頭部に空いた大きな穴を覗く。
派手な肌色の肌とは違い、水色の髪の間に灰色のマスクの中が覗く。
私は滑り落ちそうなそれをしっかりと持ち、深呼吸を数回すると高く掲げた。
そして、ゆっくりと下した。
マスクの頭を入れる部分が頭に当たり、私は少し驚き体を強張らせた。
最後の最後なのに、私の大事な何かが問いかけた。
本当に着るつもりなの?
531dd ◆ageYiGKq4w
私は答えず、ゆっくりと手を下した。
ずずと肌タイツをマスクの内側が擦る音がして、視界が暗くなる。
私の耳が完全にマスクの中に入ると聞こえる音の大半が私の荒い呼吸音だけになった。
頭のてっぺんがマスクの中のクッションに当たり、ゆっくりとマスクを動かし、顎もマスクの中に収めてしまった。
息苦しい…、いやそれ以上にマスク特有の香りで頭がクラクラした。
私の視界に合わせて開けられた覗き穴、小さくて紗幕が張られていて随分視界が悪い。
サングラスよりは明るいくらいだ。
ここから振り返る勇気がなかなか出ない。
腕を組んでみたり、制服の皺をはたいて伸ばしてみたり、もじもじと腿を動かしてオモチャを弄ってみたり…。
マスクの中に木霊する浅い呼吸音。
大きく吸って、大きく吐いて、私は目を瞑ったまま振り返った。
目を開けるなんて恐ろしくてできなかったが、長い長い時間瞼に力を入れてて瞼が痙攣してきた。
そんな初めての体験に慌てて瞼を開くと、紗幕の向こうにあり得ない人物が立っていた。
水色の髪の微笑む私ではない彼女。
興奮していたと思う。
だけどそれを超えて私は感動をしていた。
震える手で鏡の中の彼女は頬に触れた。
私の手にも固いマスクの感触がある。
「これ…、私…、なんだ…。」
誰にも聞こえないくぐもった呟き。
呆れるくらいに可愛い。
本当に今なら、着ている制服の皺の一つ、肌タイツの皺の一つでさえ可愛いと思える。
興奮していた体が急に大人しくなるはずもなく、一通り呆けると体の芯が熱くなった。
張り子のスイッチを入れようとベットに横になって、手を触れると肌タイツがすっかりと濡れてしまった。
スイッチを入れると体が跳ねた。
今までに感じたことの無い気持ちよさ。
自分の経験に無い恐ろしさすら感じる快感の波。
頭の中にサァっと何かが湧き出して、頭を溶かす。
膣の中を混ぜるモノの動きに合わせ、その波はどんどん大きくなり、いつしか私はマスクの中で悲鳴に近い喘ぎを上げていた。
「ひッ…やぁあ…!」
ベッドのシーツを掴み、姿身を見れば微笑む彼女が微かに痙攣していた。
覚えているのはそこまでだった。
体がぐったりと疲れ果て、泥の様になって何処に力を入れても力が入らない状態で3時間くらい後に目を覚ました。
のろのろと起き上がりマスクを外して、皺くちゃになったジャケットとワンピースを脱ぎ、汗まみれになった肌タイツ姿になった。
衣装を脱ぐと涼しくなるかと思ったが、汗まみれのせいで寒いくらいだった。
ファスナーを下して脱ぐと体全体に肌タイツの縫い目の後が付いていた。
次着る時は、写真でも撮りたいなぁ。
そんな事を思いつつ肌タイツを私は洗濯機に放り込んだ。
でも次着る時は落ち着いて着れるような気が、その時はなんとなくした。
532dd ◆ageYiGKq4w
駄文失礼いたしました。