ゲームセンター

状態
完結
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56ゲームセンター ◆hRE1afB20E
私の名前は高見真由。大学に通う二十歳。ゲームセンターでアルバイトをしている。
社員とアルバイトの中で私が一番小さい。
そのため土日に客寄せのための着ぐるみを着るのはいつも私の仕事。
小さい方がお子様に威圧感がなくいいというのが理由らしい。
今日は土曜日、更衣室で顔まで覆い肌の露出の全くない黒い全身タイツに着替える。
なぜかというと、着ぐるみの中には、キャラクターの口元が開いており
そこから外が見えるようになっているものがあり、
そのとき顔が見えないようにするために、
露出のないマネキンのような全身タイツを使っている。
景品ゲームの在庫がおいてある部屋の片隅にある着ぐるみに着替えて店内へ。
部屋を出たところで引率の店員にファスナーを閉めてもらい、
そのまま引率され店の前へ。
休みで店の前の人通りも多く、小さな子供達の笑顔にはこちらが癒される。
中には蹴ってくるガキんちょもいるが。
もちろん、平日は可愛い店員さんとして活躍している(笑)。
そんなアルバイトも半年を過ぎた頃、土日だけとはいえ使い続けていた
ゼンタイが傷み薄くなり破れてしまった。
なんとかしてもらえないか女性社員の桜井瞳さんに相談した。
彼女は裁縫が得意で、店の制服のボタン外れやほころびも瞳さんがみんなの
分を直している。見た目はキツそうに見えるが実は優しい人だ。
相談した翌週には新しいゼンタイを渡された。それも2つ。今までの黒と豹柄のもの。
豹柄の方は体型が誤魔化せると思って作ってくれたそうだ。
更衣室からゼンタイに着替えて着ぐるみの置いてある部屋へ移動するが、
その時男性従業員に見られているような気がしていた。
そんなこともあり、瞳さんは考慮して作ってくれたのだろう。
57ゲームセンター ◆hRE1afB20E
ある日、新しいキャラクターの着ぐるみが店に入ってきた。
最近人気のあるキノコのキャラクター、見た目はかわいい着ぐるみだが、
中に入ると全然かわいくない。
キノコの傘を取り外し、足から着ぐるみに入っていく。中はクッションが詰まって
いてかなり窮屈、それでも中へ身体を入れていき、キノコの下の方に気持ち
程度ついている短い足を入れてキノコの傘でふたをしてもらって完成。
かなり窮屈しかも暑い、おまけに支えてもらわないと歩こうとすると、
すぐに倒れてしまう。
店の外まで支えてもらいながらなんとか出たが、もうすでに汗だくになっていた。
引率者が店の中へ少し戻っている間にバランスを崩して倒れてしまった。
言い忘れていたが、キノコには手がない。
立とうにも短い足ではバタバタするのが精一杯だった。
仰向けに倒れてしまったので、周りで心配そうに覗き込む人はいたが
助けてくれる人はいなかった。
引率者が戻ってきたときは、もう動く元気もなくなっていたが、
それでも決められいてた時間はやりきり、最後は担がれるようにして控室にもどった。
控室でグッタリしている私に瞳さんは心配して飲み物を持ってきてくれた。
その日の帰りに瞳さんから「うちに遊びに来ない。」と誘われた。
明日は学校もなくバイトも休み、特に予定もない。
瞳さんとは一度ゆっくりと話してみたいと思っていたので断る理由はなかった。
瞳の一人暮らしの家に少し緊張しながらもお邪魔することに。
部屋は綺麗に整理されており、隣の部屋にはミシンがあるのが見えた。
お茶を出してもらい、それを頂きながら少し話をした。
58ゲームセンター ◆hRE1afB20E
瞳さんはゼンタイを作るのが面白くなり色々作ってみたので着てみてくれないかと。
私が答える間もなく、隣の部屋に取りいってしまった。
確かに前にゼンタイを着るのが好きとは社交辞令でいってしまったことはあった。
事実それほど嫌ではない。戻ってきた瞳の手には黒い合皮のブーツが見える。
広げたものはゼンタイというよりは革のスーツしかもブーツがついている。
瞳は嬉しそうに早く着てみてと催促してくる。
服を着たままでは着ることができないのでと断ろうとしたが、
瞳さんはそうだねといって再び隣の部屋へいき黒いゼンタイを持ってきた。
私は断りきれずに着ることになった。
まずはいつものようにゼンタイに姿になってから、革のスーツに足を通していくが、
少しひんやりとする。
ブーツのところはファスナーを開けて履く、
普通のブーツと同じだなぁと思いながら履いていると、
瞳さんが「ブーツと繋げるのが難しかったのよ」といいながら、
私に着せるのを手伝いながら教えてくれた。
さらに一番苦労したのは、ブーツと同じ生地を探すのが大変だったと。
生地を探すためにサイズ違いのブーツも買ったのだとか。
最後に頭を後ろに反るようにして被り、後ろのファスナーを閉めてもらう。
瞳さんが私を採寸して作っただけのことはあり、
すごくピッタリしていて息もできないというより、本当に息ができない。
この中は完全な密閉空間。真っ暗でなにも見えない。
慌てて瞳さんの名前を呼びながら、手探りで探しながら呼吸が
できないことを伝えてはいるが返事がない。
59ゲームセンター ◆hRE1afB20E
半分パニックになりかけたとき、「ゴメン、ゴメン」という瞳さんの声がして、
私の手に彼女の手が触れそのまま抱かれるような体勢になり後ろのファスナー
を開けてもらった。
息ができるようになり安心し、瞳さんに抱きつくようにしていつの間にか
彼女の膝の上で眠ってしまっていた。その日は泊めてもらい翌朝家に帰った。
次のバイトで瞳さんに会ったときは、いつもとはぎこちない挨拶になってしまった。
バイトが一緒の時は、瞳さんの家に遊びに行くようになっていた。
遊びに行ったときは決まってあの革のスーツを着せられて愛撫され、
2人で絡みあい朝を迎えることもあった。
もちろん、革のスーツに呼吸穴は開いている。
ある日、バイトに行くと瞳さんがご機嫌だった。
話を聞くとネットオークションにゼンタイを出品したところ、かなり高額で落札された。しかも、連絡を取ったところ相手はゲームソフトを作っている会社の社長。
ぜひとも今回のようなゼンタイで3ヶ月後にある大きなイベント用に
衣裳を作ってもらいたいと依頼があったそうだ。
そして、1ヶ月後にはサンプルをいくつか作ってプレゼンテーション
をしてほしいとのこと、イメージは近未来。
報酬は社長さんの満足度にもよるが、最低額は保障するとのことだった。
そして、そのプレゼンテーションのサンプル発表のとき、
私にモデルをやってくれないかと頼んできた。
ほかならぬ、瞳さんのお願いなので引き受けることにした。
サンプルを披露するまで、休みの日は手伝いにいくことが多くなった。
そして約束の1ヶ月少し前にサンプルが完成した。
近未来ということで、生地もエナメル(黒・シルバー)、ウエットスーツに
使われるネオプレーンゴム素材、そして競泳水着などに使われる薄手の生地、
ラバー素材のもの。あとは以前作ってあった革のスーツを含めて6種類。
60ゲームセンター ◆hRE1afB20E
ここからは私の出番、まずは瞳さんの家で2人だけのファッションショーを。
競泳水着の生地で作られたものを始めに着てみる。生地が薄いので呼吸はしやすく腕や足も動かしやすい。ただ、胸のポッチがハッキリ浮き出て恥ずかしい。
そのまま次のウエットスーツの素材のものを着てみる。
水着生地のものを着ているので、スムーズに着ることができた。問題は視界穴と呼吸穴。
それに全体的に大きくなってしまうので、これが採用されたら細身の女性にきてもらった方がいい。少しの間だけファスナーを閉めて写真撮影した。
続いてラバー素材、これは海外のサイトなどでたまに見かける口とアソコにコンドームがついたものをなにもなくしてシンプルに作ったもの。
着る時は一度すべて脱いで全身にローションを塗りすべりやすくしてから着ていく。
着用してから光沢剤を全身に塗れば今までの中では一番近未来っぽく見える。
人ではなくゴム人間といったイメージとなった。
瞳さんは今までは見ていたり、写真を撮ったりしていたが、
ラバーを着たときは私に触れてきた。そして、身体中を愛撫し始めた。
私も気持ちよくなり瞳さんに身体を預ける。
とりあえず、ファッションショーは一旦休憩ということで。
しばらくしてから再開、革のスーツは普段着ているので省略。
最後は、エナメル生地の色違いは2つとも革のスーツと同じように
ブーツがついている瞳一押しのものである。
革のスーツと同じように着てみる。
革のスーツと違うところは、動きがかなり制限され、
動くたびにギシギシと音がすることだ。
私個人として音はともかく異常な拘束感は気に入った。
ただ、まだ呼吸穴も視界穴も開いていないので、
ファスナーを閉められたら5分も着ていることはできない。
64ゲームセンター ◆hRE1afB20E
黒はマネキンのように見えるが、シルバーもマネキンに見えなくもないが、
どちらかといえばペプシマンに見える。
今日私が着てみた感想と瞳さんがどういうイメージで作ったかを
写真つきの資料を作成して当日を迎える。
最近、立ち上げたゲームソフト会社社長の名前は石田健二。
マンションの5階がオフィスになっている。
部屋に入るとリビングであろう大きめの部屋にパソコンがかなりの数が並んでいた。
健二からは汚いですが、この部屋を使って下さいと8畳ほどの部屋へ私たちは通された。瞳さんは着替え始めておいてと言い残して、健二とリビングの方へ歩いていった。
裸になり競泳水着生地のゼンタイを着たが、恥ずかしいので、
その上からウエットスーツ素材のゼンタイを首まできて瞳さんを待っていた。
ノックがしたので返事をしながら扉を開けると見知らぬ女性が飲み物を持って立っていた。私もビックリしたが、彼女はもっとビックリしただろう。
顔のない黒いのっぺらぼうが部屋から出てきたのだから。
競泳水着生地のゼンタイから頭だけ出して飲み物を頂く。
彼女の名前は石川恵美。社長さんの恋人で、ここで彼の仕事を手伝っているそうだ。
そして今日のプレゼンで決まった衣裳は恵美が着ることになっていることも教えてくれた。彼女から自分が着るので私の着てみた感想をいろいろ聞かれた。
感想を話終わったとき、再びノックとともに瞳さんが戻ってきた。
説明資料は渡してあるので、実物を今からみてもらうので3分程で切り上げるので
苦しくなると思うけど我慢してもらうことと、リビングまでは手を引いていくので、
安心してとのことだった。
中のゼンタイを被り、ファスナーを閉めてもらい、続けてウエットスーツ素材
のゼンタイの頭も被り、同様に閉めてもらう。
この時点ですでに息苦しく、手を引かれているときには汗が滴り落ちていくのがわかった。外では瞳が説明している声が聞こえる。
そして、瞳の手で反転させられて、背中を触られて説明しているのがわかった。
65ゲームセンター ◆hRE1afB20E
続いてラバー素材のゼンタイ。
これは身体にピッタリ張り付きさっきのより息がしにくいし、
身体のラインもしっかり出すぎるのでかなり恥ずかしい。
また、同じように連れていかれ瞳が説明しているが、
その間も呼吸をするたびに顔のところが膨らんだり萎んだりを繰り返していた。
健二が心配してくれて、その場で頭を出させてもらえた。
新鮮な空気が吸えてそのまま次の衣裳の準備へ。
そして、次は呼吸穴がちゃんとついている革のスーツに着替える。
健二はブーツが一体になっていることに注目していた。
革のスーツは瞳の思いつきで作ったが、呼吸穴がなく長くは着られないということで、
呼吸穴を開けたことを説明している。
そして次はいよいよ、今回のために作った瞳の自信作のエナメルブーツ付きのゼンタイ。シルバーは私個人としては身体のラインや凹凸がハッキリとわかるので私は好きではないが、男性目線ではよいかもしれない。これも呼吸できないので、
その場で競泳水着ゼンタイの頭を出させてもらった。
健二からはどんな感じかと質問され、
私はいい感じと思いますが呼吸できないのがちょっとと答えた。
最後に黒のエナメルゼンタイを披露、健二の反応も上々。
健二は瞳に黒のエナメルゼンタイに先ほどのシルバーエナメルゼンタイの生地で、
衣裳が作れないかと尋ねた。
健二にイメージを言ってもらい、瞳はその場でデッサンした。
シルバーのノースリーブワンピースで、タイトな感じでスカートはショート、
さらにワンピースの左側にはゲームのタイトルを入れてもらいたいとのことだった。
瞳にとってそれくらいは容易い、二つ返事で依頼を受けた。
66ゲームセンター ◆hRE1afB20E
帰りに恵美を採寸し、衣裳を揃えてまた1ヶ月後に再度訪問することになった。
帰り際、健二から「真由ちゃんもイベントで働いてもらえないかなぁ」と聞かれた。
バイトがなければ特に予定はないですが、といいながら瞳さんを見ると、
ウインクしながら、手を合わせてこっちを見ている。
健二にはいいですよと返事をしてその日は帰った。
約束の1ヵ月後がやって来た。本番でも2人で着替えができるように、
私が着替え方を恵美さんに教えて、リビングで待つ2人の前に登場することになっている。自分が途中まで準備してから、恵美に着方を教えようとしたが、
恵美さんは一人でも準備ができていた。
最後に頭を被り、お互いのファスナーを閉めて、最後にワンピースを着て完成。
今回は改良されて視界穴も呼吸穴もある。
かなり小さく開けているので見た目には全く判らないが中からはよく見えるし、
息苦しくもない。
お互いをみると身長や体型も似ているので、まるで鏡を見ているようだった。
お互いギシギシとエナメルの擦れ合う音をさせながら
触りあってみるとすごく気持ちよかった。
2人で変な感じだねと言って、手を繋いで待たせている2人の元へと、
ブーツのコツコツという音を響かせながら向かった。

***おしまい***