状態: 未完結, 文字数: 3,363, 投稿数: 6 # モジモジ君(仮) 8 :俺 ◆XksB4AwhxU:2013/01/30(水) 01:35:30 イベント系の仕事を請け負う会社に勤めてた頃の話。 やめる直前は世話になった人達に感謝する反面、結構緩めに仕事をこなしてた。 そんなもんだから完璧主義な上司のカナコさんからはよく目をつけられてたんだ。 2年前だから当時21歳のちっこいクールビューティー(笑)だった。 キャンギャル派遣はとにかくブッチが多く、その度にオフの子を集めてたがどうしても無理な状況では文句言われるのを覚悟の上でカナコさんにお願いしてた。 そして、とあるパチスロの「マスコットの着ぐるみの子がまだ来てない」という連絡を受けたんだ。 撿その着ぐるみってのが、2等身のウサギみたいなキャラでその企業の新しいマスコットらしい。 会社事態はド田舎の小さなチェーン店で、そのキャラに関する販促物もまだ未入荷だったらしく着ぐるみだけが先に来るという適当っぷりw 店長はマスコットの詳細を把握してはいたが、この人もまた軽い人で週末にもかかわらず当日は公休を取ってた。 とにかく欠員を埋めるべく片っ端から電話帳を漁るが、何しろ'身長制限150cm以下'だ。 見つかるわけないし面倒だったのでカナコさんに助けを求めた。 カ「え?ヤダよ暑そうだし…俺君やりなよ」俺「いや…俺含めキャンペーンの子ってみんな165cm前後あるじゃないすか…多分入りもしないっすよ」 カ「マジかあ…わかった。1回家寄って着替え取ってくから、ちょっと待ってて」 仕事の後に飯を要求されるか、長時間の愚痴になるかはカナコさんの気分次第だったが 「この仕事とももうすぐお別れだし、カナコさんのお説教もこれで最後だ」 と自分を慰めつつ現場に到着した。 9 :俺 ◆XksB4AwhxU:2013/01/30(水) 22:35:58 他所に携帯で書いたので改行がひどいです。 あくまで場つなぎですのでお許しを。 ちなみにコレを見て思いつきました。 ttp://kigurumiphotos.webspace.ne.jp/bbs/data/kigurumiphotos/img/2072_24a8c86a13.jpg 10 :俺 ◆XksB4AwhxU:2013/01/30(水) 22:42:27 とりあえずブツを確認するべくスタッフに場所を尋ねると、やはりどの様なキャラが 来たのか知らないらしく目を輝かせながら楽しみにしている旨を伝えられる。 バックヤードの倉庫にある大きめの段ボールを開けると まず目についたのはとんでもない特大サイズのウサギの頭だ。 中から出してみると見た目よりは軽いが、その下に埋もれるかの如く入っていた 胴体の小ささを見ると、やはり小柄な女性でなければキツそうだ。 どうやらマスコットの腕は内蔵されている棒で動かすタイプで わ操演者の肘から下にかけて胴が位置し、その上に先程の頭を被せるらしい。 撿残るは別の袋に包まれた王冠の様な物だ。 ウサギの二本の耳の間には何故か穴が開いており、その周りと王冠の下部の 接合部分の一致からウサギのアイテムであることを再確認する。 箱の底には白いほっかむりの様な物体が一つ。用途は既に心得ている。 この業界にいると度々、着ぐるみを扱うが担当するのは大概キャンペーンの女の子である。撿 伝えられた仕事内容とは全く別のコスチュームを手渡され それを着用し朝礼に臨むが挨拶ということで頭部を外すことを指摘される。 その子の綺麗なご尊顔があらわになるにもかかわらず周囲は まるで腫れ物を見るような目であった。 海外製のねんどペンギンとして人気な、そのキャラの頭があるべき場所にあるものは 胴体と比べると大変アンバランスな大きさの所謂モジモジ君である。 黒い布の中心から覗く、その沈んだ表情からは 何とも言えない心の叫びが伝わってくる様で心許なかった。 12 :俺 ◆XksB4AwhxU:2013/02/02(土) 01:33:18 話は逸れたが、その光景をカナコさんに置き換えると何だか笑えてしまい 同時に一つの仮定と企みが俺の中に芽生えた。 すぐに王冠の側面を見ると…やはり視界確保のための穴らしきものが確認できる。 気づくのが遅くなったが、どうやら頭頂部の穴は操演者の頭が通過するためのもので それに王冠を付けて隠す仕様らしかった。 店内のスタッフはまだマスコットのデザインを知らない…。 王冠の用途はぱっと見た感じで分かりにくい。 この着ぐるみを使ってカナコさんにイタズラ…いや…ささやかな復讐をしてしまえ。 俺の中の悪魔がそう囁いた。撿 こうして俺は王冠を袋の中にしまい、それを入れた段ボールを部屋の片隅へ 追いやった。そう…今回のイベントもとい復習劇にあの王冠は邪魔だったのだ。 仮に後で文句を言われても「気づきませんでした」で済む様な状況の現場だし どうせもうすぐ退社する身だ。 そんなことを考えているうちにカナコさんが到着。 イベント開始まであまり時間がないので着用に取り掛かることになった。 胴体に足を入れるカナコさんに語りかける。 カ「え?…ああ…頭に被るヤツかあ。これ絶対付けなきゃダメなの?」 俺「汗吸い取る役目なんですから…新しい着ぐるみですし汚しちゃまずいっすよ」 そうだ。今回はこの布っ切れが主役なんだから付けてもらわないと困る。 王冠の存在がないことになってる今ならなおさらだ。 カ「もお…。ちょいあっち向いてて」 モジモジ君スタイルが恥ずかしいのか、そう催促する彼女。 どうせこの後いくらでも見られるにも関わらず無駄な抵抗だ。…そう…いくらでもね。 丸い穴から伺える少し紅潮したカナコさんのお顔を尻目に俺は巨大な頭部を持ち上げた。 13 :俺 ◆XksB4AwhxU:2013/02/03(日) 01:28:16 俺「んじゃ頭かぶせますよ」 カ「ん…お願い」 カナコさんにとっては一刻も早く自分の頭を隠したかったんだろうが その願いも次の瞬間には無惨に崩れ落ちた。 カ「へぁ?!」 頭部を装着することによる蒸し暑く視界不良の世界に 未だ自分がいないことに違和感を覚えたのかカナコさんの第一声はその姿もあいまって 非常に滑稽なものだった。 俺「ぷっ…マジいいかんじっすよカナコさん」 カ「ふぇ…?この穴って何?」 ようやく登頂部の穴に気づいたらしいが、もう遅い。 王冠が無い限り、その様相どころか表情すら隠せないのだ。 俺「ん~…このキャラの原版が手元に無いんで確認できないんですけど、 多分こういうマスコットなんじゃないんですか?両耳の間だから、あんこうの触角みたいな…それがカナコさんの頭なんすよ…きっとw」 カ「えええ?!そんなこと聞いてないし… じゃアタシの頭を含めて一つの着ぐるみってこと?!」撿 俺「そうっすねwでも、わざわざ顔が出るように造ってあるってことは喋んなきゃダメですよ~! ほら!ウサギって話せないでしょ?だから人間部分が出てるとこで会話するんすよ! 触角だしw」 カ「ひぇえ?!声も出さなきゃダメなの?!」 俺「ウサギっぽくカワイイ声でお願いします。解り易い様に語尾に~だぴょん! …を付けなきゃですね。じゃなきゃ顔を白く塗るしかないですよおw それなら人間部分(ちょっとだけ)消えるし…」 18 :俺 ◆XksB4AwhxU:2013/02/09(土) 00:00:25 カ「それはヤダ!」 言い終わらない内の即答だった。ちょっと言い過ぎたかと反省し なだめるような口調で続けた。 俺「まあ…カナコさんキレイですし、折角のお顔を汚すのはキツイっすよね。 実際、恥ずかしいと思いますけど子供達も待ってますし… 皆の夢を壊さないように、なりきって頂けませんか?」 夢ならとっくにブチ壊しちゃうわけなんですけどねw撿 …とは言え、これは全くの嘘ではなかった。多くの人に、この姿と カナコさんの表情を見て貰い、そして何より俺自身が それらの視線を恥じらう彼女の顔を見てみたかったんだ。 撿言い忘れてたが俺はドSだ。 目を潤めかせカナコさんは答えた。 カ「ぅう…わかったよお…やるから…もぉ…」 そして彼女は多分ドMだ。 俺「すみません…いつもながら迷惑かけます」 カ「ホントだよ…まあ欠員出たんだし…しゃあないかあ…」 カナコさんの希真面目な性格が裏目に出て結局やることになった。それも、かなり強引な設定付けである「言葉を話すアンテナ役」 まで引き受けてくれたのである。とにかく、その場は時間が圧していたので カナコさんには「子供達の前での振る舞い」をレクチャーすることになった。 撿カ「〇〇(キャラの名称)だ…ぴ…ょん…//…こう…?」 俺「とりあえず笑顔っすね。仮にも人の顔から声が出てるんですし。あとポーズ。 片脚を出して、つま先を上で。同時に手を開いて重心は出した脚の方へ。 その時カナコさん自身の頭も脚の方にくいっと…」 カ「え…?!…ちょ…アタシの頭は関係ないじゃん//」 俺「そっちの方が感情が伝わり易いですって!」